現在犬や猫を飼っておられるみなさんにも装着の努力義務が課せられることになります。
今回は、マイクロチップとはどのようなものか、どうやって装着するのかなど、犬や猫の飼い主さんが知っておいた方がよい情報をご紹介します。
マイクロチップとは、ICとアンテナを内蔵した直径2mm、長さ1cmほどの電子標識器具のことです。
内部に記録された数値と生体情報を紐づけて、犬や猫の皮膚の内部にマイクロチップを設置すれば、外部から専用の装置を使って生体情報を読み取れるようになります。
犬や猫に装着することで、どこの誰に飼育されている、どんな子なのかがわかるようになり、迷子になっても飼い主さんのもとへ帰りやすくなります。
マイクロチップの外郭は生体に適合したガラスで作られており、生体反応、炎症などを起こさないようになっていて、体に影響はありません。
皮下脂肪に埋め込まれるため、装着後に犬や猫が気にすることもほとんどないと思われます。
まれに脂肪の中をマイクロチップが移動する場合もありますが、安全にレントゲンやCT検査、MRI検査もできるように考えられています。
MRIの場合、マイクロチップの位置や機種によっては、一度マイクロチップを摘出して撮影をおこなうケースもあります。
マイクロチップの情報を読み取る際も、専用の機械をかざしてスキャンするだけなので、犬や猫の体を傷つけたり、痛みをともなうことなく安心です。
6月1日以降にマイクロチップの装着が義務化されるのは、ペットショップやブリーダーが販売する犬や猫のみとなっています。
もともとマイクロチップは、民間事業者が個別に登録サービスを提供していました。
しかし、2022年6月1日以降に販売される犬猫は、環境省による「犬と猫のマイクロチップ情報登録環境省データベース」に登録されてから、飼い主さんの元に迎え入れられることになります。
現在すでに家庭で飼育されている犬や猫、保護犬・保護猫などのマイクロチップの装着は、必須ではないが、装着するように努力してくださいという「努力義務」のため、飼い主さんの判断で装着するかしないかは決められます。
装着する場合は、飼い主さんの情報登録が義務となります。
結婚や引っ越しなどで飼い主さんの氏名・住所・電話番号が変わった場合や、愛犬・愛猫が亡くなった場合にも変更の届け出をする必要があります。
飼い主さんの情報登録や登録証明書の発行は、オンラインまたは書面でできるようになっています。
オンラインか書面かで、手数料が次のように異なります。
【オンラインの場合】
登録・変更登録手数料:300円
登録証明書の再交付の手数料:200円
【書面の場合】
登録・変更登録手数料: 1,000円
登録証明書の再交付の手数料:700円
環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」では下記内容を登録する必要があります。
・氏名
・住所
・電話番号
・犬や猫の所在地
・マイクロチップ識別番号 など
マイクロチップ専用の少し太めの針を、背中の肩甲骨の間に挿入してマイクロチップを装着します。
犬や猫の場合、皮膚の痛覚があまり発達していないといわれているため、激痛を感じることはないと思われます。
皮膚に局所麻酔をかけてマイクロチップを装着することもできますが、一瞬だけ我慢してもらって注射することがほとんど。
場合によっては一針縫うこともありますが、ほとんどの子は受け入れてくれています。
避妊手術や歯科処置など、鎮静をかける際に装着することもできるため、タイミングを検討してみてもよいでしょう。
現在すでに飼育されている犬猫や、譲渡された保護犬・保護猫などは、動物病院でマイクロチップを装着できます。
病院によって処置や手法が異なったり、値段も変わったりする可能性があるため、装着を希望される方はかかりつけの動物病院に一度相談してみてください。
お住いの自治体によっては補助金がある場合もあるため、装着を検討する際は調べてみるとよいでしょう。
ブリーダーやペットショップから犬猫を迎え入れる場合、2022年6月1日以降はマイクロチップが装着された状態で飼い主さんのもとへとやってきます。
マイクロチップを装着するメリットとしては、
1.災害時や脱走時に愛猫・愛犬を見つけやすい
2.確実に身元を確かめられる
の2点があげられます。
自然災害が起きた際には、いつも多くの動物が行方不明になって帰ってこない事態を招きます。
マイクロチップを装着しておけば、災害時でも多くの動物が飼い主さんの元へ速やかに帰れるようになるでしょう。
首輪に飼い主さんの情報をつけておく方法もありますが、外れる可能性もあるため、体内に装着するマイクロチップのほうが確実です。
マイクロチップ装着によって、脱走した場合も、無事に保護されればスムーズに飼い主さんのもとへ帰れるようになり、身元を確かめるものがなくて飼い主さんが見つからないといったこともなくなるのではないでしょうか。
完全室内飼いだから、うちは大丈夫、と考えるのではなく、万が一離れ離れになったときのためにマイクロチップの装着を検討してみるのもよいでしょう。
まとめ
特に、自然災害で行方不明になってしまった場合には、ペットにとっても飼い主さんにとっても、マイクロチップ装着で得られるメリットは大きいと言えます。
詳しいことが知りたい方は、『環境省自然環境局総務課動物愛護管理室のホームページ』に、詳しく記載されているので参考にしてくださいね。
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