この本なら!と選んだ絵本にまったく興味を持ってもらえないと、自分の読み方が悪いのかしら?と悩んでしまうこともあるかもしれません。
いろんな絵本を読み聞かせしなきゃ、と義務感のように気負うのではなく、ご紹介するシンプルなポイントをおさえて、お子さんと楽しい読み聞かせの時間を作ってくださいね。
1.ゆっくり読まない
6才までの子どもは、感覚やイメージなどの機能が集まる右脳が優位に働きます。
読み聞かせをする親の立場になると、子どもが内容をちゃんと理解できているかが気になって、わかりやすいようにゆっくり読みたくなってしまいますが、子どもは私たちの想像以上に吸収力を持っていて、カメラのシャッターをカシャッときるように絵本の画像をインプットしています。
なので、ゆっくりと読みすすめると子どもは退屈してしまうのです。
スピードは普段子どもと話している会話のスピードがおすすめ。
読み聞かせの途中で子どもから質問があったら答えていいですが、内容を理解しているかどうかより、絵本を最初から最後まで読み切ることが大切なのです。
2.声色を変えない
読んでいる親が感情移入して絵本の登場人物によって声色や大きさを替えることは自然なことですが、子どものIQ(知能指数)やEQ(心の知能指数)を伸ばす観点から言うと、あまり過剰な演技しないほうがいいようです。
子どもは素晴らしい五感力を持っています。
大人から見れば台所のテーブルに何気なく置いてあるトマトを見て「わぁ!トマトだ!赤いねぇ!」と感動することだってあります。
何に興味を持ち、どこで感動するかは子ども本人が決めることです。
意識して棒読みにする必要はありませんが、大人が声色を使って、ここがドラマチックなシーンだ、とあえて子どもに伝えないことで、子どもが自らの意思でアウトプットをはじめられます。
3.読んだ後に子どもをほめる
親が感動場面を押し付けないことで、子どもが自らどんなことに興味を持つのかがわかります。
読み聞かせをするなかで子どもと一緒に笑ったり楽しんだりする時間は、かけがえのないものです。
その気持ちから生まれた「楽しかった」「うれしかった」「よく聞いていたね」の言葉をそのまま子どもに伝えてください。
子どもは自分が親から認められたと感じて、絵本を読むのが好きになります。
子どもが絵本に集中できない場合は、飽きないように短い絵本を選び直して、最後まで聞けたら「聞いてくれてありがとう」とほめてあげましょう。
もし、やぶこうとしたりやぶいてしまった場合は、その場で「本は大切にしようね」と言いましょう。
やぶかないでくれたら「えらいね」「大切にできたね」とほめること。
良い行動に注目することで、次の良い行動につながります。
それでもお風呂の前や登園前のちょっとした時間を作って、5分でいいので絵本を子どもと一緒に読む習慣をつけてみてください。
短い時間でも親子で物語の世界にはいり笑顔になることで、親も「今日も一冊読めた」「大丈夫」という自己肯定感につながっていくと思います。
大人は人と比べて自分を否定したり、無意識に感情を押し殺したりしがちです。
それが自分を肯定できない原因になることもあります。
読み聞かせをしているとストーリーは無意識に入ってくるので、忙しい毎日の中で、ひととき絵本のなかの美しい言葉や物語に入り込むことで、「悲しいなぁ」「こういう気持ちをわかってもらいたかった」といったネガティブな感情も認めて、自分を肯定できるようになります。
物語の力を借りて、子どもと同時に自分のためにも絵本の読み聞かせをしてみてください。
そうすることで幸せな時間を感じられ、子どもに見せる笑顔も増えるかもせれません。
では、どんな絵本を選べ絵が良いのかというと、絵本には大体対象年齢が書かれていますが、それにこだわらず、子どもが興味を持つ絵本を選ぶことが大切です。
子どもは視覚が優れているので、絵の助けを借りてストーリーを理解できるようなクオリティの高い絵本がおすすめです。
子どもが少し大きくても、はじめに読むのはあえて赤ちゃん絵本にして、ふっと気持ちをゆるめてワンクッションおくと、次の絵本に興味を持ってもらえます。
小さい階段をつくってあげて、ちょっとずつステップアップしながら「最後まで聞けてたね」「すごいね」とほめると子どもはあっという間に成長していきます。
一方、母親は7時間34分(うち育児時間3時間45分)で、読み聞かせに関してもどうしても子どもと長く一緒にいる母親のほうの時間が長くなります。
ウーロンゴン大学のダーズマ氏の研究によると、父親と母親とでは絵本の読み聞かせ方が違うとの結果が出ています。
母親は絵のなかのものの名前を質問したり、数を数えさせたりしますが、父親は本のなかの出来事やものを実生活と結びつけて子どもとやりとりすることが報告されているのです。
母親が生き物や道具の名前を聞いたり、数を数えさせたりする一方で、父親は、主人公が何を考えているかを聞いたり、絵本に出てくるものを自分たちの日常生活と結びつけたりする傾向があるのです。
具体的に言えば、絵本にはしごが出てきたら、父親は「この前、パパがはしごに登っておうちの屋根の修理をしたね」と話をふくらませたりするわけです。
また、父親は母親に比べて抽象的で複雑なことばを使う傾向にある、とも報告されています。
母親は、子どもと一緒に長い時間を過ごし、発達段階を心得ているためレベルに合わせて話すことが多くなってしまうのかもしれません。
家庭環境はさまざまなので、状況によることになりますが、両親が交代で読み聞かせることで、子どもの可能性がさらに広がっていくことでしょう。
まとめ
「ゆっくり読まない」「声色を変えない」「読んだ後に子どもをほめる」という3つのポイントは、どれもシンプルですぐに取り入れられそうですね。
ちょっとしたスキマ時間を絵本の読み聞かせにあてて、ほめてあげることで親も子どもも自己肯定感をアップさせていきましょう。
子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方 選び方