飼い主さんが望まない場所で飼い猫が爪とぎをした場合、ほおっておくとそこが猫の爪とぎ器として定着してしまいます。 そのようなときは、適した素材や場所を選んだりマタタビやおやつをうまく使って、爪とぎ器に誘導し、爪を研いでもOKな場所だと覚えてもらいましょう。
今回は、猫の爪とぎの対策についてご紹介します。
そもそも、なぜ猫は爪とぎをするのでしょうか?
その理由は、大きく分けて以下の4つです。
1.爪のケア
家の中で飼われていても、猫には狩りをしていた頃の本能が残っています。
このため、獲物を確実に仕留められるように、爪とぎをすることで古い爪をはがし、鋭い爪を出しているのです。
猫の爪は層状になっていて、爪とぎをすることで1番外側の古い部分を剥がして鋭い爪を保ったり、伸び過ぎないように削ったりします。
猫が爪とぎをした場所に、古い爪が落ちていることはよくありますね。
さらに、猫は爪とぎをすることでシーツやカーペットなどに爪が引っかからないようにケアをしています。
猫の爪とぎは、人間に例えると爪切りと似たような意味を持つのかもしれません。
2.縄張りを主張するためのマーキング
猫の足の裏には、「臭腺」と呼ばれる強い臭いを発生させる分泌腺があります。
猫が壁などに爪とぎをするのは、臭腺から自分の臭いを擦り付けて「ここは自分の縄張りだぞ」と主張するためです。
さらに、爪とぎを行って傷をつける行為自体もマーキングと言えます。
高い位置に爪とぎをすることで、自分が大きく力のある猫だという、メッセージを残しているのです。
3.気分転換やストレス解消
猫は、他の猫との喧嘩で負けるなどストレスを感じた時や、寝起きで気分を切り替えたい時などに爪とぎをすることがあります。
生理的現象である爪とぎをすることで、嫌な気分を発散したり気持ちを落ち着かせたりしているのです。
猫がストレスを感じる例としては、知らない人の訪問が挙げられます。
自分の縄張りに他人が入ってきたストレスで爪とぎをする場合も多いので、まだ人に慣れていない猫はケージに入れることをおすすめします。
4.飼い主さんへのアピール
猫は飼い主に構ってほしくて爪とぎをすることがあります。
「自分を見て!」と爪とぎを行っている場合は、ぜひ一緒に遊んでストレスを発散させてください。
また、爪とぎが上手にできた時に褒めてあげると、「また声をかけてほしい」という気持ちから再度爪をとぐこともあります。
自信満々に爪とぎをする猫の姿はとってもかわいいですよ。
上手にしつけるためには、まず猫が爪とぎする理由をしっかりと押さえておきましょう。行動の意味が分かればそれに応じて対処することができます。
猫が爪とぎをするのに選びやすい場所や、家具の素材として、カーペットや木材・壁紙などの、爪を引っ掛けやすい場所が爪とぎに適しているので、好んで爪を研ぐようです。
爪とぎされたくない場所で愛猫が爪とぎしてしまった場合、まずは爪とぎされたくない場所には保護シートを貼るのがおすすめです。
また、爪とぎしてしまった場所のそばに、近い素材の爪とぎを設置して、爪とぎ器で爪を研いだらごほうびのおやつを与えることで、爪をとぐのは爪とぎ器で、というルールを理解できるように誘導するとよいでしょう。
爪とぎは猫の本能なので、いつでも好きな時に爪とぎができるように飼い主さんが教えてあげる必要があります。
爪とぎされたくない場所で爪とぎされすなら、爪とぎ器へ移行させます。
対策をしても治らない場合は、何かストレスが隠されているかもしれないため、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。
逆に、飼い主さんが取ってはいけない行動は、叱ったり大きな声を出したりすることです。
爪とぎしやすい素材や場所は猫によって違うので、飼い主さんが用意したものを使ってくれない場合は、好きな素材を見つけるまでいろいろなタイプを試してみたり、設置方法や設置場所を替えてみるといいかもしれません。
爪とぎ器は、ダンボール、カーペット、畳、麻など、様々な素材のものがあります。 また、立ってとぐタイプや、地面でとぐタイプなど、種類もさまざまで、お気に入りの爪とぎができれば、他でといでしまうことを防げるようになります。
最初は試行錯誤するかもしれませんが、慣れてくると自然に爪とぎ器で爪をとぐことを覚えてくれます。
また爪とぎ器は消耗品なので、定期的に新しいものに交換することも忘れないようにしましょう。
猫の爪とぎは本能による行動なので、飼い猫が好む爪とぎ場所や爪とぎ器が見つかるまで根気よく付き合っていくことです。
マタタビを爪とぎ器につけて誘導するも一手です。
爪とぎをされたくない場所で爪とぎをされて大声で叱っても、猫はなぜ叱られているのかわかりません。
くれぐれも大声を出したり、叩くなどして、叱ることは避けてください。
まとめ
やめさせるのではなく、「してもいい」場所でするように導いてあげるのが基本です。
子ねこの場合は生後2ヵ月頃になると爪とぎをし始めます。
前足を優しく持って、爪とぎ器の表面をひっかくように動かしてあげると、そのうち自分でできるようになります。
上手にとげたら、たくさん褒めてあげましょう。
もし、他の場所でとぎそうになったら、そっと抱きかかえて爪とぎ器に連れていきます。成猫から飼い始めるとなかなか難しいかもしれませんが、マタタビやキャットニップで誘導しながら諦めずに爪とぎの場所を覚えるまで続けてください。
飼い主さんが困らない場所で、愛猫が満足できる爪とぎ環境を整えてあげられるよう、いろいろと試してみてくださいね。
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