時間はあっという間にすぎていき、気がつくと7歳、10歳と歳を重ねます。
今は昔と比べると、医療も発達して飼い主さんが猫へのケアをしっかりとされているので、飼い猫たちの寿命はとても長くなりました。
20歳を超える猫ちゃんも少なくありません。 毎日飼い猫と接していると、あまり見かけに変化があるようには感じられませんが、シニアになればなるほど様々な体調の変化や疾患にサインを出しているのも事実なのです。
今回はそんな老化と疾患のサインについてお伝えしたいと思います。
1.毛がぼそぼそになる
2.飲水量が増えた
3.フードが食べにくそう
4. 怒りっぽくなった、よく鳴く
5. 動きが悪い、寝てばかりいる
6. 痩せてきた
★ まとめ
1.毛がぼそぼそになる
猫は本来、自分で毛をなめてグルーミングを行います。
しかし年齢とともに次第にそのグルーミング行動は減っていきます。
若い時は飼い主さんがブラッシングをしなくて良かった子でも、年齢とともに抜け毛をうまく処理することができず、気がついたら身体が毛玉でいっぱいだった!なんてこともおきうるのです。
また、加齢とともに体の水分量が減り、慢性的な脱水や腎機能障害などにより毛がぼそぼそになったりします。
毎日体を撫でている最中に、「あれ?昔より毛がパサついているかも?」と感じたら一度、病院で診てもらうことをおすすめします。
2.飲水量が増えた
昔と比べて、お水を飲む量が増えた、またはおしっこの量が増えたということはありませんか。
シニア猫の代表的疾患として、慢性腎機能障害、甲状腺機能亢進症、糖尿病といった疾患があります。
いずれもお水を飲む量が増え、尿量も増加します。
今はどの疾患においても治療法が多様にあり、早期に治療を行うことで猫ちゃんたちの生活の質が高く維持できることがわかっています。
水を飲む姿が以前よりも頻繁に見られるようなら、ぜひ病院を受診なさってください。
3.フードが食べにくそう
なんとなく口が臭う、それが飼い主さまが最初に気づくサインかもしれません。
わんちゃんと比べると、飼い猫にハミガキを毎日行っている飼い主さんはぐっと減少します。
しかし、猫たちも年齢を重ねていくと当然歯垢が歯石化し、歯周病になります。
大きな歯石が歯茎を圧迫し、炎症を起こすことで痛みを伴います。
患った歯周病に伴って口内炎も罹患し、相乗的に痛みや不快感を増加させます。
猫ちゃんの口の中を見る機会は少ないかもしれませんが、できれば定期的に口腔内ケアーを行い、重度な歯周病になる前に、適切な処置を行ってください。
フードを美味しく食べられるということは健康維持にもとても大切なことなのです。
4.怒りっぽくなった、よく鳴く
13歳以上の猫ちゃんの約2割程度は、甲状腺機能亢進症という疾患が見られると報告されています。
猫ちゃんの甲状腺機能亢進症とは、首の所にある甲状腺という組織から、過剰に甲状腺ホルモンが分泌されることにより、身体に種々の障害をもたらす病気です。
人間ではバセドウ病という病名としてよく知られています。
症状としては、「怒りっぽくなる、良く鳴く」の他、以下のような症状も見受けられます。
・食欲が増進している割に身体は痩せて行く
・飲水量が増加する
・性格が活発になる
・毛がパサパサしている
・時々下痢や嘔吐をする
など。
また、甲状腺ホルモンが過剰に出る事により肝臓や心臓などにも負担がかかります。
血液検査で診断は可能なので、10歳を超えたらなるべく定期的に検査を行い、様々な全身症状が出る前に治療することをおすすめします。
5.動きが悪い、寝てばかりいる
最近のデータによると、12歳以上のネコちゃんの90%以上に骨関節炎があるということがわかっています。
今は室内で暮らす猫が多いため、ほとんど動かず、1日の大半を寝て過ごす子達が多く、慢性的な運動不足になりがちです。
そのため、関節を適度に動かすことが少なくなり、関節可動域が徐々に狭まって歩行に異常をきたしはじめます。
また、狩りをしなくても定期的に食事が与えられるため、体重が増加することで関節への負担が大きくなるのです。
身体に痛みがあるという状態は、非常に動物にストレスを与えますし、生活の質も悪くなります。
日頃から適度に運動をさせることで軟骨の代謝を刺激して、軟骨への栄養の拡散をうながし関節炎の発症を予防することができます。
また、筋肉には関節の衝撃を吸収する作用もあるため、筋肉強化は関節の保護にも役立ちます。
以前と比較して歩行に違和感を感じるようなら一度病院を受診されてくださいね。
6.痩せてきた
シニアになると、当然若い時よりも筋肉が落ち、なんとなく骨ばってくるのは自然の流れです。
しかし、極端に痩せてきたり、食べているのにどんどん痩せてきたと言う場合には加齢とは違う何か大きな問題が隠れている可能性があります。
その代表的な疾患が糖尿病、甲状腺機能亢進症、腫瘍です。
これらの疾患は食べているのに痩せてしまうことが多く、食べているがゆえに飼い主さまには見落とされてしまうことがあります。
月に一度でも体重を測定し、極端に痩せてきていないかどうか確認してみてください。
まとめ
オス猫は約1年半前に糖尿病を発病し、まさに食べているのにどんどん痩せていくし、お水を多量に飲んでは尿をする、の繰り返しでした。
そして「あれ、ちょっとやせたかな」と思っていたら、あっという間に激やせし、あきらかにおかしいと病院に行ったときには、もう少し遅ければ命に係わる危ない状態だったのです。
インスリン注射と糖コントロールの療養食のおかげで今はとっても元気ですが、少し油断するとすぐに血糖値が上がり、体重が減るのでやはり心配は尽きません。
どんな猫ちゃんも、加齢とともに多かれ少なかれ疾患と向き合うことは避けられないと思います。
やはり飼い主さんが小さなサインを見逃さずに早期に発見して治療をすることで、大好きな飼い猫とできるだけ長く過ごせたらと願わずにはいられません。
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