気まぐれと言われれているからこそ、飼い主としては気持ちを理解しようと努力はしているのですが…。
さまざまな猫の行動にはそれぞれちゃんと意味があるとわかっているものの本心を探るのはなかなか難しいのです。
今回は、『新装版猫の気持ちがおもしろいほどわかる本』 から、特に気になるしぐさをする時の気持ちを知っていきましょう。
猫が寝るとき、基本的には季節を問わず丸まって眠るというのが、だれもが思い描く寝姿でしょう。
確かに、熟睡中の猫を見ると、頭をおなかの中に埋めるように体を縮め、四肢で体を抱え込んで真ん丸になっています。
また、目を閉じてうつらうつらしているときは、前肢を体の下に折り込んで床につけ、おなかを守るような、スフィンクスのような姿勢をとります。
ところが、ときたま人間のように完全にあおむけになって、おなかを丸出しにして眠る猫がいます。
無防備というか、行儀が悪いというか、猫らしいとは言いにくい寝相ですが、実はこのポーズは、「幸せだよ~」というメッセージなのです。
現代の飼い猫のなかには、まったく外に出ずに、室内で一生を過ごすことも少なくありません。
とくに都会では、車の往来が激しく危険が多く、猫の好きな樹木や草の生えた空き地もあまりないこと、またあっても野良猫がいて病気などがをうつされる心配があることなどを理由に、外に出さないほうがいいと指導する獣医師もいるようです。
そのため、そのような猫は、敵がいるという認識が薄く、襲われるかもしれないという恐怖を味わった経験のない猫がほとんどです。
本能的に丸くなって眠るという意識はあるはずなのですが、その必要性がない環境であれば、猫だってラクな姿勢で寝たいのは人間と同じなのかもしれません。
とくに暑い夏などは、ひんやりした床に体を伸ばしたくなるのも当然です。
というわけで、おなかを出して上向きに眠る猫は、それだけ平和で恵まれた生活を送っているということになるようですよ。
大きな丸を描いて、その上に円周に沿う形で小さな丸を3個か4個描いたら、猫好きならすぐわかる、猫の足跡イラストになります。
このシンボルともいえる肉球は、猫の足を衝撃から守るクッションのような働きをします。
狩りのときには足音を消すのに役立ちますし、高いところから飛び降りたときは、緩衝材の役目も果たす重要な体の一部です。
また、体に汗腺を持たない猫が、体温調節のために汗をかくことができるのも、この肉球の部分です。
この肉球のぷにょぷにょした感触は、猫好きにとってはたまりませんよね。
わたしもそうですが、膝の上で抱っこして、両手で前肢を握り、指でぷにょぷにょに触れる時間こそ最高の幸せな時間だという飼い主さんも少なくないでしょう。
そうやって飼い猫の肉球に触れているとき、湿っぽいのを通り越して、水たまりを踏んだのかというほど汗をかいていたら、少し心配してください。
確かに猫は肉球に汗をかきますが、普通、いくら暑くてもそこまでの発汗はありません。
たとえ汗をかいた足で床を歩いたとしても、足形が濡れて残るというのはそうあることではないのです。
触れてわかるほど肉球が漏れていたら、おそらく猫は極度の緊張状態に陥っていると考えられます。
体温調節による発汗ではなく、冷や汗をかいているのです。
そのとき何か、猫に極度の緊張を強いるできことがあった可能性があります。
たとえば、窓の外を大型犬が散歩で通ってワンと大声で吠えていったとか、嫌いな訪問客を迎えているといった、強いストレスにさらされた状況です。
緊張以外では、怒っているときや焦っているときなどの興奮時にも冷や汗をかくといいますから、心理状況の急激な変化が引き起こしていると考えて、その原因を確認するようにしましょう。
飼い主の膝で、心地よさそうになでられていても、猫はその状況に飽きるときがあります。
そうすると、猫はプイと膝から下りて離れた床に座り込み、しきりに自分の体をなめ始めます。
その熱心さといったら、まるで今まで触れていた飼い主の手が汚いものででもあったかのような、念の入れ方です。
一見こんな猫の行動は、飼い主にとってはまったく失礼に映ることなのですが、それはまったくの誤解のようです。
実はこのときの猫のしぐさは、飼い主の触れた部分を、ごはんのあとのセルフグルーミングのようにニオイ消しをしようとしているわけではありません。
飼い主の手によってつけられた人間のニオイの上から自分の睡液をつけることで、ニオイをミックスさせようとしているのです。
猫にとって、飼い主のニオイは、自分を守ってくれる母猫と同じくリラックスできるものです。
それに自分のニオイを混ぜることで、慣れ親しんだ安心できるニオイをつくりだそうとしているのです。
撫でたあとをしつこくなめている姿を見たら、不快感からそうしているのではなく、むしろ自分の臭いとミックスさせようとしていると思ってくださいね。
まとめ
完全に味方しかいないホームで育ってきたので、敵という存在も知らないでしょう。
公園で野良猫同士が遭遇した時に感じる彼らの緊張感や、人間を敵だと感じて睨んでくるときなど 、うちの飼い猫とのあまりのギャップに驚くこともしばしばです。
自由はあるが常に緊張を強いられるのとへそ天で寝られるほどゆるゆるな環境だが外には出られないのと、どちらが幸せなんだろうと、ふと思いました。
新装版猫の気持ちがおもしろいほどわかる本