介護はいつ何時、突然に始まるかもしれません。
介護生活続けるにあたって、介護手帳を記しておくことがとても重要な意味を持ちます。
介護の始まった時からその最中は、介護の現状が把握でき、今何をすればよいのかがよくわかります。
また、介護生活の最終章には、今までやってきた介護を大切な思い出として残すことにもなります。
今回は、家族介護者のサポート活動を続けるNPO法人UPTREE代表の阿久津美栄子さん著書『ある日、突然始まる 後悔しないための介護ハンドブック』から介護手帳の活用法や記載の仕方をご紹介します。




「介護手帳」で介護の現状を可視化する


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介護手帳とは、要介護者と介護者それぞれの状況や、具体的な介護環境などを書き留めておくページがある手帳の事です。


身内の誰かが要介護者となったらまず、介護手帳を用意して、当人と一緒に家族全員が話し合う場をつくり、現状を介護手帳に書き込んでいきます。

介護の初めは、何から手をつければよいのか、家族の中でどのような役割を担えばよいのかなど、わからないことがたくさん出てきます。

そうやって混沌としている状況を介護手帳に書き留めることによって可視化すると、必要なものや足りないものがわかってくるのです。

介護手帳をつけることで、あらかじめ介護にかかわる全員で情報を共有することは、後々の家族間のトラブルを避けることにも役立ちます。


介護手帳には、1日1ページのスペースの中に要介護者のことと介護者自身のことを書く部分があります。

ここに介護者自身の気持ちや出来事を記録することは、自分の居場所をつくることにもつながります。

書くことで自分が置かれた状況を客観的に見ることができますし、介護手帳を通して悩みや不安を家族で共有することで孤独感からも救われるのです。


子どもが生まれたら3歳ぐらいまで子育てをしながら感じたことや、6か月健診、1年健診といった健康健診の結果などを母子手帳に書き留める方も多いのではないでしょうか。

実は、介護手帳も日々気づいたことや病院での健診結果などを記録して、母子手帳と同じような感覚で使うことをおすすめします。

母子手帳は子どもの成長を記録する手帳ですが、介護手帳は要介護者が亡くなるまでの過程を書き連ねるものです。

介護生活に入ってから看取るまでの結果を詳細に記録しておくことは、後々自分に大きく役立つはずです。

なぜなら、要介護者との死別を経験すると、介護者は悲しみに暮れるグリーフケア期を迎えるからです。


心にぽっかりと空いた穴を埋めるためには、自分で自分をケアするほかに手段はありません。

その際に介護手帳が大きな癒しとなってくれるのです。


残念ながら、私自身は介護の記録を残すことはできませんでしたが、お世話になっていたデイサービスのスタッフの方が、母の介護に関する1日の様子を毎日書き留めておいてくださっていた1枚のプリントをバインダーに挟んで残していました。

母が亡くなったあと、そのプリントを読み返すことを通して、母がデイサービスで何をしていたのか、何を思っていたのかを振り返りながら、心を落ち着けることができました。


今、置かれた状況を把握するためにも、後悔のない介護のためにも、将来の自分のグリーフケアのためにも、多くのかたに介護手帳を記していただきたいと願っています。






「介護手帳」の記入例


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要介護者の状況

 地域包括支援センターやケアマネ、施設の人など、専門の人に要介護者のことを相談する際に役立つ便利なツールになります。



専門の人に相談するツールとして「要介護者」の状況を書いておきましょう。


介護者の状況

 自分がどんな状況に置かれているかを可視化することはとても大切。質問は簡単にみえて答えに迷うこともあるはずです。



自分の状況を正確に把握するために「介護者の状況」を書いておきましょう。


介護の記録(記入例)

 日々の様子を書き記すことで、混乱する気持ちに冷静に向き合えますし、介護が終わったあと、大切な思い出になります。



「介護の記録」をつけておくことで毎日の記録が財産になります。








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第一条 元気なうちに家族全員で介護の情報を共有する
 将来、要介護者となる親を交えて、親の希望や地域包括支援センターに関する情報などを共有しておく。

第二条 介護の流れや現実を可視化する
 現在の要介護者の状態を知り、介護ロードマップで今後の流れを把握しておく。





■介護のロードマップ

介護の段階|ステップ1「混乱期」→ステップ2「負担期」→ステップ3「安定期」→ステップ4「看取り期」

要介護者の状態|ステップ1「急性期・異変の発覚」→ステップ2「介護初期・残存能力大」→ステップ3「症状進行期・残存能力小」→ステップ4「終末期・別れの時」

介護者の気持ち|ステップ1「混乱・否定」→ステップ2「疲労・絶望」→ステップ3「割り切り・受容」→ステップ4「絶望・否定」

必要な準備|ステップ1「介護申請、主介護者決定」→ステップ2「進行の抑制、住環境整備」→ステップ3「施設探し・入居」→ステップ4「延命治療、遺産相続」

介護の場所|ステップ1「在宅、病院」→ステップ2「在宅、介護施設」→ステップ3「在宅、介護施設」→ステップ4「介護施設、病院、在宅」


第三条 介護者の居場所をつくる
介護手帳を通した家族間のコミュニケーションなど、介護者が孤立しない仕組みを。






まとめ

身内が要介護者になったとき、はじめから何の問題もなく介護ができる方はおられないのではないでしょうか。
悔いのない介護のためには、家族が協力し合って介護を可視化することで、身体的にも精神的にも息が抜けない状態ではなく、ゆとりを持って要介護者に接することができるのだと思います。
そのためにも介護が始まったら、できるだけ早めに介護手帳を準備してくださいね。

『認知症の家族のための介護者手帳』

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。