私も母の杖を一緒に選びに行ったとき、あまりの種類の多さに「選べない~!」と思ってしまいました。
そこで今回、個人の経験値と収集した情報から、杖のタイプや特徴、選ぶポイントなどをご紹介します。
杖を使いながら歩くということを想像すると、何となく歩行を補助する器具というイメージわきますが、最近では軽くてデザイン性も高く、実用性に富んだ商品が増えています。
また、転倒を防止したり、ひざの負担を軽減するなどの機能性の面からの効果も期待しながら、親にいつまでも若く見えていてほしいと願う子どもからの需要も増えています。
では、杖を持つべき年齢は何歳ぐらいからでしょう。
こればかりは人それぞれですが、一般的には75才を過ぎたら意識して足元をチェックしてみるとよいでしょう。
なぜなら、杖は自力歩行ができなくなったときに使うものではなく、むしろ杖がないと歩けない状態になってから使い始めるのでは遅いのです。
取っ手がT字になっている「T字杖」という一本足の杖は、足腰が弱ってからではバランスがうまく取れずに転倒しやすいですし、杖を持つ手に体重がかかって、腕や肩を痛めてしまうこともよくあるからです。
昔からのことわざで「転ばぬ先の杖」といいますが、まさにその通りなのです。
もちろん、自分の足でスタスタと歩けるほど足腰がしっかりしているのであれば、80代でも90代でも杖を使う必要ありません。
ただ、やはり後期高齢者と称される75才くらいから足腰のバランス感覚が衰え始めるといわれているので、この年齢を超えたら、一度、杖を持つことを検討してみるのもいいでしょう。
杖を使い始めるタイミングとしては、過去1年くらいの間に、何も障害物がないところで転んだことが1回でもある場合は検討が必要となってくるでしょう。
これに該当する70%以上の人には、この先も同じように何も障害物がないところで転倒する確率が高いといわれているからです。
危ないのは、急いだり考え事をしているときに、足元が危なっかしくなって転倒してしまうことです。
たとえば、高齢者はインターホンが鳴ると、慌てて出ようとして転ぶケースがよくあります。
過去に1回でもこうしたケースがあった方は、足腰が弱っていると考えられるため、杖を持つことをおすすめします。
また、次に使い始めるタイミングとして考えたいのが、歩く速度が遅くなったときです。
信号が青に替わり横断歩道を渡っている途中で信号が点滅するようになったら、歩く速度が落ちている証拠です。
以前に比べて足腰が弱っている可能性が高いと考えられます。
そのほか、猫背になっていたり、ひざや腰が曲がって前かがみの姿勢で歩いていて、つま先が上がりにくい場合も、つまずきやすくなります。
さらにお薬を毎日5種類以上のんでいる方は、転倒リスクが2倍高くなるというデータもあるので、これらに心当たりのある方は杖を持つことで安心できるかもしれません。
しかし、自分自身では足腰の衰えに気づきにくいというのも事実です。
家族など第三者の目で確認して指摘してもらうことも大切でしょう。
足腰が弱ってくると外出するのが億劫になり、家に引きこもりがちになります。
すると、ますます筋力が衰え、将来的には認知症を発症したり、寝たきりになる可能性も高くなっていきます。
安心して出歩くためや筋力を弱らせない健康づくりのために杖を使うという考え方をすることが大切だと思います。
杖をついている人はお年寄り、というネガティブなイメージは現在、薄くなってきています。
むしろ高齢者のために杖をプレゼントする人が増えているのが現状なのです。
プレゼント目的で購入される方が購入者の約半数程度を占めていると言う統計もあり、デザインもひと昔前に比べるとバラエティーに富んだものが多く、お子さんやお孫さんからプレゼントされると喜んで使ってもらえるケースもよくあるようです。
杖は、転倒リスクを減らすだけでなく、持つことで歩きやすくなり、歩行距離が伸びるため、健康づくりに役立ちます。
運動することで、いくつになっても筋力はアップしますし、足腰も鍛えられます。
杖を使って長く自分の足で歩くことができれば、行動範囲も広がり、気持ちも前向きになれます。
長い目で見て若さを保つためにも、杖を持つことはとてもおすすめなのです。
具体的に杖をいつから持てばよいか、確認する5つのチェックポイントがあります。
それは、
1.75才以上である
2.過去1年に転んだことがある
3.最近、歩く速度が遅くなった
4.背中が丸くなった
5.毎日、5種類以上の薬をのんでいる
の5項目です。
上の項目すべてに該当する人は、身体機能の衰えやフレイル(虚弱、老衰、脆弱などの意)の兆候が表れやすい傾向にあります。 2に該当し、そのほかのいずれかひとつでも当てはまる方は、転倒リスクが高いので杖の使用を検討してみましょう。
まとめ
もう杖=年寄りというネガティブなイメージはないに等しいのですから。
次回は、杖の選び方や種類についてお話ししたいと思っています。