いざ介護が始まると、活動が制限されてしまうことに不安を抱える人も多いと思います。
しかし、介護者や被介護者が快適に過ごすために、想像以上に充実した制度やサービスが用意されています。
ぜひ介護保険外のサービスをうまく使って、自身も家族も満足のいく介護生活を送りましょう。
2000年から始まった介護保険制度ですが、厚労省の発表によると居宅サービス受給者数は約404万人にものぼります。
利用者の負担が最小限のため安心感がある一方で、公的な制度のため、使えるサービスが限定されており、不満を覚える人も少なくありません。
例えば、実家が遠くなかなか簡単には帰省できない場合、実家で独り暮らしをしている実母に認知症の不安が出てきたので、ヘルパーさんに病院へ付き添いをお願いしたら『それは私たちにはできない』と言われてしまった、など、「え、これは介護保険が適用されないの!?」といったことはよくあります。
介護保険制度は、できるサービスとできないサービスが厳格に線引きされており、認められていないサービスを行うことは法律違反となります。
公的サービスでは病院送迎は可能ですが、送迎は病院の入り口までで、病院内では看護師などに引き継がれたり、被介護者が認知症のため、医師との会話を覚えられなかったり、会計がスムーズに行えないという問題があっても介助はできません。
ひとり暮らしの高齢者であれば、トイレやお風呂、利用者本人の部屋など日常生活で使う範囲の掃除が対象で、換気扇の掃除や家具の移動、庭の手入れのような大掃除に該当するものや、来客の対応、ペットの世話をすることもできません。
高齢者夫婦のうち、妻が要介護者の場合、高齢の夫がいたとしても、食事や洗濯は基本的に妻の分のみのサービスになります。
介護保険内サービスは、 ヘルパーさんが1回あたり20~30分で掃除や洗濯、食事の用意などをこなすため、必要最低限のことしか行う余裕がないのが現状です。
また、被介護者の要介護度によって給付される限度額が定められているため、不満を感じる方もおられるでしょう。
そうしたとき頼りになる、介護保険を使わず自費でサービスを受ける『介護保険外サービス』が、いま注目されています。
介護保険外サービスであれば、病院までの送迎はもちろん、待ち時間や医師の話の詳しいメモ、会計を含めてすべて付き添ってもらえます。
保険制度に縛られず、柔軟な使い方ができる点が介護保険外サービスの特徴のため、これからもこうした病院の送迎介添えサービスなどでは、利用者が増えると思われます。
では、介護保険外サービスの事業所は、どう見つければいいのでしょうか。
介護保険外サービスは、地域のケアマネジャーたちも把握しきれていないのが現状のため、実際に介護者自らがインターネットで調べたという利用者が多いようです。
リサーチする際は、まず『○○市 介護保険外 家事代行』などのキーワードで検索し、サービス内容や価格などを比較していきます。
『職員全員が有資格者』などの情報をサイトにきちんと掲載している事業所は信頼できると思われますが、1か所に限定せず、最低でも3か所程度の複数の事業所を比較することをおすすめします。
事業所に問い合わせると、担当者が自宅へ来てくれ、無料で打ち合わせを行います。
顧客満足度の高い事業所は、利用者の経歴などからしっかりヒアリングしてくれるので、打合せ時の態度も見極めどころになります。
このように、介護保険では届かないかゆいところに手が届くのが介護保険外サービスですが、需要の高まりにはついては、実質的な高齢者の数の増加や、核家族化などが影響していると考えられます。
昔は3世代が同居して若い世代が高齢者を支えていましたが、いまは高齢者のひとり暮らしも当たり前になっています。
同居であっても、共働きが常識になり、家族の誰かが在宅で支え続けることが難しくなっているのです。
さらに最近では、介護保険外サービスを含めたケアプランも検討され始めています。
介護業界でも、まだ広くは知れ渡っていない保険外サービスですが、うまく利用すれば介護がぐっと快適なものに近づくことでしょう。
介護保険外サービスは、市区町村が提供するものから民間企業や地域住民が行うものまで幅広くあり、料金も一部自己負担から全額自費までさまざまです。
介護保険外サービスの地域別1時間の料金相場としての一例をあげておくと、東京・大阪などの大都市圏では、5000~6000円、政令指定都市で2700~5000円、それ以外の地域では2200~4500円です。
24時間いつでも利用でき、要介護認定などの条件もなく、基本的に誰でも受けられるのが介護保険外サービスの利点です。
なかでも生活援助サービスの利用が最も多いのだそう。
介護保険サービスではできないマッサージやおしゃべりも、保険外サービスなら可能です。
もちろん保険内のサービスでも会話はできますが、限られたサービス時間の合間ではせわしなくしゃべる程度なので、じっくり話を聞いてコミュニケーションを取ることはできません。
また、介護保険外サービスであれば、庭の掃除、ほかの家族の分の食事の準備や買い物の代行もできす。
年末であれば、おせち作りなど特別な料理を依頼することもできますし、部屋の模様替えをお願いすることも可能です。
介護保険外サービスは、機動的に使えるのも利点の一つです。
介護保険サービスは計画に基づいたサービス提供になっているため、突発的な出来事になかなか対応できません。
たとえば、『今日は天気がいいから買い物に行きたい』と利用者からお願いされても、介護保険サービスでは対応できませんが、保険外サービスなら柔軟に対応できるのです。
自宅以外の場所でも介助してもらえるため、被介護者の行動の幅が広げやすくなります。
通院だけでなく、冠婚葬祭やお墓参り、友人の家へ遊びに行く際の介添えもお願いできるので、車いすやストレッチャーで移動している人も、家にこもらず、外出が楽しみになるかもしれません。
さらに介護保険サービスでは1年目の新人が担当になることも珍しくないですが、介護保険外サービスのスタッフは、スキルの高いベテランスタッフが対応してくれる確率が高くサービスの質が安定しています。
普通の家事代行サービスと違って、介護の知識をしっかり身につけているスタッフであることも心強いですね。
介護保険外サービスの特徴をつかって、介護保険サービスと家事代行の「いいとこ取り」で、より利用者の希望に応えてもらえそうです。
まとめ
24時間いつでも利用でき、庭の掃除、食事の準備、買い物の代行、部屋の模様替え、おせち料理などの依頼も可能なうえ、要介護認定など条件もなく、基本的に誰でも受けられるサービスです。
スキルの高いスタッフが対応してくれる確率が高いのも心強いですね。
介護保険外サービスを上手に利用して、行動の幅を広げ人生を豊かにしていきましょう。
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