特に賃貸住宅は、高齢者が入居を拒否されている実態が少なくないため、年老いてから転居したいと望んでもなかなかスムーズには運ばないようです。
今回は、幼い頃から祖母の自立した暮らしぶりを見てきたことで「高齢者でも入居可能な賃貸住宅を」という思いを抱き、『R65不動産』を設立された株式会社R65 代表取締役 山本遼氏の調査から、「賃貸住宅」に特化して、年老いてからの住まいや終の棲家を考えてみたいと思います。
日本では、高齢化を背景にご高齢者の住まいを確保することが急務となっていますが、65歳以上が入居可能な賃貸物件の割合は、実は全体の約5%しかないといわれています。
R65不動産が2020年5月に全国の65歳を超えて賃貸住宅の部屋探し経験がある888名にネット上で調査を行ったところ、「住宅難民問題」の実態に加え、この問題に対する20~30代の認識や意見について以下のような結果が得らました。
65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験がある方に対して、1番苦労したエピソードについて質問すると、年齢を理由に不動産会社からは拒否されやすく、多くの心理的・身体的な苦労があるようです。
では、賃貸住宅を探す高齢者はどのくらいの割合で入居を拒否されるのでしょうか。
実は全国の65歳以上で、不動産会社に入居を断られた経験がある人は23.1%にのぼり、およそ4人に1人が入居を断られています。
しかも、そのうち5回以上断られた経験がある人が13.4%と1割以上で、特に関東首都圏ではどちらも更に高い割合になり、より深刻な状況です。
R65不動産によれば、断られた主な要因には、年齢、保証人の有無、収入、健康度合いなどが考えられるということ。
実際に借りようとした人の「苦労したエピソード」には、「紹介物件があっても選択肢が少ない」「借りられそうな物件があっても古い、狭い、日当たりが悪い、交通の便が悪いなど、悪条件のところが多い」など、悲しくなるような内容ばかりです。
誰でも必ず年を取ります。
高齢になって賃貸住宅を借りようとした時に、年齢を理由に断られたり、悪条件の物件ばかり紹介されたら、心理的に辛いだけでなく、入居できるまでに時間がかかり、特に転居の必要に迫られている人にとっては、身体的、経済的にも大きな負担になってしまうのです。
実は、20~30代の6割が、住宅難民問題を『知らない』という結果が、R65不動産の調査によって示されました。
高齢者の住宅難民問題は、マスコミなどで度々報道されており、多くの大人は知っているものだと思っていましたが、R65不動産の調査では、20~30代の約6割が「知らない」と答えたのだそう。
若い世代では知らない人の方が多いということがわかりました。
その一方で、同じ20~30代で、この問題を「社会課題としてもっと周知されるべき」と答えた人が72.7%、「将来のことを不安に思う」が67.8%。今まで知らなかったけれど、解決するべきだし、将来のことを思うと他人事ではないと考える若い世代が多いことがわかります。
若者の認知度が低い一方で、危機感や改善を求める声も多くありました。
「年齢を理由に住まいを選択できないことはおかしい」と答えた方は63%、「将来のことを不安に思う」が67.8%となり、また、「高齢者の受け入れはリスクがあるのでしょうがない」については、「どちらとも言えない」を含めると87.1%との結果が出ています。
オーナーの立場から考えると同情することも多く、”問題の複雑さ”を感じていると思われます。
結果としては、若者がこの問題について「社会課題としてもっと周知されるべき」(72.7%)」だと改めて感じたことに繋がったのではないでしょうか。
そこで、不動産会社には、物件に立ち入って器具を設置する必要や管理コストの発生がなく、入居者にとってはカメラ等による監視のない、プライバシーを考慮した見守りのあり方がないだろうかと海外の見守りサービスも含め検討した結果、電気を使ったインフラ型の見守りサービスにたどり着きました。
この孤独死やトラブルに対するオーナーさんの不安の声を受けて開発した『あんしん見守りパック』は、電気を使った見守りサービスと、孤独死保険がセットになっています。
具体的には、電気の使用量データがいつもと違う値を続けると、入居者へ自動音声の電話がいき、応答がない場合は不動産会社へ連絡がいきます。
孤独死の早期発見に特化しているため余計なコストがかからず、月額980円という安価で提供できている点も好評なところです。
単身世帯の増加に伴い、高齢者だけでなく、居室内でで人知れず亡くなってしまう人の数は増加傾向にあります。
独り暮らしをする人の、室内での異変にいち早く気づける仕組みは、これからの社会に必要なインフラになっていくことでしょう。
まとめ
この高齢者の住宅難民問題を若い世代も知れば、他人事とは思えなくなるはずです。
誰もが幾つになっても、好きな場所に住める社会のために、小さくてもこうした情報発信が大切なのではないかと、あらためて気づかされました。
山本遼ツイッター(R65不動産)