内臓脂肪を増やさない一番の方法として、糖質をオフする食事にスイッチすることは広く知られています。
しかし、それだけでは、すでについている内臓脂肪を減らす効果は期待できません。
なぜならもともと内臓脂肪を増やす食生活をしていた方は、ほぼ「内臓脂肪が燃えない体質」になっているから。
つまり、内臓脂肪を燃焼させようとしても、その「燃焼機関」が壊れているため燃えないのです。
1年で14キロの減量に成功し、脂肪肝も改善した医師・水野雅登氏が、最新医学知識と自身の体験をもとに書かれた著書『1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法』から、さまざまな病気や不快症状の温床にもなる内臓脂肪を効率的に落とす方法をご紹介します

目次

★ 内臓脂肪が燃えない人は全員「栄養失調」
1. タンパク質
2. 鉄
3. ビタミン
4. ミネラル
5. カルニチン
★ まとめ







内臓脂肪が燃えない人は全員「栄養失調」


◇ ◇ ◇

現代日本人に脂肪の燃焼機関の不具合が生じている原因は、日本人特有の栄養失調に原因があります。

脂肪燃焼を妨げる栄養不足が続くと、どれだけダイエットに励んでも脂肪は落ちてくれません。

ダイエットの前に、以下の5つ栄養素をしっかりと身体に取り入れることが大切です。です。



1.タンパク質

子どもや青年、中高年や高齢者まで、すべての年代にわたり日本人は「総タンパク質不足」といっても過言ではないでしょう。

体の構成成分として、水とタンパク質と脂質で9割を占めます。

そのタンパク質が不足していると、他にどんなことをしても体調や病状は改善していきません。

なにより重要なのに、とても軽視されている栄養素がタンパク質です。


タンパク質は最重要なのです。


「脂肪の燃焼機関」も、タンパク質でできています。

人間の体は作りっぱなしでは、ガタがきてしまいます。このため、髪の毛も、皮膚も、血液も、内臓も、体のあらゆる部位が常に作っては壊し、壊してはまた作って……を繰り返しているのです。

「脂肪の燃焼機関」も同様に、このサイクルが必要です。


ところが、タンパク質不足の状態では、「脂肪の燃焼機関」にガタがきても、直すことすらできません。
建物を建てたままメンテナンスをしないのと同じで、すぐにボロボロになってしまいます。

さらに、タンパク質不足のまま糖質オフの食事にスイッチすると、体はエネルギー不足に陥ってしまいます。


非常に大切な栄養素なのに、軽くみられているために、多くの日本人がタンパク質不足に陥っています。

タンパク質を意識して多くとるボディビルダーのような人達以外は、一般的にほぼタンパク質不足と言っていいでしょう。



2.鉄

タンパク質に次いで大切なのは、「鉄」です。

「脂肪の燃焼機関」自体がタンパク質でできているのに対し、鉄は脂肪の燃焼機関で脂肪を燃やすために必須の栄養素です。


「脂肪の燃焼機関」を正確に言うと、細胞内の「ミトコンドリア」を指しています。
ミトコンドリアは、原始的な生物だった段階で細胞内に入り込み、ヒトと「共生」しているもの、とされています。
ミトコンドリアの大きさは0.5~10μmで、1つのヒトの細胞の中に数百から数千もの数が存在しています。
人間の小さな細胞1つ1つに、無数のミトコンドリアが存在しているのです。


このミトコンドリアの中で、糖質や脂肪酸、タンパク質などが代謝されて、エネルギーに変換されます。
タンパク質を糖質に変える「糖新生」というはたらきも、ミトコンドリアで行われます。

ヒトの全身の細胞の中で、ミトコンドリアが存在しないのは赤血球だけで、それ以外のすべての細胞の中に存在しています。
重量でいえば、人間の体重の約10%もの重さを占めているといわれています。

そして、一般にはあまり知られていないことですが、鉄不足はほとんどの女性と、メタボや生活習慣病やメンタルに問題のある男性の多くに当てはまります。
とくに女性については、鉄不足ではない人を探すほうが難しいといえます。

それほど、日本は鉄に関しては異常事態になっています。
そして、そのことについてまだまだ知らない人が多く、鉄不足と気づかないまま、さまざまな症状に悩まされているのです。


日本でこれほど多くの人が鉄不足になっているのは、次のような「日本固有の事情」が関係しています。


Ⅰ食物に鉄を添加していない
欧米では、小麦粉に鉄の添加が義務付けられています。
多くの国で国策として食品への鉄の添加が義務となっているのです。
しかし日本では、行われておらず、これが日本人の鉄不足の一因となっています。


Ⅱ医療機関でも「異常なし」と判断される
鉄不足が進行すると、頭痛をはじめとする各種の症状が出てくる人が少なくありません。症状が強くなると医療機関を受診しますが、各種検査をしても「異常なし」の診断になることが多いのです。
なぜでしょう。
医療機関で採血検査をした際の鉄の基準値が、日本はアメリカの半分で、そのため実際には鉄不足であり、症状が出ているにもかかわらず日本では「異常なし」と判断されてしまうからです。


Ⅲ植物性信仰などの対策間違い
外来などで「鉄不足です」とお話しすると、日本人によくある反応として「ほうれん草を食べればいいんですね」という言葉がよく返ってきます。
確かに、ほうれん草には鉄が含まれていますが、これは植物性の鉄であって、動物性の鉄とは違う構造をしています。
そのため吸収率は、動物性の鉄の「5分の1以下」に過ぎず、ほうれん草を食べるだけではとても十分な量をとることはできません。
それ以外の食物でも、含まれている鉄の量を考えると、食事から鉄不足を解消するだけの鉄を摂取することは現実的ではありません。


Ⅳ日本の鉄サプリの問題
食べ物で鉄不足を解消できないとしたら、現実的にはサプリメントしか選択肢がなくなりますが、日本で流通している鉄サプリは「ヘム鉄」と呼ばれる鉄が含まれ、胃腸にはやさしいものの、鉄の含有量が少ないというデメリットがあります。
ヘム鉄サプリメントを何年も飲み続けたのに、鉄不足がまったく改善しなかった症例は何例もあります。
ヘム鉄はその量の少なさから、鉄不足の解消にはほぼ結びつかないのではないでしょうか。


Ⅴ母親ゆずりの鉄不足
日本のこの状況下では、当然ながら、子どもを産む母親のほとんどが鉄不足になっています。
母親が鉄不足でも、母体から鉄をどんどん削り取って、子どもへ鉄を与えるように人間の体はできています。
しかしながら、それも限界があります。
母体の鉄が枯渇(こかつ)すれば、子どもは当然ながら鉄不足になってしまいます。
場合によっては「胎児からずっと鉄不足」ということも、十分にあり得るのです。


3.ビタミン

内臓脂肪がたっぷりとついている人ほど、タンパク質や鉄はもちろんのこと、ビタミン不足があきらかです。

健全な代謝を支えるビタミンがないということは、当然ながら、体が脂肪を燃やす力も非常に弱くなります。


現代日本の「普通の食事」は、「三食キッチリ主食をとる」というものです。


消費者庁の認可している「トクホ(特定保健用食品)」にも、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」という表示が義務付けられているのが、象徴的です。このような「糖質盛りだくさん」の食事では、その他の各種栄養素が必然的に不足してしまいます。


まず、ビタミンB群とCは水溶性ビタミンのため、体内に蓄えることができません。

ほかの脂溶性ビタミンは体脂肪に蓄えることができますが、B群やCの場合は、一生懸命とっても、使わない分はそのまま尿に出ていってしまいます。

栄養剤や栄養ドリンクなどを飲んだ後に、尿の色が黄色くなっているのを見たことがある人は多いでしょう。
あれはビタミンB2の色です。

ビタミン摂取の上級者になると、この尿の黄色の程度をチェックすることで、摂取したビタミンB群が効いているかどうかを判断する人もいます。

まずは、この不足しがちなビタミンB群とビタミンCを積極的にとることが、脂肪燃焼体質へ近づくためのスタートラインです。

しかも、蓄えることができない栄養素ですから、毎日の摂取が必要です。



4.ミネラル

先に指摘した鉄以外にも、さまざまなミネラル不足が起きています。
とくに不足するものが「Mg(マグネシウム)」と「Zn(亜鉛=英語でZinc)」の2つです。
タンパク質や鉄と同じく、ほとんどの日本人に不足しているといっていいでしょう。

この2つのミネラルは、脂肪を燃焼してエネルギーを生み出す回路を動かすうえで欠かせないものです。
不足すると脂肪燃焼が停滞してしまいます。


マグネシウムは、ほかの多くの栄養素と違って、食事から十分量摂取することのできる、数少ない栄養素です。
豆腐を作る際に使われる「にがり」や、天然塩などに豊富に含まれています。

また、マグネシウムは皮膚からも吸収することができるため、入浴の際にミネラルを多量に含む塩をお湯に溶かし入れることで補充ができます。

お風呂に入れるマグネシウムとしては、「硫酸マグネシウム」が主成分の「エプソムソルト」が有名です。
「ソルト」という名が付いてはいますが、硫酸マグネシウムの純粋な結晶で、塩分は含まれていません。

一方、亜鉛は貝類・肉類・豆類などに含まれてはいますが、いずれも微量なため、こちらは食事から十分な量をとることが難しく、サプリメントでとる必要があります。

ただし、亜鉛不足の人のほとんどは、タンパク質不足も同時に抱えています。

タンパク質不足が重い場合には、亜鉛を胃が受け付けないことがあります。

胃壁も消化液も、タンパク質でできているため、タンパク質不足の人のなかには、亜鉛が負担になってしまい、胃もたれや吐き気を起こす人もいます。
このため、ビタミン類と同様に、ミネラルをとる前にタンパク質不足の解消が必要になります。


5.カルニチン

栄養に関して意識が高い方は、「カルニチン」という名前を聞いたことがあるかと思います。


カルニチンは、アミノ酸が3つつながった比較的シンプルな構造をしており、体内でとても重要な役割を持っています。
それは「長鎖脂肪酸を燃やすことをサポートする」という役割です。

私たちの体脂肪は、脂肪細胞の内部の大部分を占める「脂肪滴」という形態で蓄えられています。その成分は中性脂肪がほとんどで、さらにその多くは炭素数が16~18という「長鎖脂肪酸」が占めています。その長鎖脂肪酸を燃やすときに、ビタミンCとともに、カルニチンが必須なのです。


「脂肪の燃焼機関」の実態が、細胞の中に数多くあるミトコンドリアであることは先に説明したとおりです。


脂肪細胞に蓄えられた長鎖脂肪酸は、脂肪細胞の中にある脂肪を分解する酵素「リパーゼ」によって、「脂肪酸」と「グリセリン」というものに分解されて、血液中に出されていきます。そして血流にのって、各細胞の中へとり込まれていきます。

ただし、細胞内に入っただけでは、まだ燃えることはできません。
その細胞内の中にある燃焼機関である、ミトコンドリアの中まで入り込まないと、燃やすことができないからです。


長鎖脂肪酸がミトコンドリアの中へ入り込むためには、ビタミンCとカルニチンの両方が必要となるのです。
どちらか一方でも不足すると、長鎖脂肪酸は「脂肪の燃焼機関」であるミトコンドリアの中に入っていくことができないので、燃やしようがない、ということです。

ちなみに、「長鎖」以外の脂肪酸である、「短鎖」と「中鎖」の脂肪酸の場合は、ビタミンCもカルニチンも不要になります。短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は、ビタミンCやカルニチンがなくてもミトコンドリアの中に入っていけるからです。







まとめ

以上のように、内臓脂肪が燃える体を取り戻すためには、まずご紹介した5つの「栄養失調」を改善することから取り組んでみるのが大切です。
「脂肪を燃やすサイクル」を作り上げるために、まずは自然な植物から摂取することが難しい、「鉄」「亜鉛」はサプリメントなども併用し、不足している5つの栄養素をしっかりと身体に注入することを心掛けたいものです。

1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法』

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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