「ケアマネジャー」とか「ケアマネ」などとも呼ばれていますが、そもそもケアマネジャーとは、どのような存在なのでしょうか。
今回は、介護サービスを受けるためには必ず必要な存在「ケアマネジャー」について掘り下げてみました。
また、特に病気やケガがなくても、年齢を重ねるにつれて自立した生活が難しくなり、誰かの手助けが必要になることもあります。
そのような時に、介護度が重症化しないよう早期発見・対応が必要ですが、生活上の小さな変化や問題は、ご本人やご家族だけでは見つけにくいものです。
そこで、高齢者が自立した生活を続けるための介護を提供する制度として介護保険があります。
介護保険を利用するには、まず、要介護認定を受けることが必要です。
要介護1〜5のいずれかに認定されると、介護保険による「介護給付」として介護サービスが利用できるようになり、そこから地域のケアマネジャーとの関わりが始まります。
要介護認定の申請を地域のケアマネジャーに頼むこともできます。
その費用は介護保険給付になるので自己負担はありません。
ここでいう地域のケアマネジャーとは、都道府県知事の指定を受けた居宅介護支援事業所に所属し、都道府県知事が行う試験や研修をクリアし、都道府県知事への登録を行っている有資格者のことです。
では、介護サービスを利用するにあたり、なぜケアマネジャーが必要になってくるのでしょうか。
ケアマネジャーは、家族や本人の周囲に介護の専門家がいなくても、本人に合った介護サービスを利用するための計画書(ケアプラン)作成など、介護サービスを適切に利用できるようにマネジメントをしてくれます。
介護サービスを利用するまでの簡単な流れは以下の通りとなります。
1.要介護認定を受ける(どのぐらい介護が必要なのかという認定。要支援1・2、要介護1〜5。)
↓
2.ケアマネジャーと面談・ケアプランまたは介護予防ケアプランの作成(介護サービスを受けるための計画書の作成)
↓
3.介護サービス利用開始
この中の2.ケアプラン作成においては、ケアマネジャーが対応する部分となり、必ず必要となります。
私の母の場合も、まず地元の地域包括センターへ連絡して、ケアマネジャーを紹介してもらい、介護認定申請のときからアドバイスをもらいました。
ケアプランは介護する家族が作成することも可能ですが、専門用語や介護給付費に対しての知識が必要だったり日常生活を過ごすための課題や、必要な介護サービスを検討することが必要になるので、思った以上に手間と時間っがかかります。
そのため利用者に代わって、介護の専門的な知識を持つケアマネジャーが必要なサービスを必要なタイミングで不足なく受けられるようにケアプランの作成をします。
要介護認定は申請をしてから結果が出るまで約1か月かかりますが、すぐにでも介護サービスを受ける必要に迫られている場合などは、認定結果が出る前に介護サービスの利用を開始することができます。
認定結果が出るまでの暫定とはなりますが、ケアプランを作成してもらい介護サービスを利用する流れは、認定結果が出た後の流れと同様となります。
できるだけ早く介護サービスを利用したいという方は、認定結果前にサービス利用を始めたい旨も合わせてケアマネジャーに相談し、1日でも早く要介護認定申請をしてもらいましょう。
ケアプランは、利用者に代わって介護事業所が保険給付を直接受けるためにも必要なもので、ケアプランがないとお金のやりとりや申請も全て自分で対応品けえればならなくなりいます。
とは言っても、ケアマネジャーに依頼するなんてかえって手間になるんじゃないかと思っている方もおられるのではないでしょうか。
ケアマネジャー利用料は全て介護保険で賄われるため、利用者負担は0円です。
そのため料金面で心配することもありませんし、ケアマネジャーがケアプランを作成するのにはたくさんのメリットがあります。
・例えば自分の親は脚が悪いけど、どのサービスが最適かわからない…という場合でも、介護の知識があるので、状態を総合的に判断し最適な介護サービスを選んでくれます。
・利用者本人の希望だけでなく、家族の希望も反映させた沿った計画書を作成してくれます。
・利用したいサービスはあるけど、料金面が不安…という場合でも、希望の料金内で計画書を作成してくれます。
・自分で介護施設や介護サービスを探す手間が省け、さまざまな施設全て見学に行く必要がなくなります。
その他にもケアマネジャーの業務は多岐に渡りますが、いずれにせよ、介護に関しての利用者や家族の負担が減るということは間違いありません。
ケアマネジャーは、介護を受ける人がなるべく健やかに、自立した生活を続けられるよう、現在の生活上の困りごとや希望を聞いて、課題をピックアップします。
そして、その課題を解決するために適切なケアサービスを地域の医療・介護サービスや福祉サービス、民間企業の事業、ボランティア活動などの中から選び、ケアプランにまとめます。
ケアプランは正式には「居宅サービス計画」といいます。
要介護認定の結果が出た後、ケアプランを自分で作成することも可能ですし、また、認定の結果が要支援1、2の場合は地域包括支援センターにケアプラン作成を依頼でます。
ケアプランがまとまると、その上で、介護を受ける人やご家族の同意のもとサービスを導入します。
サービスが始まった後も経過を見守りながら、都度都度課題やケアプランを見直していきます。
介護を卒業するまで、介護サービスを利用する人やご家族と一緒に伴走してくれる力強い味方がケアマネジャーなのです。
ケアマネジャーが提案するサービスは、医療・介護の専門職の派遣やケアサービスに限ったものではありません。
例えば、介護を受けている人が「旅行がしたい」という希望をもっている場合、まず、旅行が可能な健康づくりを課題として、必要に応じて「理学療法士の訪問リハビリテーション」や「管理栄養士の訪問栄養指導」などを盛り込んだプランを立てます。
そのプランの進捗を確認しながら本人の気力・体力が養えたら、改めて旅行の実現を課題としてプランを更新します。
その時はバリアフリー旅行が提案できる旅行業者や、旅に必要な買い物に同行してくれる近所のボランティアさんなども介護を受ける人の希望を実現する生活支援として、提案に加えることもあります。
介護を受ける人の生活を活性化する、孤立を防ぐといった課題に対応して、生活全体を支援するさまざまなサービスをコーディネートするのもケアマネジャーの役割です。
少々込み入った話になりますが、ケアマネジャーは所属先も様々で、所属先により業務も少し異なります。
《 利用者が「在宅」で「要介護」の場合 》
利用者が「在宅」かつ「要介護1以上」の高齢者の場合は、ケアプランを作るケアマネジャーは、居宅介護支援事業所所属の居宅ケアマネジャーとなります。
居宅介護支援事業所とは、在宅で介護を必要とされる方に対して、適切なサービス利用のためのケアプラン作成や、ケアプランに位置付けたサービスを提供する事業所との連絡や調整を行う、ケアマネジャーが所属している事業所です。
独立型の居宅介護支援事業所もありますが、介護施設やサービス事業所と併設されている場合が多いです。
《 利用者が「老人ホーム入居」で「要介護」の場合 》
「老人ホームに入居している」かつ「要介護1以上」の高齢者のためにケアプランを作るケアマネジャーは、老人ホーム所属の施設ケアマネジャーとなります。
この場合、ケアマネジャーは特定の施設に勤務し、その施設の入居者のためにケアプラン作成を行います。
事業所から各自宅へわざわざ訪問に行く必要性はなく、他の職員との連携がとりやすいという特徴がありますが、他業務との兼務をすることがほとんどのため業務は多岐に渡ります。
《 利用者が「要支援」の場合 》
「要支援1・2」の高齢者のために、介護予防(介護が必要な状態にならない)を目的としたケアプランを作るケアマネジャーは、地域包括支援センターに所属する主任ケアマネジャーとなります。
主任ケアマネジャーは、地域のケアマネジャーに対しての指導や相談もおこない、知識と経験が求められるため、ケアマネジャー有資格者の中から所定の研修を修了した人が取得できる資格です。
居宅介護支援事業所・老人ホームでの勤務もできますが、地域包括支援センターなど公的機関で働けるのは主任ケアマネジャーだけです。
現実問題として身内で介護者が出ない限り、介護保険制度についてはあまり知る必要がないので、ケアマネジャーなど介護関係の専門職が何を担当しているのかもよく知られていません。
介護が必要になるまで、介護保険を利用することなど考えない人が多いのは仕方がないかもしれません。
体調不良を感じるまでは病院へ行こうとは考えないもので、具合が悪くなってから「何の病気だろう」「どこの病院へ行こうか」と調べる人が多いのと同じです。
介護が始まったらあまり身構えてひとりで心配せずに、まずケアマネジャーに生活上での困りごとなどを相談して、改善できる方法をケアプランとして提案してもらいましょう。
ケアプランを提案されても、それを受け入れるか、再度見直してもらうかなど、納得するまで話し合うことができますし、プライバシーも守られます。
ケアプラン作成の費用は全額が介護保険給付になるため、自己負担はありません。
さまざまな介護現場を見てきたケアマネジャーの経験と知識は、介護される本人やご家族にとっては大きな助けになると思います。
まとめ
実際に介護が始まるまでは、ほとんどが介護保険サービスとは縁のない生活をされていると思います。
ケアマネジャーは、多くの介護事業所や専門職とチームケアをした経験や、地域交流で培ったそれぞれの事業所や専門職の特徴や強みを理解しているプロです。
きっと介護を利用する人やご家族の希望にフィットするサービスを考えて提案してくれることでしょう。
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