なぜそんな負のループを繰り返すのかと言うと、その人たちは「会社を辞める」こと自体が目的となってしまっているからです。
転職を後悔しないためには、具体的な本音磨きが必要です。
そのため前回ご紹介した「退職成仏ノート」の作成、「人間関係の仕分けノート」の整理、「明日への手紙」を書く、という3ステップの具体的な作業を今回は詳しくご紹介したいと思います。
★ 「本音磨き」3つのステップ
ステップ1.ネガティブな感情を吐き出して本音を“把握する”
ステップ2.しがらみを整理して、一緒に働きたい人を明確にさせる
ステップ3.自分への手紙で磨き具合をチェック
★ 転職活動は「本音磨き=ステージ0」が最重要
★ まとめ
それを明らかにするのがステップ1の「退職成仏ノート」です。
具体的には、以下の手順で行います。
1.モヤモヤ、イライラした人の言動、職場での出来事を書く
2.その中で自分がどう思ったかを書く
3.どうしてその言動、シーンでモヤッとしたのか、イラッとしたのかの理由を書く(正しさや客観性はいりません。あなたが思ったことが正解です)
4.過去に似たような言動やシーンがなかったかを思い出し、書く
5.1.と4.に共通する「私の大切な●●を傷つけている・無視している・蔑ろにしている」に行き着くまで考える
5.に当たる部分が本音です。
本音とは「私が心の底から大切にしたいこと」「私がとても意味がある、価値を感じていると思っていること」を教えてくれるセンサーです。
自分の心が本音モードになれば、今の会社で働き続るか、内定をもらった先に転職するかを決断するときに迷いがなくなります。
ただ、これをスラスラと書けなかったとしても自分を責める必要はありません。
多くの職場ではネガティブな感情はポジティブな感情に、他責は自責に変換するよう促され、思うように発散できないからです。
そんな時は「退職」という言葉で「終わりを意識する」とネガティブな感情を吐き出しやすくなります。
「もうこの仕事をすることはない」「もうこの人たちと関わることはない」という開き直る気持ちで書き出してみましょう。
これで自分の中でモヤモヤしていることが、はっきりします。
ステップ2.しがらみを整理して、一緒に働きたい人を明確にさせる
本音磨きのステップ2は「人間関係の仕分けノート」を作ります。
ファイルをフォルダ分けするように職場の人をポジティブな「つながりフォルダ」とネガティブな「しがらみフォルダ」、あまり気にならず感情が動かない「無関心フォルダ」に分類します。
「つながり」の人間関係を炙り出すと、あなたがどんな人といると心地よくて力を発揮できるのかがわかってきます。
「しがらみ」の人間関係はその反対で、あなたが「避けるべき人たち」がわかります。
大切なのは「あなたの感情が強く動く人間関係を炙り出す」ことです。
「ちょっと好き」ではなく「会社を辞めてもまた会いたい」と思えるほど好きかどうか。「なんとなく気が合わない」ではなく「できれば二度と会いたくない」と思えるほど嫌いかどうか、です。
仕分けが難しければ、
1.あなたが未来に進むことを応援してくれる人が「つながり」。過去に引き戻して今にとどめようとする人が「しがらみ」。
2.あなたの本音や「好き」の感情を引き出してくれる人が「つながり」。あなたの罪悪感や義理を刺激する人が「しがらみ」。
3.挑戦した結果、失敗している、調子が良くないときにも応援してくれる人が「つながり」。成功している、うまくいっているときにだけ良くしてくれる人が「しがらみ」。
4.あなたが「この人は好き」と思っていたら「つながり」。あなたが「嫌い」もしくは「好きではないけどお世話になっているし」とモヤモヤしたら「しがらみ」。
を基準にして分類しましょう。
「人間関係の仕分けノート」は表にしましょう。
必要なのは「自分が転職して会社を去った」と想像し「今目の前にいる人とどんな人間関係を築きたいか」だけを考えます。
「望む関係性」は人によって変わりますし、具体的にも抽象的にもなります。
これが明確になっていれば、どんな人と働きたいかがはっきりします。
ステップ3.自分への手紙で磨き具合をチェック
本音磨きの仕上げは、最終出社日を想定して書く「明日への手紙」です。
「つながりフォルダ」に入れて「退職後もつながり続けたい」と感じた人に「私はこれからも●●さんとつながり続けたいです」と意思表明します。
手紙には、ここまで磨いてきた本音が、真の本音であるかどうかを判断する力がある、いわば裁判官です。
手紙を書いている最中に「そうか、こんなことを思っていたのか」と本音に気づいて修正してもOKです。
どんな手紙を書くか以上に、手紙を書いているときにどんな気持ちになるかが大切なのです。
この3ステップで、身を置きたい環境や人間関係という、収入や仕事内容以外の自分にとって大切な要素が見えてきます。
「本音磨き」は、特別な人にしかできないスーパースキルではありません。紙とペンさえあれば、誰でも、ひとりでできる3ステップなのです。
本音は年齢や性別、職種や業界も関係なく、ひとりの時間にわかります。
男性も女性もいれば、新卒就職活動生も50代の年配の方もいます。
過去にに何度か転職を経験している人も、転職はしたことないけど、モヤモヤとした思いがなかなか晴れない人も、気負うことなく、構えることなく『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』の本音磨きに取り組んでみてください。
本音磨きへの行動こそが「転職ステージ0」なのです。
自分の本音と向き合った後で、転職エージェントや求人情報のサイトを探す「転職ステージ1」へ進みます。
本音磨きの前に転職サイトに登録してしまった方も、いったんサイト閉じて自分と向き合い、本音を磨いていただくことをおすすめします。
それが転職後「も」うまくいく、本当の自分として仕事に取り組める近道になると思われるからです。
まとめ
なぜ今の仕事、会社を辞めたいと思ったのか、転職先ではどういった仕事をしたいのかなど、ネガティブな感情もポジティブな感情もすべて自分の中から本音をあぶり出し客観的に見つめなおす行為をしないままでいると、転職の負のループはいつまでも続いてしまう可能性があります。
転職したい、今の会社に不満がある方はぜひ、ご紹介した3つのステップにトライしてみてください。
『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』