親としては、子どもに本を読んでほしいと願っているのに、本人はゲームやyoutube動画は楽しんで見るけれど、本にはまったく興味がないというご家庭も多いのではないでしょうか。
「本を読みなさい」と言っても暖簾に腕押し。
いったいどうすれば子どもが本を読むようになるのかについて今回は、榎本博明氏著書『親が「これ」をするだけで、子どもの学力は上がる!』より、考えてみたいと思います。
読書が人間の知的発達や成長に好ましい影響を与えるということは、誰もが何となく分かっているはずです。
わが子の知的発達や成長を願う親としては、できるだけ本を読むことが好きな子になってほしいと思うものでしょう。
そこで親は、「本を読むとためになるから」と言って、子どもに本を買い与えます。
子どもはテレビを見たり、ゲームをする時間は使うものの、待てど暮らせど一向に買い与えた本は読んでくれる気配がない。
いくら本を読むように言っても、まったく関心を示さないわが子を前にして、無力感に打ちひしがれてしまうということはありませんか。
しかし子どもとはだいたいそんなものかもしれません。
「ためになるから」と言われて、「じゃ、本を読んでみよう」と思うのは、やはり読書にもともと興味がある子であって、一般的にはそんなにうまくいかないものです。
ほとんどの大人だって、そんなに意思が強いわけではありません。
「ダイエットするといいよ」と言われたときは、「たしかに太ってきたし、ちょっとやせた方がいいかもな」とダイエットを決意して、始めは甘いものを控えたり、駅などのエスカレーターは使わず階段を使うようにしても、そのうち「今日くらいはいいか」と甘いものを食べたり、エスカレーターを使ったりしてしまうようになる…。
それが、当たり前になっていき、いつの間にかダイエットのことなど忘れて以前の生活に戻っていたなんてことに思い当たる人も多いのではないでしょうか。
ダイエットに本気で根気強く取り組むには、ダイエットをするとこんな素晴らしいことがあるとか、今真剣にダイエットをしないと命に係わる危険がある、などといったことを実感しなければ続けることはなかなか難しいものです。
痩せるといいな、と頭では分かっていても、なんとなくそうなりたいというのではなく、心から目標を決めて納得していなければ、本気で取り組むことはできません。
話がそれてしまいましたが、要するに大切なのは、読書がどんなふうに子どものためになるのかを分かりやすく説明することです。
そうした説明をせずに、いくら「本を読みなさい」と促しても、読もうという気持ちにはならないものです。
まずは親自身が、本を読むことが人生のどんな役に立つのかをきちんと理解しておくことが求められます。
そうでないと、何を言っても説得力はありません。
いくら本を買い与えて、読むように親が言ってたとしても、子どもが一向に読む気配がない様子が続けば、「もう、いいか」と諦めてしまう人も少なくないと思いますが、それは後々、子どもが読書をすることのない人生を歩むという結果をもたらす可能性もあります。
できるなら、幼いうちから自主的に本を読みたいと思うような習慣をつけておきたいものです。
そのために親がもっとも見逃しがちになる大切なことは、子どもが本を読むことの楽しさを知ってもらうということです。
本の中の世界には、今、自分が生きている現実とはまったく別の、もうひとつの世界があります。
そのもうひとつの世界で、ドキドキ、ワクワクするような出来事を経験することができるのです。
親として子どもに本を読むようになってほしいと思っている人の中には、自分が幼かったころに親から「読書は役に立つ」「読書はためになる」「読書をした方がいい」などとさんざん言われたのに、結局あまり本を読まないまま今に至っているという人も少なくないはずです。
「役に立つ」とか「ためになる」と言われるばかりで、自分自身が本を読む楽しさに目が向かなかったのに、同じことを子どもにしているのは、愚の骨頂と言えるでしょう。
親はこういう言葉を決して言ってはいけません。
子どもは自分が楽しいと感じることは、言われなくても自ら進んでやるものです。
本を読む楽しさを体験すれば、「もういいかげんに本ばかり読むのはやめなさい」と親が逆に制止しなければいけないほど読書に没頭する子になるかもしれません。
そうなると、読書を楽しみながら語彙力や読解力が高まり、教科書や先生の説明もよく理解できるようになり、知的好奇心もどんどん高まっていくことでしょう。
まとめ
子どもに「読書は役に立つ」「読書はためになる」と言えば言うほど、子どもは本を敬遠して読まなくなっていくと考えてください。
小さいころから親が絵本を読み聞かせながら、親子で一緒に絵本の世界を楽しむことをしていれば、自然に本の世界が好きになり、自主的に読書をする子になってくれるかもしれません。
私自身は、本だけでなく文字を読むことが大好きなので、今も老眼と闘いながら日々何かを「読んで」いないと気が落ち着きませんが、娘も夫も読書にはまるで興味がないのです。
娘が幼いころは、毎日のように図書館の絵本コーナーで一緒に過ごしたものですが、読み聞かせをしていたからといって、必ず読書好きになるとは限らないという逆の結果として、今、目の前に存在しています。
『親が「これ」をするだけで、子どもの学力は上がる!』