足腰の筋力が低下して、ふらつきや関節の痛み、麻痺などさまざまな症状に悩む高齢者にとって「杖」は大切ななサポートアイテムです。
自分に合った杖を選べば、歩くことを長く楽しめますし、要介護にならないためには、まさに転ばぬ先の「杖」だと言えるでしょう。
前回に引き続き、個人の経験値と収集した情報から、杖のタイプや特徴、選ぶポイントなどをご紹介します。




杖の役割とは


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2019年の厚生労働省がおこんった国民生活基礎調査の概況調査 「現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)」 によると、介護が必要になった原因として「関節疾患」「骨折・転倒」が、認知症や脳血管疾患などに並び上位にきています。


要支援は「関節疾患」が1位、「骨折・転倒」が3位、要介護では「骨折・転倒」が3位となっていおり、ます関節のトラブルで歩きにくくなり、やがて骨折や転倒をしやすくなって、介護度が上がっていくことが考えられます。

「フローリングで滑った」「階段でつまずいた」などの日常生活のちょっとしたアクシデントでも、高齢者にとっては大変危険なものです。

転倒が原因で骨折に至り、そのまま介護状態になることもレアなケースではありません。


しかしこういった事故は、「杖」などの歩行補助用具を上手に用いることで、転倒を予防することができます。


加齢により筋力の低下や関節がスムーズに動かせなくなると、歩きにくくなり、ふらつきによる転倒が増えてくるので、杖はこういった歩行に悩みを抱え始めた方たちのサポートをしてくれます。


杖を使用するに際して、大きく以下のような3つの役割や効果があります。


1.体重を分散させて足への負担を軽減する

2.バランスを良くしてふらつきを防ぐ

3.歩行リズムを整え安定して歩けるようにサポートする



杖なしで立っているときに比べると、杖をついていると体重を支える面が広くなるため安定感が増します。

また、膝や腰の痛みにより歩くことが困難になると、外出することが億劫になってしまいますが、杖を使うことで安定した歩行ができ、生活範囲を広げることができるようになります。





杖の形状と種類


杖にはいくつかの形状があり、代表的な5つをご紹介します。


●C字型

持ち手がC字で持ちやすく安心感があります。
 体重を強くかけると杖がたわんでしまうこともあるため、体重をかける使い方は不向きです。
歩くことが少し不便になってきている人向けの杖です。


●Т字型

持ち手がT字になった杖で、グリップに体重をかけやすくなっています。
握るときは、人差し指と中指の間に杖のフレームをはさんで、グリップに体重をかけるため、ある程度の握力が必要です。
グリップの太さやデザインはさまざまな種類があるので、握りやすいものを選ぶようにしましょう。


●L字型(オフセット型)

杖の上部にL字型のグリップが付いているタイプです。
 T字型のようにグリップを指ではさむ力を必要としないため、握力が弱い人でも比較的使いやすい杖です。


●多脚杖

グリップを備え、地面に設置する脚部が3~5本に分岐している杖です。
一般的には4点に分岐したものが多く、四点杖ともいわれています。
脚部が1点でなく複数点で支えるため、安定性が増します。
使う時は、4点すべてが床面につくように垂直に杖をついて歩行することが大切です。
筋力の低下や麻痺がある人に使いやすいタイプです。


●ロフストランド杖

1本の脚と体重を支えるグリップ、腕を支えるカフを備えた杖です。
前腕部支持型杖とも呼ばれています。
カフとグリップの2カ所で体重を支えるため、グリップの1カ所で支える杖よりも、安定した歩行ができます。
体重も分散しやすく、握力の弱い方や、手首に力が入りにくい方に適している杖です。



他にも、コンパクトに収納できる折りたためる杖は、電車やバスなどに乗ったときなど、外出先で邪魔にならない点ではいいと思います。






あなたに合った杖選びを

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ではいったいどのような杖を選べばよいのでしょう?

いろいろなタイプの杖が販売されていますが、杖が必要になったときの自分の体の状況や使う環境などを考えて選ぶことが大切です。


自分の体に合う杖を選んだ後に、デザインや色などの見た目の好みを考えましょう。

まずは、自分の体に長さが合うかどうかが重要なポイントです。


以下の3つのポイントを踏まえて杖の長さを調整してください。


1.杖のグリップが手首までの長さ

 腕を垂直に下ろしたとき、杖のグリップの位置が手首(とう骨茎状突起・尺骨茎状突起)あたりにくる。


2.杖の長さは足の付け根ぐらい

 立ったときに足の付け根あたり(大転子)までの長さ。


3.肘が軽く曲がる長さ

 足の小指の外側15cm、前方15cmのところに杖をついたとき、肘関節が約30度屈曲位になる長さ。



杖を使った正しい歩き方としては、杖は麻痺や筋力低下などがないほうの足側の手で握り
1.杖を一歩分ほど前につき
2.患側(麻痺や筋力低下がある)の足を出す。
3.健側(麻痺や筋力低下がない)の足を出す。


を繰り返して歩きます。


ふらついてバランスがとりにくい場合は、持ちやすい方の手(利き手)で握ってみてください。
長さは少し長めの方が安定しやすいです。


歩きにくい身体の状態で、杖を使うことにためらいがある方も積極的に杖を使ってみてください。

杖を使うことで、転ぶことを防いで安全に歩け、生活範囲を維持、もしくは拡大することが期待できます。


杖を使いたいと思ったときは、ケアマネジャーを通じて福祉用具の専門家などの歩行補助用品の専門家に相談し、ぜひ身体の状態に合った杖を購入もしくはレンタルで選ぶことをおすすめします。

一般的には4000~1万円くらいが売れ筋なのだとか。

自分に合った杖を活用することで、長く自分の足で歩くことを楽しむことができますよ。。






まとめ

足腰の筋肉が衰えてきたとしても、杖を使ってウオーキングを続けることで、転倒や認知症の予防など、得られるものは大きいと思います。
杖を使うのは恥ずかしいと家に引きこもっていると、ますますおっくうになり外出しなくなります。
そういった悪循環の生活になると要介護になってしまう日が早まるかもしれません。
賢い杖選びで、いきいきしたシニアライフを長く維持したいものです。

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。