毎年忙しさにかまけて過ごしていると、年末年始をじっくりと味わうこともなくありがたみも薄まってしまいます。
せっかくの年の大節目ですから、暮れゆく年に思いを馳せ、新たな一年をじっくり迎えたいと思いませんか。
年末年始の味わいを噛みしめるためにも、各種行事の起源についてご紹介させていただきます。
1年間溜め込んだ部屋の汚れをきれいにする、あまり積極的にはやりたくない面倒なイベントのひとつかもしれません。
しかし実は、年末の大掃除は自分のためのものではないのだとか。
本来の意味は新年に歳神様をきちんとお迎えできるようにと行う、新しい年を迎えるためのおもてなしイベントなのだそうで、昔は大掃除にたっぷり10日以上かけていたのだとか。
今では仕事納めの関係で、年末28日あたりから大掃除を始める方が多いのですが、江戸時代のころには12月13日あたりから『ことはじめ』といって年始に向けた準備を始めていたのです。
年末なのに「はじめ」とは少々不思議な気もしますが、新年を迎える準備をする「正月ことはじめ」であるから正しいのだそう。
年末は「今年の終わり」ではなく「新年の始まり」だったのです。
『ことはじめ』から、松の内が明けるまでがおよそ1カ月あるため、これが『正味1カ月』で『正月』になったという説もあります。
それだけ十分に時間をかけて新年の準備をしたのですから、お正月のおせちもきっと豪華だったに違いないと思われますが…。
実は、昔のおせちはほとんど全てお酒の肴でした。
年が明けると、親戚やお世話になっている人のところへお年賀のご挨拶に行ったり来たりするので、当然宴会が始まるわけです。
来客のたびに食事の用意をしていては慌ただしい、ということでお酒にあう肴をあらかじめ準備しておいたのだそう。
おせち料理は、酒飲みにとっては垂涎ものだったようです。
今でも煮しめや数の子などお屠蘇に合うおせち料理は多いですが、伊達巻や栗きんとんなど甘味が貴重だった時代は、今以上に塩辛い酒の肴が重箱の中で幅をきかせていたのでしょうね。
今ではお歳暮に塩鮭を贈る人も少なくなってしまいましたが、地方によっては塩鮭や鰤などを台所に吊るして、お正月のあいだ少しずつ削ってはお酒と一緒に楽しんだようです。そういえば、今は見かけなくなりましたが、私の幼いころはデパートのお歳暮コーナーに立派な塩鮭が並べてありましたね。
子どもたちに大切に使ってもらうためにも、気の利いた渡し方をしたいところです。
ポチ袋に「お年玉」と書いて渡す方が多いと思いますが、2022年は古い漢字表記にしてみてはどうでしょう。
昔、お年玉がお金ではなくお餅だったというのは各地に伝わる話ですが、このお餅は『歳神様の御魂』のおすそ分けを表現しているものです。
歳神様の御魂をおすそ分けしていただく、と言う意味から「お年玉」は「御歳魂」と書いていたのです。
渡した子どもたちから「これ、なんて読むの?」などと言われればこっちのものです。
この逸話をしっかり伝えることで、普段のお小遣いとは違う、ちょっと特別なものなのだと理解してもらうきっかけになるかもしれません。
慣習や漢字の表記などは歴史とともにゆっくり変化していくのが常ですが、本来の意味や往事のあり方を知っていれば、ありがたみも増してくるのではないでしょうか。
まとめ
2021年もコロナで明け、終息の見えないまま新しいオミクロン株などと言うものが台頭してきてまた年を越そうとしています。
2022年は、是非とも世界中がHAPPYな1年になりますように!