70代をうまく生きないと、長く生きることはできてもよぼよぼで介護を受ける期間の長い高齢者になってしまいます。 
かつての70代と比べて、若々しく健康になった現在の70代の10年間は、人生における「最後の活動期」とも言えます。
70代の過ごし方が、その人がどう老いていくかを決めるとも言えるでしょう。
要介護状態を遠ざけ、自立した80代以降の老いを迎えるためには、どう過ごせばいいのか、30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として医療現場に携わってきた和田秀樹さんの『70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い』(詩想社新書)からご紹介します。





健康寿命は男女とも75歳に届いていない


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人生100年時代と言われ始めて久しくなりましたが、とくに女性は90代まで生きることが当たり前の時代になりました。

私の母が90歳で亡くなり、祖母が93歳で亡くなったので、家系的にも長生きなのかもしれませんが、自分も90代まで生きることになるのではないかという想像はしています。

世間一般としてもおそらくまだまだ医学の進歩は進むと考えられるので、100歳寿命というのも非現実なことではなくなるのではないでしょうか。


いくら寿命が延びたとしても、生命寿命が延びるだけでは意味がありません。

やはり日常生活に何も制限もなく生きられる「健康寿命」が延びてこそ、寿命が延びた喜びになると思うのです。

しかし現実は健康寿命は生命寿命の延びにはまったく追いついておらず、男女とも75歳にも届いていません。


要するに、70代をうまく生きないと、長生きしてもよぼよぼとした介護を受ける期間の長い高齢者になってしまうということです。


高齢者というのはとても個人差の大きい年代です。


2019年の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳ということになっていますが、これはあくまで平均値です。

80歳を過ぎても元気いっぱいに現役の経営者や学者、そしてフルマラソンを走るような人がいる一方で、60代から要介護状態に陥ってしまう人もおられます。


平均値としての生命寿命と健康寿命との差は男性が8.7年(72.71歳)、女性が12.07(75.38歳)となっており、一般的には70歳代をどのように生きるかによって元気で頭のしっかりした高齢者でい続けることができるかが決まってくるような気がします。


70歳の時点では、おおむね頭も身体もしっかりしているという人が多いと思います。
それでも75歳、80歳と年を取るごとに、弱ってくることは避けられません。


また、長生きの敵のように言われているコレステロール。

私自身検査をするといつも正常値範囲のギリギリ高めの数値が出て、下げようと一生懸命になったこともありますが、コレステロールの高い人ほどうつ病になりにくいとか、コレステロールは男性ホルモンの材料なので、男性ではコレステロールが高い人ほど元気で頭がしっかりしているとかがわかると、体質だと思うようになりあまり気にならなくなりました。


血圧や血糖値も同じように、高めのほうが頭がはっきりするので、無理に薬で下げると頭がぼんやりしてしまうそうです。


高血圧や高血糖に対しては、塩分制限や食事制限が課されることが多いですが、生きる楽しみのひとつである食事を制限されたり、味気ないものを食べることで、元気のないお年寄りになりがちです。

長生きのための医療にしても、日本では大規模調査がほとんどされていないようで、それで本当に長生きできるのかははっきりしていないのです。


実際、コレステロールが高めの人や、太めの人のほうが高齢になってからの死亡率は低いことも明らかになっています。






いまの70代は、かつての70代とはまったく違う

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日本人にとっては今後、70代の生き方が、老後生活において非常に重要になってくるようです。

70代をいかに生きるかが、その後、要介護となる時期を遅らせて、生き生きとした生活を長く続けられるかということに、大きくかかわってくるからです。


現在の70代の人たちは、戦前生まれの人が70代になった頃と比べて、明らかに若々しく、元気になっています。


戦後の大幅な出生人口増加期に生まれた団塊の世代(1947~1949年生まれ)の人たちも、2020年にはみな70代になっていますが、この団塊の世代に代表される現在の70代は、少し前までの70代の人とは、大きく違います。

身体の健康度、若々しさがまったく違うのです。


たとえば1980年当時に60代後半だったの人のおよそ10%近くの人は、普通に歩行することができませんでした。

しかし、2000年には、正常歩行できない人が2~3%にまで激減しています。


かつての70代といえば、それなりによぼよぼした方が多かったのですが、いまの70代はまだまだ元気な人が多く、10歳くらい若返ったような印象を与えます。

元気な70代が増えた理由として、第2次世界大戦後の栄養状態の改善が挙げられます。

戦後の食糧難にあえぐ日本に、アメリカから余った脱脂粉乳が大量に送り込まれ、このころから日本人の栄養状態が改善します。


成長期の栄養状態が改善したことで、日本人の寿命は延び、体格もよくなり、現在の若々しい元気な高齢者を出現させているのです。


戦後の結核の撲滅については、ストレプトマイシンという抗生物質のおかげだと考えている人も多くいますが、そもそもストレプトマイシンは結核になってからの治療薬なので、それが結核を激減させた理由にはなりません。

結核を予防するBCG接種も、開始されたのは1950年ころからなので、赤ちゃんのときに接種して、その効果で結核が減るとしても、統計に現れてくるのは少なくとも赤ちゃんが成長した10年後くらい、1960年代くらいからになるはずです。

しかし、結核の減少は、1947年くらいから始まっており、これは、アメリカからの支援物資による栄養状態の改善時期と一致することから、実際は栄養状態が改善され、タンパク質を多くとるようになり、免疫力の向上をもたらしたことによって結核の撲滅が可能となったのが真相のようです。


戦前の日本人も、摂取カロリーはそれなりにとっていましたが、タンパク質は驚くほど少なかったため、免疫力が低く、そのため結核で亡くなる人が多かったのです。


戦後の栄養状態改善で結核が減り、若くして亡くなる人が激減したことによって平均寿命が一気に延びたのです。


また、それと同時に日本男性の平均身長が170センチを超えたのが1970年前後で、日本人の体格も向上していきます。

戦後生まれの人たちはこうして平均寿命を延ばし、体格も立派になって、健康で若々しさを保つようになってきたのです。

その先駆けが、今、70代を迎えている人たちなのです。



アメリカは、日本よりも栄養状態がよかったため、元気な70代が日本よりも一足早く登場します。

1974年、アメリカの老年学の権威であるシカゴ大学のベルニース・ニューガートンは、それまで65歳以上を高齢者とみなしていた社会に対して、75歳くらいまでは、その世代を「ヤング・オールド」と呼ぶことで、体力的にも、知的機能的にも中高年とたいして変わらないと提起しました。

さらに、75歳を過ぎるころから、認知機能が落ちてきたり、病気などで介護が必要な人も出てくる世代ということで、「オールド・オールド」と定義しました。

これはのちに、日本における前期高齢者、後期高齢者という考え方につながっていきます。


ニューガートンがこの考え方を提唱した1970年代当時の日本では、まだ、75歳の日本人たちは、若いころの栄養状態も悪く、身体も小さく、老いるのがいまより早かったので、アメリカの高齢者のような状況ではなかったのです。


1990年代に入ったあたりから、日本でも元気な高齢者が増えてきました。

そして、さらに20年以上が経ったいま、医療はさらに進歩し、70代の人の要介護比率も改善してきています。

その現実を踏まえれば、現在の日本では、75歳ではなく、80歳までは、多くの人が現役時代のような生活を送れる可能性がある社会になってきたと言えるでしょう。


70代が人生における「最後の活動期」になったと言ってもいいと思います。

だからこそ、その過ごし方が、80代以降の老いを大きく左右するようになったのです。


70代には特有の脆弱さもありますから、放っておいたら衰えは進みます。
だから意図的に、心身の健康を心がけることが大切になるのです。







70代は「人生100年時代」のターニングポイント

70代の過ごし方が重要になってきた理由としては、長寿化によって、老いの期間がこれまでより延びるようになったという点も挙げられます。

日本人は、戦後の栄養状態の改善によって、大きく寿命を延ばし、前の世代よりも若々しくなってきました。


漫画『サザエさん』を例にすると、連載が始まった1947年当時、父親の磯野波平の年齢設定は54歳でした。

息子のカツオが小学校5年生で、娘のワカメは3年生。
長女のサザエは確か22~3才の設定で、マスオさんと結婚してすでにタラちゃんという息子がいることからしても、現代の感覚だと、とても磯野波平は50代半ばとは考えられないでしょう。


この栄養状態の改善が、人々の若返りや寿命の延びに寄与してきたのも、1960年くらいに生まれた人たちまでで終わったのではないでしょうか。

実際、日本人の平均身長の推移も、戦後まもなくは急速に伸びましたが、ここ20年くらいは伸びが止まっているとか。

もはや栄養状態の改善は、日本全体に行きわたり、そのことが寿命の延びを牽引していくという時代は終わっていると考えられます。


しかし実際にはその後も、日本人の平均寿命は延び続け、これからも延びていくと予想されています。

これは、医学の進歩がそうさせているのです。


日本人は戦後に劇的に若返ってきた体験をしているので、「人生100年時代」などと言われると、いまよりさらに若返りが可能になり、寿命が延びていくと考える人もいますが、それが正しい認識かと言うとそうではありません。


80歳や90歳になっても、いまの70代の人たちのように元気に活躍できるようになって、人生のゴールがどんどん後ろにずれていくというのは幻想です。

若返るのではなく、「医学の進歩によって、死ぬことができなくなる」から超長寿になるというのが「人生100年時代」の実像なのです。


元気な老いの期間を左右するのは70代にあることを肝に銘じておきましょう。




まとめ

人間は80歳を境に、一気に老いに直面することになります。
しかし一方で、医学のおかげで寿命だけは延びていくため、人生設計を大きく変えることになるのです。
これまではせいぜい10年ほどだった「老い」の期間が、15~20年に延長する人生が標準になっていくからです。
今後は、延びた老いの期間をどう生きるかが重要な課題になっていくでしょう。
そして、その老いのあり方を左右するのが、人生終盤の活動期である70代ということになります。
寿命が延びていく「人生100年時代」だからこそ、70代がますます重要性を増してきているのです。

『70歳が老化の分かれ道 』

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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