もちろん物事を前向きに考えることは大切ですが、それが苦しくなってしまうのであれば、かえって心身の負担となってしまいます。
今回は前回の話を踏まえて、具体的に自分があるがままでいるためのヒントをご紹介します。
★ 自分を「あるがまま」に認めるための5つのヒント
1.第一感情を見つめる
2.ネガティブを無視しない
3.人と比べない
4.自分の評価を大切にする
5.想いを伝えよう
★ 自己受容の3STEP
STEP1.インナーペアレントに左右されない
STEP2.自己否定を手放す
STEP3.リフレーミングする
★ 湧き上がるポジティブ・ネガティブを大切に
★ まとめ
自己肯定感の正しい意味や定義として、自分をあるがままに肯定する感覚を養うことは、意外と難しいものです。
自己肯定感は、無理して肯定する習慣やクセをつけるのではなく、自分の素直な感情を大切にするプロセスを通して少しずつ高まっていくものです。
では、どんな方法があるのかをご紹介します。
1.「第一感情」を見つめなおす
私たちは毎日いろいろな感情を抱きながら生きています。
その感情の湧き上がる順番に、第一感情、第二感情、第三感情があり、第一感情は特に意識せずスッと消えるとされています。
わかりやすいのが、怒りは第二感情としてあるもので、その前に不安や期待などの第一感情があって、その不安がうまくいったときは安堵に変わったり、期待が裏切られたりしたときは怒りとなって現れるとされています。
ストレスや疲れも、第二感情につながる第一感情です。
意識しにくい第一感情を自分の中で、さらりと流してしまっていないかを見つめなおしててみましょう。
2.ネガティブを無視しない
人間であれば、ネガティブな感情や部分があるのは、当たり前のことです。
悲しみや怒り、イライラ、落ち込むなどがネガティブ感情の例ですが、自分を肯定しようとするあまり、その感情にフタをしていませんか?
悲しみや怒りを持つ自分がいつのは当たり前、それもまた自分のです。
その感情を無理やり切り捨てず、あるがままに受け入れ、どう解消して気持ちが落ち着くようになるのか、試行錯誤しながら過ごしましょう。
自己肯定感が高いというのは、悲しみや怒りをすぐに切り替えて次に行けることではなく、悲しみや怒りに包まれていても自分の価値は変わらないと思えることなのです。
3.人と比べない
自己肯定感が最も揺らぎやすいのは、劣等感に出くわしたときかもしれません。
人は多かれ少なかれ、他人と自分を比較してしまうものです。
あの人はできるのになぜ自分はできないのか、負けたくないと対抗してもかなわない、自分が情けないと落ち込む…そんな生き物です。
でもあなたの価値はまったく変わりません。
誰かと比べるより、自分の目標は何か、自分がどこまで前進できているか、自分なりにどのくらい頑張れているか、自分を指標にして考えられるようにしましょう。
誰かに勝つのではなく、昨日の自分を今日の自分が少しでも越えることができたかどうかが価値の基準になのです。
4.自分の評価を大切にする
同じく、自分の感覚で自分を評価することを大切にしましょう。
周囲の評価は気になるものですが、目で見える成果や数値、成績表に出ている部分だけの評価ではなく、実際には自分にしかわからない努力や感情があるはずです。
企業の人事評価でも、上司による評価だけでなく自己評価もあわせて最終的な評価を出す企業が増えています。
自分の評価を意識すると、今の課題や自分らしさが見つかるきっかけにもなることもあります。
5.想いを伝えよう
最後は、自分の気持ちはぜひ声に出して伝えましょう。
自分の感情を大切にするヒントをあげてきましたが、他者の感情を優先して自分の感情を後回しにしたり、隠したり、伝えてはいけないように感じたりしていませんか?
もしそうなら、少しずつでも自分の考えを口に出すようにしてみましょう。
考えが食い違っていたとしても、対立するのではなく、「あなたはそう考えているのに対して私はこう考えている」と自分の意見を出す訓練をすることです。
もし周りに否定されても、それがあなたの価値には影響することはありません。
自分の中だけでなく、人の中にあっても自分の感情を大切にしてみてください。
やはりどんなときでも自分の価値を見失わない自己肯定感のアップのためには、あるがままの自分を認める「自己受容」がキーワードになるようです。
自分のポジティブな気持ちもネガティブな気持ちもそのまま受け入れられるように、次の3つのステップを意識してみてください。
STEP1.インナーペアレントに左右されない
なにかに挑戦したいと思ったとき、心の中で「きっと失敗するからやめた方がいいよ」と別の自分がささやくことがあると思います。
その感情は、親が子どもを守ろうとするような心の中の自分「インナーペアレント」と呼ばれています。
実際に挑戦して失敗したときに、「私ってダメな人間だ」と批判的に思うのも、インナーペアレントの仕業です。
でも確実な事実は、失敗したことと落ち込んでいる自分がいるというだけです。
失敗した=ダメな人間、という評価は事実ではありません。
何がインナーペアレントなのか、その声に流されたり惑わされていないかを意識してみてください。
STEP2.自己否定を手放す
インナーペアレントの言葉に惑わされまいと思っても、否定的に考えてしまうのも自分自身なので、無視するのは難しいでしょう。
しかし否定的な考えは自分の評価や思い込みにすぎず、事実ではないことも多いのです。
否定的な思いが出てきたら、その思いの原因の事実のみを意識して少しずつ自己否定を手放していきましょう。
STEP3.リフレーミングする
ネガティブな気持ちも、あるがままに受け入れることが大切です。
まずはあるがままに受け入れ、その上で視点を変えてみると、ネガティブな印象ばかりではない場合もあります。
違うフレームにあてはめてみて捉え方を考え直すことをリフレーミングと言います。
わかりやすい例が、「失敗は成功の元」。
失敗したときは落ち込むけれど、新たな方法や対策を考えるチャンスにもなります。
発明王トーマス・エジソンの名言のように、
「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」
と、悔しい気持ちや考え方をリフレーミングしてみましょう。
自己肯定は、毎日を生きやすくするテクニックとしての一面もあるのです。
誰もが自分をあるがまま認める方法や自己受容のステップをヒントに、自己肯定感が少しずつ育っていくのを感じて生活することができれば、余計な嫉妬や負の感情も抱かずに済むでしょう。
まとめ
いつしか他人もそうでなくてはと考え、誰かを励ますときにも無理やりポジティブな方向に誘導しようとしていませんか?
人の心には、ポジティブとネガティブの両方が必ず存在しているもの。
ときには自分を否定してしまうことがあるのは当たり前のことです。
落ち込むことや、好きになれない自分がいることは、悪いことではないのです。
もっとありのままに自分を認められるよう、ポジティブや自己肯定感とは何かを今一度考えてみましょう。