腰痛や関節痛など体の状態がよくないと、外出することもついついおっくうになりやすく、家に閉じこもりがちになり、ますます歩かない、家から出ない、食事量が減るといった悪いパターンにはまっていきます。
するとその先には心身の弱った状態(フレイル)が待ち受けることになり、ついには寝たきりへとつながってしまう恐れさえあるのです。
今回は、このい悪いパターンから脱却し、歳を重ねても元気に動き働く健康術「+10(プラステン)」についてご紹介したいと思います。
フレイルになってしまうと要介護化リスクが高まります。
それを防ぐには、
①定期的な身体活動
②多様な食品摂取
③社会交流を組み合わせて実践すること
が非常に大切です。
70代以上になっても働き続け、動き続けることができれば、社会交流を維持したり、あるいは、身体活動量を増やすためにとても役に立ちますし、それに伴い食欲がわき、よく眠れるなど、プラスの相乗効果が表れ、介護予防効果は顕著に高まります。
これまでの研究でも、①定期的な身体活動、②多様な食品摂取、③社会交流を組み合わせて実践することの3つが、各々介護予防に効果的なことは示されていましたが、これを組み合わせて実践することで介護予防効果がどの程度高まるのかは、明らかになっていませんでした。
しかし単独で実践するよりも3つを組み合わせることで、さらに介護リスクを低減できることがわかったのです。
この研究では、都内の65~84歳の男女約7800人を対象に、約4年間の追跡調査を行いました。
先に紹介した①~③の3つを全く実践していないグループを基準とすると、3つのうち1つを実践しているグループでは要介護化リスクが18%減、いずれか2つを実践しているグループでは35%減、3つを組み合わせて実践すると46%減少していました。
この結果から、高齢者が3つ全てを実践した場合、その自治体の3年間の要介護認定が、16%減少すると試算されました。
ご本人にとっても、ご家族や地域社会にとっても、3つを組み合わせた実践は大いに役立つと言えるのです。
もちろん高齢者になってから実践しはじめてもよいのですが、さらに手前の中年期から体を鍛え、栄養バランスの良い食事をとり、さらに仕事や趣味を通して人との交流を維持するのが理想のようです。
ただ、現役世代では、仕事が忙しくストレスがたまっているうえに、思うように体を動かす時間を作ることもできません。
時間に追われ、食生活も偏りがちですし、趣味を楽しむ機会もなかなか持つことはできないという悪循環に陥りやすいのです。
新しい身体活動基準で定められた基準を達成するための実践の手立てとして、国の施策の『+10(プラステン)』が国民向けのガイドラインとして示されました。
『厚生労働省アクティブガイド -健康づくりのための身体活動指針-』
アクティブガイドは「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」をメインメッセージとしており、A4表裏1枚にシンプルにかつイラストや図表などを活用し理解しやすいことを目標にまとめられています。
わずか10分でも毎日体を動かすようにすれば、将来のフレイル予防に必ずつながるので、ぜひ中年期から意識して実践し、高齢期になっても継続していただければ思います。
週150分以上の中強度身体活動(たとえば、速歩きや筋トレ)
<食品摂取>
魚、油、肉、牛乳、緑黄色野菜、海藻、芋、卵、大豆、果物の食品グループのうち、1日7種類以上を食べる
<社会交流>
週1回以上の対面/非対面の交流
まとめ
毎日運動しないといけないと、大げさに考えることはありません。
例えば、10分歩くと約1,000歩になります。
1日の身体活動が10分増加すると、死亡、生活習慣病・がん・ロコモティブシンドローム・認知症の発症が、3.2%減少することがわかっています。
毎日のプラス1,000歩の積み重ねがフレイル予防につながるのです。
『血圧・運動・食事 記録するだけ! 健康長寿ノート』