今回は、東大理Ⅲに三男一女を合格させた佐藤ママが子育てで一番大切にしてきたことを伝える『子育ては声かけが9割』(東洋経済新報社)から「声かけ」の原則についてご紹介します。
★ 「声かけ」の4原則
1.お母さんから積極的に働きかける
2. 叱らず、褒める
3.強い立場から高圧的に話さない
4. 他人と比較しない
★ 習い事は「楽しく」が最優先
★ まとめ
子どもとの日々の会話も、広い意味では声かけだと言えるでしょう。
子どもが話しかけてくるのを待つのではなく、日常会話は、お母さんから子どもに積極的に働きかけましょう。
子どもは経験値や話すためのボキャブラリーが少ないため、うまく話しかけることは難しいのです。
子どもからの話を待っていると、親子の会話が減ってしまうのは目に見えているので、お母さんからどんどん話しかけ、子どもの耳にたくさんの言葉を入れることで、子どもの語彙力がぐんと増えます。
子どもは話せば話すほど、脳が発達します。
子どもの視野を広げるためにも、話す内容は同じようなものばかりではなく、いろいろと振ってあげることが大切です。
テレビ番組を観たり、新聞、雑誌、書籍などを読んだりして感じたことを、子どもに伝えるのもいいですね。
親が感じたことを子どもに伝えていると、「お母さんは、こんなときにこう思うんだ」と、子どもはお母さんの考え方がわかるようになります。
また、子どもに話した内容についての感想を聞くのもいいでしょう。
このとき、「はい」「いいえ」で答えられるような質問ではなく、「どう思った?」「何が一番楽しかった?」など、子どもが自分の頭で考えて、自分の言葉で答える質問にしましょう。
このような会話を積み重ねていくと、思考力・表現力の基礎が鍛えられます。
一方で、悪口や愚痴はなるべく子どもに聞かせないようにしましょう。
子どもはお母さんから聞いた言葉をいつまでも、覚えているものです。
また、子どもは無意識のうちに、お母さんが使う言葉や話し方などを真似しています。
正しい日本語を常に意識して、言葉のチョイスをよく考えながら子どもに声をかけてほしいものです。
原則2. 叱らず、褒める
子育ては大きく分けると、「褒めて育てる」方法と「叱って育てる」方法がありますが、褒められると叱られるのだと、もちろん、褒められるほうが嬉しいですよね。
子どもも同じです。
子どもは経験値がまだ少なくて、失敗することが多いですが、その失敗のたびに怒られていると、行動を起こすのが怖くなって萎縮してしまいます。
ですから、子どものいいところを探して、たくさん褒めてあげましょう。
褒めて育てると、子どもは明るく、のびのびと育ちますよ。
失敗を注意するときも、いきなりきつい口調で「ダメでしょ!」と注意するのではなく、「よく頑張ったね。でもね……」といった感じで、まず優しく褒めてから注意しましょう。
「誰でも失敗はあるから、次は気をつけてね」と声かけするのもいいと思います。
危険なことでなければ、子どもたちが何をしても、「いいよ、いいよ」とおおらかに、何でもやりたいようにやらせて温かく見守ることです。
絶対にやってはいけないことや危険なことをしたときに叱る場合でも、きちんとなぜやってはいけないかの理由を子どもが理解できるように話し、きつい口調で感情任せに叱るのはやめましょう。
褒められると、自己肯定感が高くなります。
9歳ぐらいまでは「叱る」ことより「褒める」ことに重点を置いて、子どもの笑顔を見ながら、子どものやる気を引き出してあげましょう。
原則3.強い立場から高圧的に話さない
他人には絶対に言わないような命令口調の強い言い方を、わが子に対しては平気でしてしまう親もいます。
自分の子どもだからといって、何を言っても許される、ということは絶対にありません。
子どもが生まれたときからずっと面倒をみているからといって命令口調で高圧的に言いたい放題話すと、子どもは自分の意見を言えなくなってしまい、いつも親の顔色をうかがうようになります。
これでは、子どもの自由な発想を制限してしまいます。
子どもは体が小さいだけで、大人と同じように感情を持っていることを忘れずに、1人の人間として向き合って話すことが大切です。
一般論としては、知識や経験をより積んでいる親が正しいことが多いかもしれませんが、時には親子で意見が食い違うこともあります。
そして、いつも親が正しいのかと言えば、そうとは限りません。
親が間違っている、あるいは、子どもの言うことにも一理あることは、よくあります。
そんなとき、「親の言うことを聞きなさい」と強い立場から話すと、子どもは「違う」と思っても力で屈服させられ反論できなくなります。
こういう「悪い声かけ」をしていると、自分の意見を言える子どもに育つことが難しくなります。
大人が、常に自分が正しいと思って話すのは謙虚さが足りないからです。
親は、自分が間違っていないかを謙虚に検証しながら、穏やかに声かけをする心構えが必要です。
原則4. 他人と比較しない
よその子どもやきょうだいと比較してしまったとき、子どもの心を傷つけるNGワードが出やすいので気をつけてください。
何かができるようになる時期は子どもによって差があります。
しかし「○○ちゃんはすぐにできたのに、うちの子はまだできない」などと、比較して悩んでいるお母さんは少なくないようです。
例えば、トイレトレーニングひとつをとっても、最近のお母さんは、「おむつがとれるのが遅い」と悩む人が多いようです。
悩む理由の1つとして、保育園などで早めにとれた子のお母さんから「まだとれないの?」と言われることがあるからだとか。
また、「1歳頃にはおむつを外しましょう」という一般論から、早く外さないといけないと焦るようですが、実際、小学校に入学するときにおむつをしている子どもはいないのですから、あまり気にせずに「そのうちとれるだろう」くらいの気持ちでいればいいのです。
「まだとれないの?」と言われたとしても、気にせず、「まだしているけれど、そのうちとれるから気にしていないよ」と言って笑いとばしましょう。
決して「○○ちゃんはおむつがとれたのに、あなたはどうしてまだとれないの!」と子どもに言ってはいけません。 子どもの心を傷つけるだけです。
いつかは必ずとれるものなので、焦らず気長に待ちましょう。
習い事も比較しがちです。
スポーツや楽器などは上達のスピードがわかりやすく、級などがある習い事も上達度がすぐにわかるからです。
自分の子どもが、一緒に入った友だちよりも上達が遅いのではと焦るかもしれませんが、すぐにうまくなる子どももいれば、続けているうちに徐々に伸びる子ども、ある程度続けているとぐんと伸びる大器晩成型の子どもなどいろいろです。
だから、親は他の子と比べないこと、また、すぐに結果を求めないことが大切です。
子どもを比較してしまうと、上達が遅れているときには親も子どもも両方がつらい気持ちになってしまいます。
辛い気持ちを「○○ちゃんは次に進んだのに、まだあなたは進めないの?」と子どもにぶつけることは、絶対にNGです。
子どもが遅れていることを気にしている場合には、子どもの心にさらなるダメージを与えてしまいます。
習い事は子どもが楽しくできていれば、それでいいのではないでしょうか。
小学校に入ったら、テストや通知表で嫌でも評価がつくので、親も周りの同級生と比較してしまいがちですが、できるだけ他人と比べるのはやめたいものです。
比べ出すとつい、「○○ちゃんは100点だったのにあなたは30点しかとれなかったの?」と、子どもが聞きたくない言葉を口にしてしまいます。
比較したときには、やはり子どもを傷つける言葉が出てしまいがちです。
「褒めて伸ばす」子育ては、たとえ100点満点のテストで30点だったとしても、まずとれた30点のマルの内容をほめてあげましょう。
自分の子どもだけを見て、子どもの気持ちに寄り添い、決して比較しないことで、子どもは明るくおおらかに育ちます。
まとめ
子どもは親の所有物ではありません。
親子であっても人間同士、内容や言葉を選んで話したり、叱るときには言い方に気をつけたり、さらに親だからいつも正しいとは限らないということを意識しながら、子ども同士を比べないで、おおらかに見守ることが大切なようです。
『子育ては声かけが9割』