また、GWをはさんでなんとなく体調が悪くなったり、会社に行きたくないなどの軽いうつ的な気分に見舞われたりします。
こういった方たちが元気なメンタルをキープするためにはどうしたらいいのでしょうか。今回は、朝の生活習慣をもとに心の不調に陥らないためのヒントをご紹介したいと思います。
新しい会社に入ったり進学で学校が変わったりと、年度替わりは新しい環境に対応しきれず、心身の不調を訴える人が増えてきます。
こうしたストレスへの抵抗力を高め、新しい環境にスムーズになじむためにはどのような心掛けが必要なのでしょうか。
年度替わりだけでなく、もともと職場や学校での悩みなどは、ほとんどが対人関係が原因で生じます。
年度替わりは、時期的に一斉に新しい環境に移っていく人たちが増えるので、初対面の人に囲まれて仕事や学校生活をしなくてはならない人数が増加して、さらに悩みが生まれやすくなるのです。
新しい環境になじむだけでもプレッシャーがかかるうえ、気をつかい過ぎたり、苦手な人がいたりすると、さらに人間関係でエネルギーを使い果たし、疲れ切ってしまうことは当然のことです。
ではこういった人間関係のストレスを減らすには、どうしたらよいのでしょう。
ヒントは「お化け屋敷理論」です。
お化け屋敷の怖さは、単にお化けが現れるからというだけではなく、「いつどこから出てくるかわからない」ところにあります。
でも、「ここからお化けが出るよ」というのがあらかじめわかっていれば、怖さはかなり軽減されるのではないでしょうか。
事前にある程度下調べをして予備知識を少しでも持っていると、心の準備ができ、過度の不安や恐怖から逃れることができる理論を「お化け屋敷理論」と言います。
ぜひとも新しい環境に入る前には、事前に集められる情報は集めておくことです。
部署異動であれば、事前に挨拶がてら訪問して雰囲気を体感しておくのもいいでしょう。
先に同じ部署の人の名前を覚えておくと、実際に異動してからのストレスを軽くすることができます。
もし異動先に知り合いがいるなら、部署内で気を付けたいキーパーソンの存在などの情報も、聞いておくとよいでしょう。
生活リズムに関しては、やはり基本は早寝早起きでしょう。
新卒や転職する人は、入社前に休暇が取れるケースも多く、その期間につい気がゆるんでしまって生活リズムが乱れがちになります。
その生活リズムのまま入社すると、新しい環境に慣れ、仕事を覚えなくてはならないのに、なかなか疲れが取れず、頭がしっかり働いてくれないということにもなりかねません。
平日、休日にかかわらず、毎日できるだけ同じリズムで睡眠時間をとり、朝も決まった時間に起きるようにしましょう。
さらに朝の習慣が、心身の状態を最高の状態にするためのポイントになります。
目が覚ましたら、まずしっかりと朝日を浴びます。
太陽の光を浴びることで、体内時計がしっかりとリセットされ、“メラトニン”という眠気を誘発するホルモンの分泌が止まります。
朝食は身体が「朝が来た」と自覚するサインです。
半分寝ていた体が起き出すきっかけになるので、今まで朝食をとらなかった人も、食べるようにしたほうがいいでしょう。
なかなか時間がとれない、朝は食欲がない、という方は、バナナと乳製品に豊富に含まれる幸せホルモン「セロトニン」の原料となるトリプトファンというアミノ酸やビタミンB6が豊富に含まれているバナナ・ヨーグルトがおすすめです。
これなら、バナナは皮をむくだけ、ヨーグルトはふたを開けるだけで面倒な準備も調理も不要で手軽にとることができます。
朝は、とりあえずバナナ・ヨーグルトだけでも食べてください。
新生活のストレスに対応するためには、しっかりとセロトニンを作って、メンタルヘルス不調になりにくい生活習慣を作っておく必要があります。
また忘れずにあなたの好きな息抜きの方法をできるだけ多くリストアップをしておきましょう。
リストは、あなたの好きなものであれば、音楽やスポーツ、ショッピングなど何でもよいのですが、できるだけ、名詞だけではなく、具体的な動詞で書くことをおすすめします。
ストレスがたまっているときや疲れているときは、なかなかきちんと頭が働かないので、「ストレスを解消しよう」と思っても、その方法が思いつかないのです。
だからこそ事前に細かくリストアップしておき、いざというときに、すぐにそこから選べるように準備しておきます。
たとえば音楽なら「○○というミュージシャンの曲を聴く」というだけでなく「YouTubeで○○というミュージシャンの○○という曲を聴く」と具合的に決めるのです。
新しい環境では、初対面の人に囲まれ、慣れない仕事を覚えながら対応しなくてはならず、必ずストレスにつながります。 ストレスが入ってきたら必ず出していくことをセットで考え、積極的に意識してストレス解消をしてください。
これは、ぜひやっておいてほしいことです。
自己主張の方法は、「アグレッシブ」「ノン・アサーティブ」「アサーティブ」の3種類があります。
アグレッシブは、攻撃的という意味で、相手よりも自分の考えを優先して攻撃的に自分の意見を主張するもの。
ノン・アサーティブはその反対で、まったく主張せず、相手を優先して自分の意見を後回しにします。
アサーティブは、相手と自分の意見を対等にとらえ、相手の意見も聞きながら自分の意見も主張していく、攻撃的なアグレッシブと、まったく主張しないノン・アサーティブの中間ともいえる理想的な方法です。
アサーティブな自己主張をすることを、アサーションといいます。
アサーションの効果的な方法の一つに、アサーティブな自己主張をするためのステップを4つに分解したDESC法があります。
D=Describe(描写する)
E=Explain(説明する)
S=Specify(提案する)
C=Consequence(結果を伝える)・Choose(選択する)
DESC法はあらゆる場面で使えますが、特に断るときに便利です。
例として、上司から急ぎで資料の作成を頼まれたものの断りたい場合を考えてみます。
D(描写する)
「今、私は別の仕事をしています」と自分の状況を、事実に基づき客観的に表現します。
E(説明する)
「お手伝いはしたいのですが、今は時間がなくとりかかれません。申し訳ありません」と、断らざるをえない理由について説明します。
S(提案する)
「急ぎでは難しいのですが、納期を来週まで延ばしていただければできますが、いかがでしょうか」など、相手に考慮してほしいことを示したり代替案を提案したりします。
C(結果を伝える・選択する)
自分が提案したことへの相手の答えに対して、どうするのかを伝えます。
例えば、上司から「来週までは延ばせない」と言われれば、「では、お引き受けできません」という結果を伝えることができます。
「来週まで延ばしていいよ」となれば、「では、引き受けます」という結果を自分が選択するのです。
この4つのプロセスを踏めば、相手の主張を受け止めながら、こちらの主張もすることができますし、断るときも角が立ちにくくなります。
まとめ
こういった状況の場合、相手の言うことを優先して自分の意見を後回しにする、ノン・アサーティブになることが増えてしまうと思われますが、それだと仕事も生活も大きく変化してストレスのかかりやすい時期に、さらに仕事を押しつけられたり、断り切れず抱え込んだりすることになり、ますますメンタルヘルス不調を招いてしまいます。
事前の下調べ、生活リズムの確立、アサーションを使ったコミュニケーションを心がけるだけでもぐんと気持ちが楽になってくると思いますので、ぜひ実践してみてください。
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