ダイエットや健康増進のために、朝食を抜いたりファスティングやプチ断食をしたり、1日1食にしたりと、メディアでは「これが中高年の食事!」と謳う記事が躍っていますが、さて、本当のところは、身体のために、食べるべきか、食べざるべきか、どうなのでしょう。
今回は改めて、朝食を食べることについて考えてみました。
その一方で、「朝食」「昼食」「夕食」の3度の食事の中では、最も朝食を重視する専門家が多いのです。
朝食を重視するのは、睡眠を挟んで空腹時間が最も長く、身体が一種の飢餓状態で食べることになる食事だからです。
朝食を摂る効用としては、
1.昼までのエネルギー源の補給ができること
2.体内時計がリセットできること
3.朝、食物繊維を摂ることで腸内環境を整えられること
という大きく3つのメリットが挙げられます。
朝食を抜くと、午前中に頭がボーッとして、体も重く元気が出なくなります。
脳はブドウ糖がないと生きていけないので、朝食では糖質と食物繊維を中心に摂るのが合理的なのです。
やせたいからと摂取カロリーを抑えるために朝食を抜いても、かえって筋肉量が減り、基礎代謝も落ちるため、太りやすくなります。
ただ、朝食を摂ると明らかに調子が悪くなるという人も一定数存在するので、そういう体質の方は無理に摂る必要はありません。
自分のカラダとよく相談してみてください。
大多数の人間は、朝食を抜くと昼食後の血糖値スパイクで脳出血のリスクが高まるとの研究があり、命にもかかわる可能性があります。
血糖値スパイクとは、糖尿病でなく普段は正常な血糖値なのに、食後の短時間だけ血糖値が急上昇するという現象で、朝食を抜くと長時間低血糖状態が続くため、血糖値を上げるホルモンがたくさん分泌され、食後高血糖が糖尿病、動脈硬化のリスクを高める原因になるのです。
朝食を食べられない人も、少しずつ白湯を飲むことなどから始めて、生活を改善していくことが大切です。
コロナパンデミックによる緊急事態宣言で自粛生活が始まった際に、朝食をきちんと食べて朝型の生活リズムを手に入れた人はやせ、朝食抜きの夜型になった人は太ったというデータもあります。
以下の表は2021年に約1万3000人の『あすけん』ユーザー女性の朝食を調査した結果ですが、和食・和洋食・洋食・シリアル・欠食の5つのグループを比較したところ、欠食が最もBMIの数値が高く、太りやすいことが判明しました。 これは、従来から『ダイエットをしようとして、朝食を抜くとかえって太る』といわれてきたことを、でデータとして証明する結果となったのです。
表を見ると、洋食派はたんぱく質が摂れていない人が多く、シリアル派がたんぱく質を案外摂れているのは、牛乳などと食べる習慣が定着しているからだと思われます。
実はシリアル派は利用者数が最も多く、日本人女性の朝食が和食洋食にとらわれず、変化していることがわかります。
また、和食派は早寝早起きで、摂取カロリーも多めです。
中高年で和食派なら、3食摂ると食べすぎになるので夕食を減らしたり、シリアル派は欠食派に次いで起床が遅い傾向にあるので、昼夜逆転しないように注意すると、より快適な朝食につながるのではないでしょうか。
文部科学省が全国の小・中学生を対象に行った調査によると、朝食を食べる生徒の方が、食べない生徒よりも学力テストの成績がよく、スポーツ庁の調査でも、朝食を毎日食べる生徒の方が、食べない生徒よりも体力テストの総合点が高い傾向にあったと報告されています。
このように今では多くの人に子どもの生活において朝食を食べているほうが学習成績が良い、という調査結果があることは知られていますが、働く大人にとっても朝ごはんは重要だということを示すデータがあります。
東北大学の調査によれば、年収1000万円以上の人のうち82%が、仕事のある日にほぼ毎日朝食を摂っています。
また、朝食をほとんど摂らない人の割合は、年収300〜500万円未満の人が21%。
それ以上の年収の人に比べて3〜4倍の人が朝食を抜いていることがわかりました。
一流企業の要人には、朝早く起きてきちんと栄養バランスの取れた朝ごはんを食べている人も多いそうです。
仕事がデキる人は朝食の手も抜かないのです。
以下の表は35〜44歳のビジネスマン500名を対象に行った調査です。
年収700万円以上でほぼ毎日朝ごはんを食べてる人の割合は8割。
朝、時間に余裕がある人とそうでない人で大きな差があるようです。
では、なぜ高収入な人は朝ごはんを食べている率が高いのでしょうか?
考えられる理由としては、
人は頭を使う際、食事から得られるエネルギーの18%を使うと言われています。
朝ごはんを食べなければ、消費するエネルギー源がなく、頭が回りません。
逆に朝ごはんをしっかり食べていると、朝から充実した仕事ができ、それが年収に繋がるということです。
また、朝ごはんをしっかり食べている人は、早起きな人がほとんどだと思います。
ずるずると夜更かしせずに自分を律せる人は、その分仕事もでき、年収も高いのではないのでしょうか。
では、朝食で摂っておきたい栄養とは何なのでしょうか?
炭水化物
炭水化物の多くにはブドウ糖が含まれています。
ブドウ糖だけが脳のエネルギーに変えられるので、頭を素早く回転させるためには炭水化物が必要不可欠です。
タンパク質
タンパク質は体内に栄養素を行きわたらせる役割や、起床後の体温上昇との関係があります。
朝からしっかり動ける身体になるために、タンパク質の力を借りましょう。
ビタミン、ミネラル
野菜などに含まれるビタミン群やミネラルは、ブドウ糖を脳で消費するために必要な栄養です。
ブドウ糖を消費するためには、これらを一緒に摂取して必要なアシストをしてもらわなければなりません。
食物繊維
しっかり食物繊維を朝に摂ると「セカンドミール効果」といって、昼ごはんで急激に血糖値が上昇するのを抑えてくれます。
血糖値が急に上がると太りやすくなる原因になるため、ダイエット中の人は特に心がけて摂りたいものです。
朝食はエネルギーだけでなく、炭水化物、タンパク質、ビタミンとミネラルなどの栄養素をしっかり補充することが大切です。
そのためには野菜、果物、全粒粉、低脂肪の乳製品、卵などのさまざまな食物をとることを心がけたいものです。
全粒粉や、ヨーグルトなどの乳製品、卵などの質の良いタンパク質を含む食品は、時間をかけてゆっくりと消化・吸収され、「腹持ち」が良くなります。 腹持ちが良ければ、余計な間食をすることもなくなり、ダイエットにも効果的です。
まとめ
22歳で新卒入社したとして、1人の人間が定年の60歳まで働くとすると、その期間の日数はおよそ13870日。
つまり、13870日間分の食べる朝食によってもたらされる差がつくということなのです。
今後は定年も延長される傾向にあるので、ますます真剣に毎日の朝食をどう食べるかが大切になってくるでしょう。
朝は時間がなくあわただしいものですが、朝食のためにほんの少し早起きするだけで、心も身体も健康になり、仕事がうまくいき、収入が増え、人間関係も円滑になるかもしれません。
しっかり栄養を摂り、スマートに出勤したいものです。
その不調、栄養不足が原因です