食卓に食材を置いたままにしていると、うっかり飼い猫が口にするトラブルなども起こってしまうので、今回、猫が食べてはいけない食材と、与える場合は注意が必要な食材を一気にまとめてみました。
愛猫の健康管理にお役に立てれば幸いです。
か行 カニ・キシリトール(人工甘味料)・紅茶・コーヒー・ココア
た行 タコ・チーズ・チョコレート
な行 にら・ねぎ類・海苔
は行 ぶどう(レーズン)
ら行 緑茶 など
猫といえば、魚を好むイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?
「マグロ味」や「カツオ味」などキャットフードの味にもなっていますが、与えると吐いたり、害になったりするものもあります。
例えば、アジやイワシ、サバ、サンマなどの青魚に寄生しやすい「アニサキス」の幼虫は、猫にも害を及ぼすおそれがあります。
また、青魚に多く含まれる「不飽和脂肪酸」をとりすぎると、黄色脂肪症を引き起こすことがあるので、青魚は猫に与えないようにしましょう。
アルコール類
アルコールは、猫にとっては毒ともいえる飲み物です。
猫はアルコールを分解する酵素がないため、少量を摂取しただけで中枢神経に影響を及ぼし、酩酊状態になるおそれがあります。
最悪の場合は死に至ることもあるので、アルコール類は絶対に飲ませないようにしてください。
酔っぱらってる姿がかわいいからと、お酒を与えることは絶対にやめましょう。
猫が飲んではいけないものをしっかりと把握して、愛猫と健やかに、長く一緒に生活していきたいですね。
イカ/エビ/カニ/タコ
猫は魚介類が好き、そんなイメージがありますが、生のイカ・エビ・カニ・タコに含まれるチアミナーゼは、猫にとって大切な栄養素であるビタミンB1を破壊してしまう恐れがあります。
なのでこれらの食材を猫が口にするとビタミンB1欠乏症になるおそれがあるのです。
ビタミンB1欠乏症になると、けいれんなどの神経症状を起こし、死に至る危険もあるので、非常に危険です。
絶対に与えないようにしてください。
なお、完全に加熱処理すればチアミナーゼは失活しますが、もともとこれらの食材は消化しにくいので、猫が口にすると嘔吐や下痢を起こすこともあり、加熱した状態であっても与えないほうが安心です。
コーヒー/紅茶/緑茶など
これらの飲料に含まれる「カフェイン」を猫が口にすると、中枢神経や心臓、腎臓に影響を与え、嘔吐や下痢、頻尿、興奮、けいれんなどの中毒症状を起こし、場合によっては死に至るケースもあります。
猫にカフェインが入った飲料を与えるのは絶対にやめましょう。
飼い主さんがコーヒーや紅茶好きの場合、テーブルに出したままになることもあるかと思います。
特に、茶葉の状態のものはカフェイン濃度が高いので、取り扱いに注意が必要です。
チョコレート/ココア
「チョコレート」は、人間にとっては甘くておいしいスイーツですが、猫は絶対に口にしてはいけない危険な食べ物です。
チョコレートやココアの原材料であるカカオ豆に含まれる「テオブロミン」という成分を猫が口にすると、嘔吐や下痢、頻尿、興奮、けいれんなどの中毒症状を引き起こすおそれがあります。
最悪の場合、死に至ることもあるので、チョコレートやココアはもちろん、カカオを含む食材は絶対に与えないようにしましょう。
にら/ねぎ類(玉ねぎ・長ねぎなど)
ねぎ類は猫に絶対に与えてはいけない禁忌食です。
にらやねぎ類に含まれる有機チオ硫酸化合物などの化合物は、猫の赤血球内のヘモグロビンを破壊し、溶血性貧血を起こしてしまいます。
猫が誤って口にしてしまうと、溶血性貧血や血尿、下痢・嘔吐などの中毒症状を引き起こし、最悪の場合は死に至るおそれもあるので、絶対に与えてはいけません。
この一般に玉ネギ中毒とよばれる症状には特効薬がなく、対症療法にて化合物が猫の体内から消えるまで経過を見るしか治療法がないため、猫があやまってネギ類を口にしないよう細心の注意を払う必要があるのです。
なお、この成分は加熱しても変性することはないため、ハンバーグなどの加工食品を与えるのもNGです。
万が一、猫がネギ類を口にしてしまった時には速やかに専門医の治療を受けるようにしましょう。
海苔(のり)
また、塩分も多く含まれているため腎臓に負担をかけます。
猫には与えないことが賢明です。
ぶどう(レーズン)
猫は甘味をほとんど感じないといわれており、果物は大半が水分なので、与えても問題ないものもあります。
ただぶどうについて言うと、猫ではありませんが犬が食べて急性腎不全にかかった例が報告されています。
猫への安全性も確かめられておらず、犬と同様のリスクを受ける可能性も考えられるので、与えないほうがよいと思われます。
なお、生のブドウだけでなく、ぶどうを原料にしてつくられるレーズン(干しぶどう)も与えるのはやめておきましょう。
チーズ
猫専用のチーズであれば、適量を守って与えることは可能ですが、人間が食べるチーズやチーズ加工品は塩分と脂肪分が多いので決して与えないでください。
人間が食べるチーズは、猫の体内では分解されにくい成分が多く含まれており、腎臓に負担をかけ泌尿器系の病気につながる場合があります。
また、塩分のとりすぎは腎不全を引き起こすおそれがあり、脂肪のとりすぎは肥満につながるなど、猫の体に悪影響を及ぼします。
キシリトール(人工甘味料)
猫がキシリトールを食べてしまうと、低血糖を引き起こし、嘔吐や歩行困難、意識障害などの症状が見られることがあります。
また、キシリトールは猫の肝機能障害を引き起こす原因にもなるため、絶対に与えないでください。
バナナは猫に与えても問題のない果物ですが、カロリーが高いので与えすぎると肥満の原因になり、与える際にはいくつか注意する点があります。
猫にバナナを与えるときは、できるだけ常温にして、皮と維管束をしっかり取り除き、、1本の1/20程度(厚さ1cmほど)を細かく切って与えるようにしましょう。
牛乳
牛乳自体は猫に害のある飲み物ではないため、与え方を考えれば大きな問題はないと考えられます。
ただし、乳糖不耐症や牛乳アレルギーの猫に与えると下痢を引き起こすので、まずは飼い猫が乳糖不耐症ではないか、牛乳に対してアレルギーを持っていないかを確認することが大切です。
まずは、少量を与えて様子を見て、万が一、異常が起きてしまった場合には、速やかにかかりつけの獣医さんに相談するようにしましょう。
また、牛乳はカルシウムが多いので、常習的に与え続けると、尿石症にかかるリスクがあります。
泌尿器系の病気にかかったことがある猫には与えないようにしましょう。
猫に牛乳を与えるときは、できる限り猫用に調整されたものを選び、どうしても人間用の牛乳を与えたいときは、1日50ml程度にとどめてください。
かつおぶし
かつおぶしは、食べすぎなければ猫に食べさせて問題ない食材です。
栄養価が高く、食欲を増進する香りや風味があるので、食の細い猫に試してみましょう。
ただし、ミネラルが豊富な食材なので、食べすぎると尿路結石を引き起こしたり、腎臓の機能が低下しやすくなったりするなど、泌尿器系の病気の起因になります。
与えるときは、週に1回ひとつまみ(0.5g)程度に抑えるようにしてください。
大きいかつおぶしが食べづらそうなときは、手でこなごなにしてからかけると食べやすくなります。
まぐろ
まぐろなどの赤身魚は、猫にとって必要なタンパク質が豊富に含まれているため、少量であれば与えても問題はありません。
ただし、猫がまぐろを食べすぎると黄色脂肪症や水銀中毒、チアミン欠乏症などになるおそれがあるため、与えるときは赤身部分の刺身をひと切れの半分程度にとどめましょう。
なお、まぐろのトロの部分は赤身に比べて脂肪分が多いため、あまり与えないようにしましょう。
たまご
猫に与えるときは必ず過熱し、アレルギーを起こす心配もあるので、最初はごく少量にとどめましょう。
また、卵はカロリーも高く、特に黄身は白身より脂肪分が多いので、与えすぎには注意しましょう。
豆苗
与える際は、ゆでるなど過熱し、消化しやすいように少量を細かく刻んで与えるようにしてください。
ミネラルが多く含まれているので、腎臓に不安がある猫には与えないようにしましょう。
まとめ
飼い猫におねだりされると、つい与えてしまいたくなりますが、人が日常的に口にする食材のなかには猫にとって命の危険が及ぶものもたくさんあります。
愛猫に人が食べる食材を与える際は、与えてよい食材かどうかを調べて、与え方や量をきちんと確認することが大切です。
ぜひ参考にしてみてください。
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