2007年10月1日に日本郵政公社が分社化・民営化されて発足した日本郵政グループのグループ会社のひとつとしてその業務がゆうちょ銀行に引き継がれました。
郵便局の貯金を取り扱う部門が、株式会社ゆうちょ銀行として民間の銀行になったわけです。
とはいえ、郵便局時代の商品の多くが、ゆうちょ銀行に引き継がれており、今もほかの銀行とは違ういくつかの特徴が残っています。
今回は、普通の銀行とゆうちょ銀行の違いについてご紹介します。
ゆうちょ銀行に預けることができる金額は、民営化後、段階的に引き上げられ、普通預金にあたる通常貯金(普通の銀行の普通預金)と定期性貯金(普通の銀行の定期預金に相当する定期貯金や定額貯金)を合わせて1300万円が上限だったのが、2019年4月1日から、通常と定期性でそれぞれ1300万円が上限となりました。
普通の銀行には、こういった限度はありません。
もとより郵便貯金は、庶民に貯蓄をすすめ、貯金として集めたお金を政府の方針で社会整備のために使う目的で始まったものです。
少額からでも、老若男女問わず誰でも貯金できることが基準となっています。
しかも、後ろ盾として国がついていたため、上記に示した通り預けられる限度額が決められてきました。
民営化後の現在でも、この限度額は継続されています。
また、普通の銀行で一定の期間お金を預けるのは、定期預金になります。
ゆうちょ銀行にも定期貯金はありますが、ゆうちょ銀行にはさらに特有の「定額貯金」という独自の貯金方法があります。
年配の方の中には、金利の高い時期に郵便局の定額貯金に預けて、たくさんの利子をもらった方がいらっしゃるはずです。
郵便局ならではの「定額貯金」も、ゆうちょ銀行に健在しており、大きな特徴としては、次の3つが挙げられます。
1.預けて6カ月経てばいつでも解約ができ、最長10年まで預けられる=使い勝手がいい
2.最初の3年は6カ月ごとに金利が上がっていく段階金利、全期間にわたって半年複利=長い期間預けるほど複利効果で利子が増える
3.固定金利=高金利のときに預入れると有利になる
現在は非常に低金利なので、残念ながら定額貯金はあまり有利ではありません。
ただし、6カ月経てばいつでも解約できる点は、いざというときにすぐ引き出せるお金の預け先としてはよさそうです。
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普通の銀行は、お金を預かる一方で、そのお金を企業などに貸し付けています。
また、住宅ローンや教育ローンなどの名目で、個人にもお金を貸しています。
それは普通の銀行が利益を得るための事業であり、その利益から預金者に利子を払っているのです。
郵便局の場合、企業や個人から貯金として預かったお金は、国の事業に使われてきました。
このお金の使い道に無駄が多く不透明だという批判が噴出し、民営化につながるきっかけになりました。
国営同然だった郵便局が民間の銀行になったことで、預かったお金の運用先も、自ら決めることができるようになりましたが、もともと直接郵便局が企業や個人に貸し付けることはなかったので、自前の住宅ローンや教育ローンなどの仕組みはないのです。
現在ゆうちょ銀行では、自前の住宅ローンではなく、ソニー銀行と新生銀行の住宅ローンを銀行代理業者として提携しており、申し込みや契約の仲介を行っています。
ゆうちょ銀行は、旧態依然の特徴を残しながら民間の銀行になりましたが、変化したところもあります。
もっとも大きな点は、万が一の場合の貯金の保護です。
民間の銀行は倒産したときのために、預金者の預金が一定程度守れるように預金保険制度に加入しています。
ゆうちょ銀行も民営化にともない、万一のときの後ろ盾であった国から切り離されたことで、預金保険制度に加入することになったわけです。
つまり、ゆうちょ銀行の経営が行き詰まり倒産したときは、1人1000万円までの預金とその利息が、預金保険制度により保護されます。
この預金保険制度による保護は、普通の銀行と同じです。
まとめ
その日本郵政の株式の一定割合は、政府が保有しています。
民営化されたものの、まだ、何となく後ろに国の気配があるのでは?と感じるところもありますが、今後もゆうちょ銀行は変化を遂げていくことでしょう。
2022年1月17日から小銭は引き出すときも預け入れるときにも手数料がかかるようになり、個人的には改悪としか考えられない変化もありましたが、これからゆうちょ銀行がどうなっていくのか、注目していきたいですね。