環境や働き方が大きく変わり、心の不調を感じる人が増えています。
厚生労働省が2020年に行った調査では、約50%の人が「漠然とした不安を感じている」と回答しています。
ウイルス感染へのリスクだけでなく、自粛やリモートワークの普及による生活面や仕事面での変化、収入面の減少にも不安感があったようです。
今回は、日常生活はもとよりビジネスにも役立つ「リフレーミング」というフレームワークについてご紹介します。
違う視点で捉えてポジティブに解釈する状態になることです。
もともとはNLPと言うコミュニケーション心理学の概念で、人材育成や組織マネジメントの分野でも用いられるようになっています。
ある出来事や事実に対して、杓子定規な考え方ではなく、多面的な視点で考えることで、強いメンタルを保てるようにする手法です。
「考え方が大事」「発想を変えることは大切」ということは、すでに知っている方も多いと思いますが、そのことを頭で知っていても、納得しきれていないと、あなたの仕事や人生のステージはそのままで、成長することはできません。
また見方や発想を変えたい、成長したいと思っていても、具体的なやり方を知らなかったり、人にどんな言葉をかけていいか理解していなければ、行動に落とし込むことができません。
例えば、あなたの大切な人が病気で手術を受けなければならないとき、次のように医師に説明されたらどちらの手術に同意しますか?
A:この手術は死亡率が10%の手術です
B:この手術は生存率が90%の手術です
客観的に見てみると、どちらも同じ確率の手術であることがお分かりいただけると思います。
しかし、ネガティブが強調されたAと告げられるのとポジティブなBを告げられるのでは手術に対する捉え方が変わり、判断にも影響を与えてしまいます。
また、水が半分入ったコップが目の前にあって、「半分しか入っていない」と感じるフレームと、「半分も入っている」と感じるフレームを比べると、後者のほうが満足や喜びをを感じているのがわかると思います。
このようにリフレーミングとは、物事自体は公平でも、見方や感じ方を人間の心理的枠組みで変えていくフレームワークです。
ビジネスにおいても、リフレーミングのスキルを磨くことで、仕事の幅や質を上げ、成長速度を上げられます。
ポジティブシンキングとよく混同されますが、前向きに物事を考える思考方法のことをポジティブシンキングと言うのに対し、リフレーミングは「相手の立場に立つ」「相手を理解する」「相手に共感する」といったアプローチから始まる心理学で、単純に前向きに考えるだけのポジティブシンキングとは異なります。
リフレーミング:「もし~だったら」と考える
考えても埒が明かないときに「仮に~だったら」といった前提を立て、発想を広げると、動き出すきっかけになります。
2.希望と違う部署へ配属になったとき
リフレーミング:将来的な価値を考える
希望と違う部署へ配属になったとしても、今起きている事象が将来的にどんな価値を生み出すかを考えます。
やりたい仕事を将来実現するために、この配属を想像もしなかった未知の経験や考え方を得られるチャンスと捉えることで、今は職種に捉われず幅広い経験を積む時期だと自分を納得させれば、気持ちの整理がスムーズにできます。
3.精神的に辛いとき
リフレーミング:「どうしよう」から「どうしたい」へ
人は悩んでいる時に、「どうしよう」と悩みを掘り下げることに気持ちが向きますが、「どうしたい」かを認識することが大切です。
例えば、「クレームが多くて精神的に辛い」という従業員に対し、「納得感ある回答を返したい」「クレーム対応以外の業務をしたい」など、「したい」ことに焦点を当てれば具体的な策が見え、その実現を目指すことに意識を向けられます。
4.対象への印象がない、共感がないとき
リフレーミング:メタファーを使う
メタファーとは、伝えたいことを間接的に伝える比喩の表現方法です。
例えば、上層部が普段の仕事ぶりを知らない部下を新たなポジションに起用する場合、「彼はこの部署の4番バッターです」と表現すれば、部内の信用が厚く、期待に応える人材といった印象が浮かべるしょう。
また、部下への助言も「成果がなくても次に活かせ」と言わず「スティーブ・ジョブズは、『旅の過程にこそ価値がある』と言っている」といったように、功績ある偉人などの名言を添えると、話に惹き込まれ共感しやすくなります。
人間はリフレーミングを無意識に行っている場合もありますが、意識的にどんな効果があるのかを理解した上で活用するとより効果的なものになります。
短所は見方を変えれば長所でもあるように、リフレーミングは言葉に隠された別の意味を解釈します。
例えば一般的に「臆病」という言葉は、「ちょっとした事にも恐れる」「気が小さい」などマイナスな意味ですが、別の見方をすれば「慎重に物事を判断できる」「危機管理能力に優れている」とも言えます。
ネガティブな特徴のある言葉をポジティブな言い換えに変えるのに慣れるために、忙しい中でも、「リフレーミングノート」をつけることでリフレーミングの考え方を忘れず習慣化できます。
1.ノートの左側に自分の欠点や好きではない点、他者の苦手だと思う点や嫌いな点をリストアップします。
2.ひととおり眺めた後、右側のページにそれらをポジティブワードに置き換えて記していきます。
書くことでリフレーミングする力が養われ、かつ客観的に捉えることができるようになります。
『リフレーミング辞典.pdf』
あまり乗り気でない、できれば欠席したい、動くのが面倒くさいという気分になるときだってあります。
しかし、実際に出かけてみると、元気いっぱいで健康的な、落ち着いているけどなにか温かみのある良質のエネルギーを発散している人に一人や二人出会うものです。
そんな、エネルギーを与えてくれる人からまさに携帯電話のように充電してもらいましょう。
いつも明るく前向きでいい影響を与えてくれる人、色々なアイデアや面白い話を聞かせてくれる人と会った後はなんとなく自分も元気になっています。
個人に限らず、音楽のライブや、歌舞伎、落語、お芝居なんかからも元気のモトはいただけます。
自分の趣味に合った元気のモトをみつけたら、迷わず触れてチャージしましょう。
人間はエネルギー体です。
エネルギーが枯渇した状態で生きていると、精神的にも肉体的にも病んでしまいます。
植物が光合成をするように、自分の太陽を見つけて、光を浴びて元気になりましょう。
明るいオーラを発しているに人・金・情報は集まるのです。
絶望の淵でも生きるエネルギーや小さな希望を見つけることはできます。
小さな元気があれば生きていけると知ることで、中高年は人生が楽になります。
どんな絶望の淵においても、そこで小さな希望という生きるエネルギーを手にするのです。
ささいなイベントでも、枯れかけている心に水を与えてくれます。
小さな希望の種をまき続ける人が、やがて人生の実りを手にします。
小さな態度変容の繰り返しが、自分再生につながっていきます。
歳を重ねるほどにマメに動いて、心の灯台を見つけたいものです。
まとめ
初めは自分をコントロールするこために活用し、その後ビジネスシーンなどで上司や同僚、部下とのコミュニケーション、顧客との交渉、社員育成などに広げていくと周りにも良い影響を与えます。
多様化がますます進むこれからの時代に、安定したマインドを保つことが必要な能力になるのは明らかでしょう。
リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの