コロナ鬱という正式な病名はなく、はっきりした定義もありませんが、コロナ禍で巣ごもりを強いられるストレスや仕事が停滞し進まないことから起こる気分の低下状態全般を指しているいようです。
コロナ鬱だけではなく、メンタルの不調全般を食事で改善する方法はあるのでしょうか
今回は、鬱から抜け出す最強の食材について掘り下げていきます。
抑うつ状態とは、「ゆううつである」「落ちこんでいる」状態として表現される症状です。
うつ病の原因は多岐にわたり、検査や診断の基準がはっきりしていません。
診療を受ける医師によって、判断方法も診断にも差が出ます。
厚生労働省の働く人向けのメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』では、うつ病について以下のように書かれています。
うつ病は、一言で説明するのはたいへん難しい病気ですが、脳のエネルギーが欠乏した状態であり、それによって憂うつな気分やさまざまな意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状が続くだけでなく、さまざまな身体的な自覚症状を伴うことも珍しくありません。
つまり、エネルギーの欠乏により、脳というシステム全体のトラブルが生じてしまっている状態と考えることもできます。
私たちには自然治癒力という素晴らしい機能が備わっていて、通常はさまざまな不具合を回復へ導いてくれます。
私たちは日常生活の中で、時折憂うつな気分を味わいます。
不快な出来事によって食欲が落ちることもあります。
しかし、脳のエネルギーが欠乏していなければ、自然治癒力によって、時間の経過とともに元気になるのが通常です。
(厚生労働省「こころの耳 (1)うつ病とは」より)
脳にとって最も速効性のあるエネルギー源はグルコース(ブドウ糖)脳のエネルギーといわれていますが、実は、むしろ糖質を過剰に摂ることで低血糖症状からうつ症状をおこす人が少なくないのだそうです。
糖質を過剰摂取すると血糖値が急激に乱高下するため、集中力が途切れたり、切れやすくなったり、急に眠気がさしたりして、日常の仕事やパフォーマンスに支障をきたします。
脳の構成材料は水分を除くと約40%がたんぱく質、約60%が脂質でできています。
その脂質の約50%がコレステロール、25%がリン脂質、25%がドコサヘキサエン酸(オメガ3脂肪酸)です。
このことを知っていれば、これらを多く含む食材が脳のエネルギーとして良いということが理解できるでしょう。
コレステロールというと、すべて悪者のようにとらえている人も多いのではないでしょうか。
その原因は、1913年にロシアの病理学者ニコライ・アニチコワがウサギにコレステロールが大量に含まれている餌を与え、動脈硬化を発症させたことから高コレステロール食による高コレステロール血症とその結果おこる動脈硬化の図式が生まれたのです。
しかし、もともとうさぎは草食動物なうえ、普段食べている食物にはコレステロールはほとんど含まれていません。
体内でコレステロールを分解ができないため、そのような結果になるのは当然だと言えるのです。
疑問を呈さざるを得ない実験結果は、ある誤解を生むことになりました。
その誤解とは「卵は動脈硬化の原因になる」というものです。
たしかに、卵にはコレステロールが豊富に含まれているので、それが卵が悪者になった原因なのです。
しかし、コレステロールは私たちの体にとって、必要不可欠なものです。
コレステロールはリン脂質とともに細胞膜の材料になり、私たちの身体を古い細胞から新しい細胞に入れ替えるるために、コレステロールは欠かせないのです。
また、1日に3000個以上生まれているといわれるがん細胞を退治してくれる免疫細胞の膜も、コレステロールが材料となります。
コレステロールやレシチンは神経系のシグナル伝達に関与し、記憶、認知の機能の向上を助けます。
特に、レシチンは神経伝達物質であるアセチルコリンのもとにもなるため、メンタルが落ちてきたと感じた方は意識的にそれを含む食品の摂取が大切になります。
また、『ランセット』という医学誌で1993年に発表された血清コレステロールと心の健康度の関連についての研究では、50歳以上の男性約1000名を対象に、血清コレステロールと抑うつ度の関係について分析しています。
集団全体を総コレステロール160mg/dL未満(低い群)、160〜199mg/dL(標準群)、200〜240mg/dL(境界群)、241mg/dL以上(高い群)に分け、抑うつ度を比較すると、「低い群」が他の3つの群に比べかなりの差をもって抑うつ度が高いことがわかりました。
この傾向は50歳代以降、80歳代まですべての年齢階級で認められ、高い年齢階級ほどその差が大きいことがわかっています。
抑うつ度に影響を及ぼす年齢、健康状態、身体機能の影響を加味しても、低コレステロール値であることが抑うつ度を高めていることを示しているのです。
さらに、つい最近ですがうつ病患者を自殺未遂行為の有無別に分け、血清コレステロールを比較した研究が発表されました。
(https://annals-general-psychiatry.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12991-017-0144-4)
このデータは、うつ病患者のなかでも自殺行動を実際に起こした患者は、そうでない患者より血清総コレステロールが低いことを示しています。
これらの結果は、血清総コレステロール値が低いと心の健康度も低く、その水準値は自殺行動のリスクまで反映しているのかもしれないことを示しています。
近似した研究結果は多く、血清総コレステロールと抑うつ状態が関係しているのは間違いなさそうで、特にシニア世代の男性では関係が強まる傾向にあるようです。
特に、たんぱく質は量より「質」が重要とされていますが、卵は口から毎日とらなければならない必須アミノ酸がパーフェクトに含まれる、脳にとっても身体にとっても必要不可欠な食材といえるのです。
本来、コレステロールは8割が自分の肝臓で作られ、食事でとり入れられるコレステロールは2割程度です。
食事で多くとっても血液中のコレステロールは肝臓でコントロールされるので、健常者であれば、それほど心配することではありません。
2015年より、コレステロールを含む食品を減らしても、血中コレステロール値が低下するという明確な証拠がないことが理由となり、コレステロールは食事からの摂取基準が撤廃されました。
「卵」は筋肉や脳内物質の材料になります。
もし、落ち込みやすくなったかもしれないと感じていたら、脳の栄養素が足りていないのかもしれません。
コロナ禍のリモートワークや外出自粛で、おにぎりや、インスタントめん、パンなどの炭水化物に偏った食事が増えている方は要注意です。
今が、食生活の内容を見直すチャンスかもしれません。
まとめ
良質な脂質とたんぱく質、特に、抗うつ作用や記憶学習の改善のほかにセロトニンの原料になるアミノ酸「トリプトファン」も含む「卵」は、脳の栄養不足を助けるカギとなる大切な食材であり、「うつぬけ食材」の代表といえます。
最近、落ち込みやすくなったり心の不調を感じているのなら、それは脳の栄養が不足してるのかもしれません。
メンタルの不調がおきる要因として、脳の栄養不足が原因なのであれば、不調から抜け出すためには、脳の材料として最も優秀な食材である「卵」を意識して食べてみてください。
ストレス社会のなかで必要以上に脳のアクセルをふかしていると、思った以上にエネルギーを消耗しています。
脳にとっての最強のスーパーフード「卵」を食べて体調不良から回復したいものです。
その不調、栄養不足が原因です