一口に後悔と言っても自身の仕事に対する適応能力の問題や会社との相性などさまざまな状況がありますが、なぜそのような事態が生じるのでしょうか。
その根本的な原因は、求職時に会社を選ぶ段階で判断を間違えているからです。
しかし世の中には400万余りもの会社が存在しており、その中からどのような良い判断をして会社を見つけるのか、そのやり方を知るのはなかなか大変です。
今回は、自分に合った会社をどうやって判断すればいいのか、その方法について詳しく追求していきます。
その大きな理由となるものに、本人の研究不足と、企業の巧妙な宣伝にはまってしまったことが挙げられます。
では、どうすれば自分が不幸になる会社に入ってしまうことを回避することができるのでしょうか。
それにはまず「良い会社」を定義づけすることです。
ここで言う「良い会社」とは世間一般の評価ではなく、自分に合っている会社、自分が無理なく長期的に働ける、自分にとって「良い会社」のことを言います。
言い方を変えれば、世の中のがその会社をどのように評価しているのかは関係なく、自分の判断軸でその会社を見るようにしましょうということです。
自分の判断軸を確立するには、自分がどんな時に、どんなことでやる気が引き出されるかを知ることです。
そこから、この会社はどうやって社員をやる気にさせているかを客観的に調べて、自分軸と比較すれば、自分にとって良い会社か否かを判断できるようになります。
具体的に言うと、多くの人が求職する立場になった際、会社探しには就職サイトを使っていることと思います。
スマホ片手に求人情報が得られるので非常に便利ですが、そこは誰もが使っていて過当競争が繰り広げられるレッドオーシャンの世界です。
しかも掲載されている会社数はせいぜい1万社くらいにすぎず、その狭い世界で学生は戦いひしめきあっているのです。
その中からどういう風に会社を絞り込んでいくかと言えば、マクロの観点からふるいにかけることです。
つまり、世の中の現状や経済環境を踏まえて将来の成長が期待でき、かつ自分が興味を持って働けそうな業界を分割していくのです。
そのためには今、注目されているキーワードを見つけ出し、そこに関連する業界を探していくことです。
たとえば、これからの時代を表すキーワードの1つに「高齢化社会」があります。
そこに関連する業界としては介護や福祉のほか、医療や医薬品がすぐ思い浮かぶでしょうが、もしかすると、ほかのシルバーマーケットでビジネスを伸ばしている業界があるかもしれません。
産業には必ず浮き沈みがありますから、現在よりも将来的にベストになる産業を選ぶべきです。
将来的に経済の主役になる可能性を秘めた業界に入っておけば、非常に充実したビジネスマン人生を送れますし、その業界や企業の成長が自分の成長と重なり、責任のある立場になったときに大きな影響力を持てる可能性もあります。
時代のキーワードに敏感になるためには、普段からインターネット、新聞、ビジネス誌などに目を通しておくことで得られます。
就職を控えた学生なら当然しておくべきですし、さらに効果的なのは、その分野に詳しい「大人」に聞いてみることです。
いろいろな見解やアドバイスも併せて聞けるうえ、社会人とコミュニケーションをとる練習にもなります。
そうやって業界の細分化ができたら、次は具体的な会社選びに入ります。
業界さえ絞り込めれば、その中にどんな会社があるのかは「会社四季報」や「業界地図」などの書籍や業界紙などからピックアップしていけばよいのです。
探し出した会社は、大きく「経営視点」と「職場視点」の2つの視点から見ていきます。
さらに、2つの視点からそれぞれ3つのポイントに分けて分析します。
「経営視点」からは
1.会社の経営理念やビジョンと、その方向性が実際に社員に共有されているかどうか
2.ビジョンを実現するための戦略やビジネスモデルにどれだけ独自性、将来性があるか
3.競争を戦い抜くために財務の健全性や人材・ブランド・顧客といった物的資源をどれだけ持っているか
「職場視点」からは
1.どんな組織で、どういう特徴や雰囲気があり、どんな人たちが働いているのかという組織風土
2.仕事の内容とやり方はどうか
3.給与や福利厚生、マネジメントスタイル、社員の評価方法などといった処遇はどうか
つまり、投資家のような立場と、実際に働く場所という観点から、自分にとって適正な会社かどうかを見ていくのです。
上場企業であれば有価証券報告書やホームページ上でさまざまな情報がオープンにされていますが、非上場企業や中堅・中小企業では収集できる情報には限りがあります。
会社に関する情報源は3つのランクに分けることができます。
Cランクは誰でも容易に入手できる情報、Bランクは積極的に動けば入手できる情報、そしてAランクは社員との接触やその企業に詳しい人などから直接得た1次情報で、最も入手しづらく、もし入手できたら強い武器になる可能性がある情報です。
会社の情報収集でまずやることは、やはりその会社のホームページを見ることです。
ホームページ内には載せているであろう
1.企業理念・ビジョン
2.トップのメッセージ
3.事業内容
4.社史
5.財務データ
6.人と組織
7.取引先
8.採用情報
という流れで見ていきます。
会社の上位概念から順番に見ていくことで、会社の目指している方向性が把握しやすくなり、理念やビジョンが実際の戦略や人の働き方に通底しているかを確認できるからです。
特にに採用ページは企業が求めている人材像に加え、気の利いた会社なら活躍している先輩の体験談も掲載していますから、自分に合うかどうかのイメージをつかむうえで良いヒントになるでしょう。
注意したいのは、会社のホームページはあくまで会社側からの一方的な情報発信なので、掲載されている内容に信頼性があるのかを確かめる必要があります。
その企業について掲載したビジネス誌や業界紙など、第三者が発信した情報で確認していきます。
学生ではそこまで見る人は少ないので、就職活動における差別化にもつながります。
パワハラやセクハラが横行し、朝早くから夜遅くまで働かされたうえに残業代も支払われないようなブラック企業の問題が最近はクローズアップされていますが、会社のホームページや求人広告の内容から、ブラック企業はある程度予測することができます。
たとえば、会社の謳い文句が「明るい未来があなたを待っています」「アットホームな職場」といった抽象的な表現が多用されている企業は要注意です。
職場環境が悪い会社の特徴として、人が入ったり辞めたりが頻繁におこり、常に人材が足りない点が挙げられます。
そこで大勢の人に応募してもらうため、こういった会社は、万人受けする聞き心地のいい文句を書き連ねるのです。
また、募集広告で具体的な業務より「熱意」「やる気」などの精神論が強調されているところも気を付けるべきです。
具体的な仕事の内容を記述すると人が集まらないため、そうしている可能性があります。
社員数に対して求人回数や募集人数が非常に多い会社は、離職率が高く常に人が全然足りていなと推測できます。
従業員の平均年齢が異常に若いというのも、長く働ける労働環境や待遇ではない可能性があります。
反対に処遇がよすぎる会社も要注意で、実はノルマ制でたくさん稼いでいるのはごく一部の従業員ということもあります。
ただし、もしかすると人手が足りないのは、会社が急成長していることが原因かもしれません。
つまり、急成長中のベンチャー企業でも前記の特徴が当てはまるのです。
ブラック企業という定義は難しく、経営資源が足りないベンチャー企業が存続して成長するためには、がむしゃらに必死に働くことも必要です。
その仕事を通して得られるものがあり成長できると当事者が納得していれば、それはブラック企業とは言えませんし、そうした企業群の中から将来、超優良企業と呼ばれる会社が出てくるかもしれません。
しっかりと判断を行うためには、できるだけ多くのAランク情報を収集することが大切です。
しかし、Aランクの情報収集をすることは、面接で受かるためにも有効な手段になります。
ほとんどの応募者は就職サイトに書いてあることしか言わないので面接官はうんざりしています。
そのときにあなたが独自に得た情報を面接官にぶつければ、高い評価を得られるかもしれません。
問題はどうやって情報源となる人をつかまえるかですが、まずは自分に近い、親や兄弟、親戚、大学の先輩などに相談してみましょう。
その中に情報源になる人がいればいうことはありませんが、実際にはなかなかそうはいかないものです。
その場合にもさらに、その業界に詳し知り合いがいないかを尋ね、紹介してもらえるように依頼することです。
話を聞く相手が見つかったら、次の3つのポイントに絞って質問を事前に準備しておきます。
1.経営理念やビジョン、戦略などの徹底度、浸透度の質問・確認。
例)「会社の経営理念を職場ではどんな形で具体的に実行していますか」
「戦略の浸透を象徴するような事例はありますか」
2.具体的な仕事の内容や人に関することの質問・確認。
例)「入社して、最初はどんな仕事が与えらますか」
「実際に社内で活躍しているのはどんな人ですか」
3.目的やモチベーションなどの質問・確認。
例)「仕事のやりがいはどういったところですか」
聞く相手がその会社の社員であれば、上記のようなナマの話から、会社の実態が見えてきます。
また、会社訪問や説明会などで実際に会社の中に入る機会もあるかもしれません。
会社の社風は、そこで働く人たちの態度や行動ににじみ出ます。
対応してくれる社員の態度や言葉づかいに好感が持てるかどうかも大切なポイントです。
社内に掲示されたものや配布物からも会社の雰囲気や今、どんなことに力を入れているのかがわかります。
社内のコミュニケーションが円滑で業績の良い会社ほど、整理・整頓が行き届いている傾向があるので、受付や洗面所などがきちんと整理・整頓され、清潔感があるかどうかも要チェックです。
まとめ
ホームページの謳い文句が大げさではないか。
平均年齢が異常に若くないか。
従業員数のわりに大量の募集をかけていないか。
入社してから後悔しないように、ブラック企業を見極める目を養うことが大切です。
また、求職時のキーワード選びには、時代の流れ先見の明を持ち可能性の高いものを意識しながら、後悔しない仕事選びを成功させてください。
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