特養は、社会福祉法人や地方自治体が運営を担っており、民間の老人ホーム等では受け付けてもらえない「看取り」まで、しっかりケアしてくれるところが多いです。
そして、なんといっても一番の魅力は月5万~15万円前後の費用でまかなえるという安さでしょう。
今回は、人気の特養の早期入居を勝ち取るために知っておきたい裏ワザについてご紹介したいと思います。
特養のベッドが空くと、施設内で施設長や生活相談員による『判定会議』が開かれ、次にどの人に入居してもらうかを話し合って決めます。
その際に重視するのは緊急度で、いかに現状が大変かということが選ばれるポイントになってきます。
つまり、登録した特養に要介護度の高い待機者が多いと、いつまで経っても順番が回ってこない恐れがあります。
そこでやっておきたいのが、複数の施設へ重複登録することです。
重複登録をすることで、入居のチャンスが回ってくる確率が単純に高くなります。
何か所登録しても違反などにはならないので、住んでいる地域が激戦区なら、近隣の施設を2~3か所に登録することをお勧めします。
公表されている待機者数は、重複登録も含めた延べ人数なので、実際の待機者数は公表数よりも少ないと言われています。
「ふたまた」「みまた」をかけておくことで、早めに順番が回って来る幸運に恵まれることも珍しくはないのです。
申込書の「特記事項」欄は、別紙を添付して詳しくアピール
しかし申込書には、共通して基本的な情報を回答する選択質問の他に、特記事項を記入できる欄があります。
特記事項欄に書くような特別なことはないからと、書き込まずに提出する人もいますが、それでは施設員が判定会議の際に緊急性を判断しきれず、他の人に先を越されるばかりになります。
特記事項のスペースに収まりきらない場合は、別紙を作って添付しても構いません。
できるだけ細かく、どんな問題行動があるのか、在宅介護では困難であるかを具体的に書き記します。
また、要介護者の状態だけでなく、介護する側がいかに困っているかを書くことも決め手になります。
決して面倒くさがらずに、思いの丈のすべてをさらけ出すつもりで書き記すことで特養の空席を早くい手に入れることができるのです。
「従来型」よりも、「ユニット型」がねらい目
「ユニット型」は「従来型」よりも月々の費用が3万円程度高くなることもあって、費用の安い「従来型」に入居希望が殺到する傾向があるため、個別ケアを目指す「ユニット型」の方が、入居の順番待ちが短くなる可能性は高いと言えるでしょう。
なので、意外とユニット型に的を絞って探すと、空室が見つかる場合があり、金銭面に余裕があれば、競争率が低いシステムに狙いを定めるのも賢い手段です。
デイサービスやショートステイで「顔を売る」
これらのサービスを積極的に利用することで、「こんなに頻繁に使うほど大変な状況なんだな」というアピールになります。
さらに、同じくらいの要介護度の人たちが順番待ちをしている場合、全く知らない人よりも、「ショートステイ」や「デイサービス」で見知った人を優先しようという心理も働くわけです。
ショートステイやデイサービスを利用して顔を売っておくことは早期入居の可能性を上げてくれるだけでなく、たとえ短時間であっても、介護する家族にとっても息抜きになるので、ぜひ積極的に利用したいところです。
インターネットで空室状況を小まめにチェック
自治体によっては特養のベッドの空き状況を一覧でウェブサイトに公表しているところがあるので、インターネットの情報をもとに待機人数の少ない特養や、新設の特養を探すのも有効的な手段です。
また、特養の中には、施設のHPで空き状況を小まめに更新しているところもあります。ネットをチェックする習慣を身につけておくとよいでしょう。
「ショートのロング」で長期入居可能
介護業界では、ショートステイを連続で使用することを「ショートのロング」と呼んでいます。
ショートステイは連続30日までという上限があるのですが、上限に達したら1日帰宅して、再び30日使うことでショートステイを繰り返す「ショートのロング」で入居と変わらないような長期入居が可能になります。
ショートステイも人気サービスなので空きがないこともありますが、都心ではずっと入居待ちをし続けるよりはサービスを受けられる確率は高くなります。
特養の入居には、家族の就労状況が大きく影響してきます。
たとえば、Aさんが同居している娘は専業主婦で毎日家にいて、一方、Bさんの家は共働きのため日中は誰も見られないというケースであれば、Bさんが優先される可能性が高くなるわけです。
昨今、「70歳定年」や「介護離職ゼロを目指す」といった風潮があるので専業主婦をやめて働きだすことで優先度が上がってくるわけです。
また、働かなければ経済的に大変なのだな、というアピールにもつながります。
2017年に施行された『改正育児・介護休業法』により、企業は介護による離職を防止し、仕事と介護の両立を支援する制度を設けることを義務づけられました。
介護休暇を取ることはもちろん、介護費用を援助する企業もある一方で、同制度のことはあまり広く世間には浸透していません。
ぜひ就労されている方は、親の介護が必要になりそうだと感じたら、速やかに職場の上司や人事部に相談し、会社の支援制度を確認されるとよいでしょう。
介護は突然やってきます。
まだうちの両親は元気だから、と後回しにしていると、急に仕事を休んで迷惑をかける羽目になるかもしれません。
すべての人は誰しも老い、衰えていくのが自然なことなのです。
後ろめたさを感じる必要などはまったくありません。
早め早めに手を打ち、しっかり主張することが、介護で苦しまない最も重要なコツです。
まとめ
特養に登録する際に、お世話になっているケアマネさんに相談することも大切です。
ケアマネさんは情報収集を細かく行っていることが多いので、人気の特別養護老人ホームでも、運が良ければちょっとした工夫で入ることができるかもしれません。
全盛期は全国でおよそ50万人以上が入居待ちを余儀なくされていた特養ですが、現在は30万人を切るほどまで減少しました。
しかし2015年4月からは介護認定の改変で「要介護3」以上の判定がなければ特養には原則として入居できなくなりました。
「要介護3」というのは、家庭での介護がすでに限界に達している場合が多いのですが、優先されるのはさらに介護度の重い人です。
自分より重い人がいれば、先を越されてしまうので、待機者が減ったからといっても、決して入居しやすくなったわけではないのです。
今回ご紹介した裏ワザなど、入居するための近道になりそうなことはやっておいて損はないのです。
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