食物繊維、鉄分、カリウム、ビタミンA、ビタミンB1などの栄養素を豊富に含み、これからが旬の野菜です。
カプサンチンやルテイン、ポリフェノールといったパプリカに含まれるさまざまな栄養素の多寡(たか)によって色の違いがあるというのも特徴です。
種やわたなどは捨ててしまいがちですが、実は可食部よりも栄養素が豊富に含まれています。
今回は、パプリカの成分・栄養素・カロリーなどについてご紹介したいと思います。
そもそもパプリカが、ナス科トウガラシ属ピーマンの仲間であるのはご存知でしょうか?
ピーマンという名前は、フランス語で唐辛子を指す「ピマン(piment)」という言葉に由来しています。
パプリカは、別名「スイートペッパー」とも呼ばれており、辛みのない大型のとうがらしなのです。
ピーマンは、中南米で紀元前5,000年ごろから栽培されていたと言われています。
1943年に探検家のクリストファー・コロンブスが中南米からスペインに持ち帰ったことから、ヨーロッパ各地に広まりましたが、当時は香辛料として扱われていたそうです。
当時のピーマンは大きくて苦みが強く、青臭いので、食べづらかったことから品種改良が繰り返されていました。
18世紀に日本にも辛みのないピーマン「あまとうがらし」が伝えられ、その流れを汲んで「パプリカ」が誕生します。
パプリカはピーマンの中でも、肉厚で大きな「肉厚大果種」に属し、果実が立方体系の「ベル系」に分類されます。
色は、赤色、橙色、黄色、黒色、緑色、紫色があります。
果実が大きいだけではなく甘みがあって水分も多いので、サラダや前菜などに使用されるケースが多いようです。
パプリカの生育温度は22~30℃とされ、これからの夏場が旬の野菜です。
鮮やかな彩りのパプリカは、洋風の食生活化が進んでいた日本で注目され、年々消費量が増え続けて、2015年以降は年間で4万トンほど輸入されています。
日本でも宮城県や茨城県などで栽培されていますが、90%は輸入品です。
パプリカは可食部100gあたり約30kcal。
ナス科の仲間と比べてみても、ピーマン22kcal、ししとう27kcal、なす22kcal、トマト20kcalで、とびぬけてカロリーが高いということはなく、食物繊維、鉄分、カリウム、ビタミンA、ビタミンB1などを豊富に含んでいます。
赤や黄色といった色の違いがあるのは、リコピンと並ぶ還元化作用があるルテイン、カプサンチンといったカロテノイドの一種の色素成分によるものです。
また、「ビタミンエース」と呼ばれる、ビタミンA・C・Eを含んでいるのも特徴です。
さらに赤や黄色のパプリカはピーマンよりビタミンCを2倍以上も含んでいるほか、赤色のパプリカにいたっては2倍以上のβ-カロテンを有しています。
パプリカはピーマンと似ているようで、栄養価はかなり異なっているのです。
驚きなのは、一部の栄養素が可食部ではなく、わたや種などに多く含まれていることです。
実際にパプリカ100gあたりの可食部と非可食部の栄養成分を比べてみました。
表からもわかる通り、パプリカのわたや種には現代の日本人に不足しがちな食物繊維やカルシウム・カリウムなどのミネラルがぎゅっと凝縮されているんです。
なので、パプリカの栄養素をしっかりとろうとすれば、捨ててしまいがちなわたや種の部分こそ食べた方が良いのです。
パプリカはできるだけまるごと食べる!のがおすすめです。
また、パプリカは低温や水気に弱いのが特徴です。
冷やすと種子の部分が劣化してしまうので、夏場以外は常温で保存するのが良いでしょう。
長く保たせたいときは、穴の開いたポリ袋に入れて、野菜室で保存すると1週間ほどもちます。
なお、一緒に保存しているなかの1つが痛むと、そのほかの痛みも早くなるので注意が必要です。
焼きパプリカと生ハムのマリネ
味も食感も好対照なベストコンビ!
<材料(4人分)>
・パプリカ(赤)…1個
・パプリカ(黄)…1個
・生ハム…50g
・玉ねぎ…1/2玉
【合わせ調味料A】
・酢…大さじ2
・オリーブオイル…大さじ1
・レモン汁…小さじ1
・塩、コショウ…各少々
<作り方>
1.玉ねぎは薄くスライスにして水にさらし辛みを抜いて絞っておく。
2.パプリカを2cm幅に切り、オーブントースターのトレーにアルミ箔を敷き、パプリカをのせる。オリーブオイル適量(分量外)を回しかけ、1000Wで3分ほど焼く。
3.合わせ調味料Aを混ぜ合わせたボウルに1.と2.を加え、生ハムを入れて食べる直前まで冷やしておく。
白菜とパプリカのツナサラダ
もう一品って時の超簡単スピードおかず
<材料(4人分)>
・白菜…1/6株
・赤黄パプリカ…1/2個ずつ
・ツナ缶…1缶 (約70g)
・パセリ(乾)…小さじ1/2(あれば)
【合わせ調味料A】
・マヨネーズ…大さじ2
・砂糖…小さじ1
・酢…大さじ1
・ニンニクチューブ…3cm
・塩…小さじ1
<作り方>
1.せん切りにした白菜、赤黄パプリカをボウルに入れ、塩を加えてもみこみ10分おいてから、水気をしっかりしぼる。
2.1.に合わせ調味料Aを入れてあえる。仕上げにパセリを振りかけて完成。
パプリカとツナ缶のごま油炒め
ごま油の風味が食欲をそそります。
<材料(4人分)>
・パプリカ(赤)…1個
・パプリカ(黄)…1個
・ツナ缶(油漬け)…1缶(70gの缶)
【合わせ調味料A】
・すりごま…小さじ1
・塩、こしょう…少々
・めんつゆ(2倍濃縮)…大さじ1
・万能ねぎ(斜め切り)…少々
・ごま油…大さじ1
<作り方>
1.パプリカ(赤・黄)は、ヘタを取り、縦に半分に切り、2mm幅に切る。ツナ缶(油漬け)は、油を軽く切っておく。
2.フライパンに、ごま油を熱し、1.をさっと炒め、合わせ調味料Aを加えて炒める。
3.器に盛り、万能ねぎを散らして完成。
まとめ
肉や油との相性も良く、いろいろなレシピで美味しくいただくことができます。
購入する際には、皮にシワがよっているもの、色が黒ずんでいるものは避けて、軸の切り口が新しく、丸々していて肉厚色が濃い、はり・つやがあるものを選ぶとよいでしょう。
ご紹介したようにパプリカは、わたやヘタなど捨てるところのほうに栄養粉が豊富にあるので、できるだけ丸ごと食べるようにしたいものですね。