もう保育園の近くまで来ているのに、これから会社に行かなくてはならないのに…。
子どもに泣かれてしまうと親は後ろ髪を引かれ、責められているような気持ちになってしまうこともあります。
また、仕事に遅刻するのではないかと苛立つこともあるでしょう。
今回は、このようなとき、どう考え対応したらよいのかを子育てアドバイザーでキャリアコンサルタントの高祖常子さん著書『感情的にならない子育て』(かんき出版)からご紹介したいと思います。
保育園や幼稚園に行きたくないと子どもが泣くパターンは、
1.保育園に着いて離れる時に泣く
2.家を出る前に泣く
の大きくふたつに分けられます。
年齢にもよりますが、0歳、1歳などの預け始めの時期には、1.の保育園に着いて離れる時に泣くことが多いです。
ママやパパに抱っこされていて、保育士さんにゆだねられるときに大泣きしてしまうパターンです。
子どもとしては、やはりママやパパと一緒にいることは、「安心で安全」が確保された状態です。
よくわからない保育園や幼稚園という見慣れない家とは違う場所で、まだよく知らない人たちである大人たちにゆだねられ、不安でいっぱいになってしまうのです。
親は、保育園や幼稚園が安心で安全な場所だということはわかっていますが、子どもにはまったくわかりません。
泣くという行為は、子どもからの「不安や心配」のメッセージなのです。
2.の家を出る前に泣く、というのは、「園に行く」「親と離れる」と先の状況が子どもにすでにわかっているからです。
このパターンで愚図るのは、2歳、3歳くらいの子どもに多いと思います。
「今日も保育園に連れていかれる」と感じ、それに対して抵抗している行動です。
泣いたりぐずったりして、そもそも出かける支度をしなかったり。
その理由としては「家で遊びたい」「もっとママやパパと一緒にいたい」ということもあります。
「先生に叱られた」「友だちがいじめてくる」「給食が苦手」などの園生活の困りごとが原因であることも考えられます。
「保育園に行きたくない」と泣いたりぐずったりした時、親は以下のような行動をやってしまいがちです。
・「いい加減にしなさい!」などと怒鳴りつける。
・「保育園行かないなら、家に置いていくよ!」などと脅す。
・「まだ小さいから、言い聞かせてもわからないし・・・」と、保育士さんに託して黙って去ってしまう。
子どもが泣いたりぐずったりするのは「不安や心配」の表現です。
親が上記のような行動をすると、ますます不安や心配を助長させてしまいます。
時間に余裕があれば、子どもが少し落ち着くまで抱っこして、話しかけるのがおすすめです。
子どもに「大丈夫だよ」「保育園楽しいよ」「今日は何で遊ぶのかな」「美味しい給食食べようね」など、ゆったりした気持ちでポジティブな声かけをしましょう。
また、子どもは「このまま置いていかれて、ママやパパと会えなくなるのでは?」と心配しています。
低年齢であっても「これからお仕事、頑張ってくるね。夕方迎えに来るね」などと、しっかり声をかけていきましょう。
わからないなりに、毎日の繰り返しによって「何か用事があるんだな。でも夕方になったら迎えに来てくれる」ということを、少しずつ理解して安心していきます。
離れ際は親自身、罪悪感を持ったりしないで、行ってきまーす!と笑顔で別れることも大事です。
日中、保育園で楽しく過ごすことができれば、保育園が安心で楽しい場所だということがわかってきます。
そうすれば預けるときに、だんだん泣かなくなっていきます。
子どもの泣き方や愚図り方はさまざまで、何週間も離れ際に泣く子もいれば、数日で泣かなくなる子もいます。
また、離れ際には泣くけれど、親がいなくなってしばらくするとけろっとして楽しく遊ぶ子も少なくありません
親が安心して保育士さんに任せている様子を感じれば、子どももだんだん安心して保育園での生活を楽しむことができるでしょう。
家を出かける前に泣くときは、子どもが保育園での生活で困りごとがある可能性もあります。
「保育園に行く時間になると、泣きたくなっちゃうね。どうしてかな?」と子どもに聞いてみましょう。
言葉の発達状況にもよりますが、3歳前後になれば、自分の気持ちを話してくれるかもしれません。
もし子どもから「先生が怖い」「友だちがいじめてくる」などの情報を聞けたら、保育士さんにも伝えておくとよいでしょう。
大きな困りごとではなくても、配慮してもらえる可能性もあります。
保育士さんともこまめにコミュニケーションをとり、子どもが保育園でどの様子を教えてもらいましょう。
「保育園では、〇〇くんと楽しく遊んでいますよ」など、知らせてもらえると、安心できますね。
まとめ
言葉でうまく伝えられない気持ちが「愚図る」「泣く」という形で出てくるのです。
まずは、そのような子どもの気持ちに寄り添うことを大切にしましょう。
慣れてきて園での生活が楽しみになり、生活リズムの中に、保育園に行く時間が組み込まれれば自然にルーティーンになります。
そうすれば、子どもも安心し、泣くことが少なくなっていきますよ。
『感情的にならない子育て』