フレックスタイムを導入している企業でも、コアタイムをはさんで出社時刻と退勤時刻を決めている方もおられるでしょう。
では、その勤務時間帯に効率よく仕事に取り組むにはどうすればいいのでしょう。
メンタルコーチの大平信孝さんによれば、実は時間帯によって適している作業は違っていて、例えば集中力が途切れやすいランチ後は、他の人と一緒に行う仕事をやるとよいのだとか。
今回は、大平信孝氏著書 『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版) から、他にも効率的に仕事を片付けていくヒントをご紹介したいと思います。
同じ仕事をするにしても時間の使い方を工夫すれば、結果は大きく変わります。
時間を有効活用するために効果的なのが仕事の時間割です。
学校の時間割のように厳密ではありませんが、1日を5つに区切って、それぞれの時間帯に合った仕事を割り振るのです。
下の1.~5.の時間内に「最低限しておくこと」を決めておきます。
細かく決めてしまうと、急な変更が生じた時に対応できなくなってしまうので、あくまでも「最低限」です。
では、1つずつ見ていきましょう。
1.出社前の朝時間
出社の朝時間は、他人に邪魔されることなく自由に使える時間帯ですから、自分にとって大切な仕事以外のことを、この時間帯に行いましょう。
例えば、ランニングや語学の勉強、ヨガ、瞑想などです。
2.午前中
午前中は、比較的集中しやすい時間帯ですから、企画や戦略立案など、頭を使う仕事を行うことがおすすめです。
余った時間で、先の予定TO DOリストに取り組むのもいいでしょう。
3.昼食後~15時まで
ランチの後はお腹いっぱいでボンヤリして眠くなりやすいため、最も集中力が途切れる時間帯ですから、単独での仕事はやめて、ミーティングや打合せ、商談などといった、他の人と一緒に行う仕事を入れましょう。
4.15時~退勤まで
15時以降は、勤務終了までのカウントダウンという締め切り効果によって再び集中力が高まる時間帯です。
そこで、経費精算や日報、各種手続きなどの細かくて面倒な事務作業を行うのがおすすめです。
本業務以外の雑務で残業するのは誰もが避けたいはずですから、自然と早く終わらせようとします。
5.帰宅後の時間
終業後は、仕事のことは忘れ、リラックスしたり、楽しんだり、心の栄養を補給する時間を確保しましょう。
友人とご飯を食べに行ったり、趣味に没頭したり、好きな映画を見たり、ゆっくりお風呂に入ったりと、リラックスして明日の活力になるような過ごし方がおすすめです。
また、ペンシルベニア大学の心理学者マーティン・セリグマン教授は、毎晩寝る前に、その日のなかでよかったことを3つ書いてから眠ると、その後半年間にわたって幸福度が上がると言っています。
お手軽で簡単なので、ぜひ試してみてください。
その原因は、あなたがだらしないからではなく、仕事に「制限時間」を設けていないからです。
心理学の世界に「仕事は、与えられた時間の長さいっぱいまで膨張する」という「パーキンソンの法則」というものがあります。
例えば、5分でできることでも、20分の時間があると、結果的に20分かかってしまうということです。
時間制限を設けないと、必要以上の時間を仕事に費やすことになるのです。
逆に言えば、どんな仕事でも時間制限を設けることで、集中力が増し、最短の時間で終わらせることができるというわけです。
おすすめなのは、仕事の時間を15分単位で区切ることです。
15分なんてあっという間だと思うかもしれませんが、意外と多くのことができます。
15分ではなく、60分、90分など、区切る時間を長くしてしまうと、前述の「パーキンソンの法則」に従って、作業時間が延びてしまい、貴重な時間を無駄にしてしまうことにもなりかねません。
時間を計る際は、時計ではなく、カウントダウンできるキッチンタイマーがおすすめです。
キッチンタイマーの音が気になるという人は、バイブレーションや光の点滅で時間を知らせてくれるスマホアプリなどを活用してもいいでしょう。
区切りになる15分の最初に、「10秒アクション」を行ってください。
文字通り「10秒あればできる具体的行動」のことで、10秒でできることから動いてみるという方法です。
例えば、報告書を書くのであれば、まず最初に「報告書のファイルを開く」「手帳を取り出す」など、自分で決めた10秒アクションを行います。
すると、他のことが気にならなくなり、仕事に集中しやすくなります。
さらに、15分でここまで終わらせる!と決めてからとりかかることもおすすめです。
ゲーム感覚で「15分でどこまでできるか」チャレンジしてみましょう。
これを続けていくと、「15分だと物足りない」「15分は長すぎて集中できない」といった人も出てくるかもしれません。
そんなときは、時間を5分単位で延ばしたり、短くしたりして、自分にとって最も集中できる区切り時間を見つけましょう。
私たちは常に高い集中力を保ち続けることは不可能で、本当に集中できる時間は、1日のうちわずかです。
このわずかな本当に集中できる時間を有効活用できるかどうかで、行動の「質」は変わってきます。
ちなみに、「集中しやすい時間帯」は人によってもさまざまです。
先ほど、就業前までの朝時間は、最も外部要因に左右されにくい時間帯だと解説しましたが、この時間以外にも、早朝、昼前、夕方など集中しやすい時間帯はその人のライフスタイルによってそれぞれあると思います。
就業前までの朝時間とあなたの集中しやすい時間帯に、30分ずつ「一番大事なこと」に本気で取り組んでみてください。
この時間に、普段先延ばしにしがちだけど、自分にとって大切なこと、本当にやりたいことに取り組めたらベストです。
30分が2回で1日1時間。
この1時間は本気で集中して、オリンピック選手が本番に臨むときのように全てを出しきってください。
これが継続できれば、1年後には200時間もの超生産的な時間を手に入れることができます。
まとめ
それでも行動し続けられるのは、そういう人は集中力を回復する自分なりの方法を持っていて、いつでも実行できるようになっているからです。
具体的には、深呼吸やストレッチ、散歩、甘いものを食べるなど数分でできる方法、昼寝やストレッチなど30分くらいあればできる方法、旅行やキャンプ、釣りなど、まとまった時間が必要な方法の3種類程度を用意しています。
落ち込んだり思い通りにいかなくなって、リフレッシュが必要になったと感じた時に、その3つの方法の中からすぐに気分転換できる方法を実行しているのです。
気分転換がうまくなると、「これを終えたら○○できる」という「ご褒美効果」によって仕事も速く片付くので、ぜひ試してみてください。
『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』