ともすればざわついた心を振り返ることもできず、ほったらかしにしていることはありませんか。
心を穏やかにし整えながら、自分らしく幸せに生きるためには、いつも軽やかに、シンプルでありたいものです。
そんな時に役に立つのは、心身を整える作用があるとされるヨガです。
古い歴史と哲学んび裏打ちされたヨガ哲学は、ヨガの考え方をベースにした、より幸せに生きるための指針になってくれます。
いらない物や余計な考えを手放し、軽やかな心を取り戻すために大切なのは、「自分の心のクセに気づき、考え方を少し変えてみる」こと。
今回は、ヨガ哲学をヒントに、心を軽くする考え方をご紹介します。
あなたもその中のおひとりではないでしょうか。
いらない情報やモヤモヤで頭がいっぱいになると、心がざわついて疲弊し、エネルギー使い果たしてしまいます。
そうなると軽やかに幸せを察知する感度もどんどん鈍っていくのでが、いつの間にか抱え込んだ荷物を手放し、心を軽くするヒントとして、ヨガ哲学の「アパリグラハ」があります。
「アパリグラハ」とは「不貪(ふとん)」と訳され、必要以上のものを欲しがらない、執着しないことを指します。
言い換えれば、その時に必要だったら使い、いらなくなったら捨てればよいということです。 持ち物で考えてみると分かりやすいと思いますが、あなたの家のクローゼットは、どこに何が入っているか、分かる状態で整っていますか?
たくさんのものが適当に詰め込まれていて、どこに何があるのか分からなかったり、探している服が出てこなくて、目についた服を着たりしたことはないでしょうか。
買ったことも忘れてしまっているタグ付きの服が出てきたり、忘れて同じようなものをまた買った経験のある方もいるかもしれません。
もし身に覚えのある方は、不必要な物や自分に合わないものを手放し、あるがままを受け入れ、求め過ぎることなく心軽やかな状態を目指す良い機会です。
穏やかな自分でいるためにのヨガ哲学「アパリグラハ」をヒントに、心のデトックスを促して、本来の柔らかい心を取り戻しましょう。
何かに執着すると、自らを鎖で縛って心の自由を奪ってしまいます。
すると周りが見えなくなり、ときに健全な思考を鈍らせたり人への優しい心を失わせたりするのです。
そんなことにならないように、物理的にもメンタル的にも執着を手放し、心を軽くする7つのヒントをご紹介します。
ヒント1:「断捨離」で手放す練習をする
まずは物質面での「アパリグラハ」から。
「行動」という目に見える形から始めることで、抽象的でつかみどころがない「心」の作用を整えていきます。
少し前から話題になっている「断捨離」は、ヨガの考え方がベースになっているのだそう。
断捨離は、片付けや整理整頓を通して物を手放し、自分にとって本当に必要な物を取捨選択する心を養う作業なのです。
また、「物を所有する」ことについても考えるきっかけになります。
物が増えれば、その分置き場所や保存方法、活用の仕方を考えます。
自分にとって本当に必要で価値のある物以外は、空間や時間といったエネルギーを無駄に消耗することになることを覚えておきましょう。
今持っている物を改めて見直し、不要な物を「手放す」練習をしていくいと、空間にスペースができ、物理的にも心にもゆとりが生まれます。
ヒント2:先入観を手放してシンプルに考える
「こうであるべき」「こうでなければならない」という思いに囚われた先入観は、ときに執着を招きます。
人によっては、経験や知識を得るとともにこだわりも増えていきますが、度が過ぎると先入観となって柔軟な考えができなくなり、対人関係にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、自分のやり方にこだわり過ぎて、新しい仕事のやり方が受け入れられなかったり、他人から聞いた悪い噂が先入観となり、人と仲良くなるチャンスを逃してしまったり。
先入観があると物事の本質が見えなくなります。
自分の経験や価値観への執着を手放して、今目の前で起こっていることをシンプルに見る習慣が心を軽くしてくれます。
ヒント3:「自分の努力で変えられること」に目を向ける
物事には、自分で変えられることと、自分の力ではどうしようもないことがあります。
自分でコントロールできないことばかりに意識が向いていると、心が揺らいで不安定になりやすく、過度の期待や失望につながります。
天候や時勢などの外的な要因や人間関係、他者の行動などは、自分でいかに努力しようともどうにもなりません。
ここ数年のコロナウイルスによる社会風潮を見ていれば、実感されている方も多いと思います。
自分でコントロールできないことは手放し、自分の努力で変えられることに目を向け、今できることにエネルギーを注いでいきましょう。
誰でも近しい人に対しては、つい自分の希望や理想を押し付けてしまいがちです。
相手を変えようとするのではなく、自分の素直な気持ちをきちんと伝えた上で、ボールを相手に託し、どうするかは相手に委ねて見守ることが大切です。
ヒント4:結果に囚われずにプロセスを大切に
仕事やスポーツなど、日常の中における多くの事は結果が重要視されますが、ただ結果ばかりに気を取られていると、やはり執着につながることになります。
あらゆることの結果は、自分ではコントロールできない「未来」に起きることです。
結果にたどり着くまでには、必ずプロセスがあり、その過程の中で気づきや学びがあります。
結果にばかり囚われていると、その過程で起こった大切なものを見落としてしまうかもしれません。
テストで満点をとることや登山で山頂までたどり着くことは、目標であり結果でもありますが、満点でなくともその点数が取れるまでの学びや、山頂にはたどり着けなくても山の中腹で出会った美しい景色を眺めたことも十分に価値があります。
「結果=未来」に囚われず、「プロセス=今」を大切にすることが、執着のない軽やかな心につながるのです。
ヒント5:自分と関わる人に感謝する
人間関係において「執着しない」心を持つには、自分と関わる人に感謝する気持ちが大切です。 人はひとりでは生きていけませんし、人と関わることで心はどのようにも揺れ動きます。
人間として「この人にはこうなってほしい」「あの人と親しくなりたい」という気持ちが生まれるのは自然なことですが、その感情に囚われすぎると執着になり、相手を無意識に監視するようになってしまいます。
その結果、過干渉や束縛につながり、相手の気持ちを無視して独りよがりになり傷つけてしまうことにもなりかねません。
とくに身近な人に対しては、当たり前のことになり。感謝の気持ちをついつい忘れてしまいがちです。
ですが、今あなたの周りにいる人たちにも感情があり、人生があります。
感謝する気持ちが根底に持っていれば、相手を尊重し、柔らかい心で接することができます。
ヒント6:心静かな時間を持ち、自分を客観視する
軽やかな心でいるためには、日常の中で心静かに自分を振り返る時間を持つとよいでしょう。
執着よりも怖いのは、執着していることにすら気づけなくなってしまうことです。
毎日ストレスフルに過ごしていると、知らない間にだんだんと心がすり減り、虚無感や焦燥感が生まれやすくなります。
このような心の状態が知らず知らずのうちに「執着」を招くのです。
一日の中に少しでも心静かな時間をつくり、リラックスして自分を振り返りましょう。
今の自分の姿を外側から、客観的な視点で見てみましょう。
客観的とは、自分を含めたそこにいる全体の状況を少し離れたところから見つめることです。
もう一人のあなたが何かに執着している自分に気づくことで、その事実を受け入れることができ、心が整い始めます。
ヒント7:優しい気持ちで「あきらめる」
「執着しない」「手放す」というと、物をとにかく捨てたり、人との縁を切ったりと極端な行動を想像する人もおられるかもしれませんが、「手放す」とは、良い意味で「あきらめる」ことなのです。
「あったらとても嬉しいけれど、なくてもよい」「こうなったら素敵だけれど、ならなくても幸せ」といった前向きなあきらめです。
どうしてもコミュニケーションが上手くいかない相手がいるときは、無理やりにその人と仲良くなろうとすることはあきらめ、少し距離を取って時間を置いた方がいい結果になることもあります。
優しい気持ちを持って「あきらめる」ことで肩の余分な力が抜けていき、穏やかな心が取り戻せます。
その結果、柔らかい雰囲気が相手に伝わり、いつの間にか仲良くなることができるかもしれません。
まとめ
物質的にもメンタル面でも、何かに囚われている心の状態はつらいものです。
「~でなければならない」という価値観は心の自由を奪い、自分も自分とかかわる他者にも苦しみをもたらします。
自分の心のクセに気づき、考え方を少し変えてみることで、不要な物や考え方を手放すことができ、軽やかな心を取り戻せます。
疲労が溜まった身体をメンテナンスするように、心の持ち方を少しずつ良い方向へと導きながら、心軽やかに素敵な毎日を過ごせるようになりましょう。
ヤマ・ニヤマ ヨガの10の教え