脳は、体全体の20~25%ものカロリー(エネルギー)を消費します。
そのエネルギー源として最も利用されるのが、炭水化物の中の「糖質(ブドウ糖)」です。
脳を良い状態にするためには糖質が欠かせないだけでなく、もし、糖質を摂取しないでいるとガソリンが空になった自動車同様、動き出すことができません。
ですが、人間の場合、ただ単にたくさん糖質を摂取すればいいというわけではないのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
今回は、エネルギー源の糖質をどう上手に摂取するかについてご紹介したいと思います。







血糖値スパイクとは


◇ ◇ ◇

まず気をつけたいのは、「血糖値スパイク」という現象を避けなければいけないということです。


糖質を取り過ぎてしまうと、血糖値が急上昇してしまうため、脳から『血糖値を下げなさい』という指令が送られます。

これが膵臓から分泌されるインスリンです。


インスリンは糖の代謝をコントロールし、血糖値を下げる働きを持っています。


血糖値が急上昇するということは、結果として大量のインスリンが分泌されます。

すると、急激に上がった血糖値が急激に下がることになり、たくさんカロリーを摂取したはずなのに低血糖に戻ってしまう状態になるのです。


血糖値の数値が山を駆け上がるように急上昇し、インスリンが分泌されると一気に谷底へ向かう――。


これが「血糖値スパイク」です。


空腹で行う健康診断では正常と判断され、放置されるため、気付かないうちに血管が高血糖によるダメージを受け続けます。

そのため、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、更にはがん、認知症等のリスクが高まることが知られています。






血糖値スパイクのワナ

◇ ◇ ◇

朝ご飯はほとんど食べずに、昼ご飯になるとお腹いっぱい食べ、そして、夜はほどほどにしていればダイエットにもなる──と考えている人も少なくないはずです。


しかし、そうした急激な糖質の摂取は、先述したとおり血糖値スパイクのワナに陥りやすいのです。


昼ご飯を食べた後、急に眠くなったり、集中力が続かなかったり、やる気が起きなかったりするのは血糖値スパイクの状態になっているからです。


脳は糖質不足で血糖値が下がり過ぎると、アドレナリンを分泌するため攻撃的になり、集中しづらくなるのです。

しっかり昼ご飯を食べたのにもかかわらず、血糖値スパイクによって低血糖の状態に戻ってしまっているため、さっき食べたばかりなのに「なんだかお腹が減る」と言った感覚になるのも血糖値スパイクが影響しています。


糖質が足りていないのだから、脳にはエネルギーが不足した状態、つまりカロリーを欲してしまうのです。


これはダイエットにとってもよくないでしょう。


血糖値スパイクを避けるには、安定的、平常的に糖質を供給するということがとても重要になります。

糖質を摂取し過ぎると、必ず血糖値を『下げよう』とするインスリンが分泌されるので、山と谷をできるだけ緩やかにすることが、眠くならずに、やる気を起こさせるといった脳の状態をつくり出すのです。







低GI値を意識した食事を

◇ ◇ ◇

食後に血糖値の山と谷をできるだけ緩やかにする優れたやり方が、低GIを意識して食事を取るという方法です。


九州大学の研究により40代以上の8000人を調査したところ、約2割が血糖値スパイクであることが判明しました。

日本全体でみると1400万人以上とも言われています。

食事の後、眠たくなるという方は危険信号が出ている証拠です。


そういう方は、まず、食事の取り方を見直してみましょう。


食事を見直すカギとしては、すじこやチーズ、カカオ、そばに多く含まれる「トリプトファン」という物質に注目します。


低GI値の主食を取りつつ、トリプトファンという成分を含む食べ物を同時に摂取することが望ましいのです。


トリプトファンは、脳内で〈幸せホルモン〉と呼ばれるセロトニンに変化し、15時間後に睡眠を促すメラトニンに変化します。

朝にトリプトファンを取ることで眠りの質が高くなるため、翌日の脳のパフォーマンスも高くなります。


トリプトファンを多く含む食べ物は、

「油揚げ」(162ミリグラム/1食当たり60グラム=以下同)
「納豆」(96ミリグラム/60グラム)
「豆腐」(68ミリグラム/70グラム)
「アジ」(115ミリグラム/50グラム)
「卵」(108ミリグラム/60グラム)
「牛乳」(82ミリグラム/200グラム)
「ヨーグルト」(47ミリグラム/100グラム)


などです。


大豆系の食材はタンパク質が豊富で、トリプトファンが多く含まれています。


昔ながらの日本食は、脳を整えるという意味でも理にかなっており、お湯で溶かしてできる簡易的なお味噌汁を飲むだけでも効果てきめんですから、おにぎりを単独で食べるなら、お味噌汁とセットで食べた方が血糖値は上がりづらくなるのです。


血糖値スパイクを防ぐためには、血糖値をいかにして緩やかに上げることができるかということがポイントです。


そして、カロリーと血糖値は別物だということを理解することが大切です。

確かにおにぎりに味噌汁をセットすれば、その分だけカロリーは増えます。

しかし、味噌(汁)は大豆から作られた食物繊維が豊富な食べ物なので、おにぎりと同時に摂取することで、小腸に入ったときにクッションとなり消化を緩やかにします。

だんだんと緩やかに糖質を体の中に取り入れていくため、血糖値が上がりづらくなるわけです。


同様に、最初に牛乳やヨーグルトを摂取してから主食を食べると、膜ができるため血糖値が上がりづらくなります。


こうしたロジックを理解しつつ、トリプトファンを含む朝食を取ると、とても効果的なのです。







まとめ

朝食をほとんど食べずに昼食で一気に糖質を摂取する方は、食事後に眠たくなったり、頭がぼーっとして低血糖状態になる「血糖値スパイク」を起こしている可能性が高いと思われます。
血糖値の乱高下を防ぐためにも、低GI値の主食とトリプトファンを組み合わせて、血糖値をできるだけ緩やかに上げる食事方法を取り入れてみましょう。

『低GI食 脳にいい最強の食事術』

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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