子育てや教育の分野では、特にそういったところが顕著に見られるのではないでしょうか。
今回は「子育て上手」「子育て下手」は何が違うのか、見分けるポイントについて解説していきます。
これが何を意味するのかと言えば、今、子育て真っ最中の親にとっては、自分が経験してきたことは役に立たず、実りあるはずの子どもへのアドバイスは、実は時代遅れということになりかねないということを指しているのです。
昭和においてよく言われた「親はなくとも子は育つ」という、どこか自然任せ、他力本願的な感覚では、到底太刀打ちできない世の中になってきているとも言えます。
この令和の時代では、子育てをする親は、子どもの成長に伴う長期的ビジョンを持った上での戦略的な子育てをしなければならないのです。
何が起きるかわからない、全く予測不能の未来を生き抜いていかなければならない子どもたちに対して親ができることといえば、少なくとも、子どもをつぶさない、ということに他なりません。
未来にどんな時代が来るとしても、そこで地に足をつけ踏ん張って食べていける子どもに育てなければならないのです。
しかしどうしようもないことに、子育てが「上手い親」と「下手な親」は確実に分かれてしまいます。
では、子育てが上手い親、すなわち「子どもを伸ばす親」と、逆に子育てが下手な親、すなわち「子どもをつぶす親」は何が違うのか、どういう共通点があるのかを見ていきたいと思います。
1.夫婦で本音を言い合い子どもの教育方針を決める
小学校や中学校の受験願書に「我が家の教育方針」を書かせる学校があります。
その答えとして、「明るく、元気に育つように」といった抽象的な記述では十分ではありません。
これが「正解」という解答は1つではありませんが、「ただやみくもに、暗記による知識のつめこむ作業より、子どもが知的好奇心を持ってくれるような言動を両親ともに常に心掛けており、今後も子どもが自身の頭で考えて判断のできる力を大切にしながら育てていきたい」といった具体的で熱意の込もったメッセージが求められます。
子どもにどういう大人になってほしいか、どういう人生を歩んでほしいのか夫婦の一致した共同目標があり、そこに対して親はサポートを惜しまないという姿勢が必要なのです。夫婦がお互い腹を割って、「こういう子育てをしよう」と話し合うことが大切なのです。
2.小さな長所を発見して褒める
親は子どもの短所を矯正することがためになる思いがちですが、生きていく上で短所があることは特に重要なことではありません。
というのも、短所は長所の裏返しだと言えるからです。
子どもの長所や得意なことを瞬時に見つけて褒めること、そして的確にアドバイスすることで、子ども自身が自信を持てるようにしていくのは親の務めなのです。
自分を認めることができる「自己肯定感」を持って成長できた子どもは間違いなく幸せになれるのです。
3.「先送り」をしない
子どもは生きていくなかで、次から次へと初めてのものに出会います。
例えば、生まれて初めて箸を持つとき、初めて鉛筆で書くとき、初めて出会う提出物の期限、初めて出会うスマホ、などなど。
その瞬間瞬間にきちんと正しい方法を教えることができるかどうか。
めんどうだから今じゃなくても後でいいや、と先送りするならば、育ったあとで矯正しようとしても手間と時間が余計にかかるだけです。
子どもが出会う一つひとつの「初めまして」に心を配りながら、正しい使いかたをその時に教えていくことができるその瞬間を見逃さないことが親として重要なのです。
4.「誰かの役に立つ」素晴らしさを教えることができる
人間は誰かのために何かができるということに幸せを感じる生き物です。
子どもにも小さいころから「この仕事は世の中にこんな風に役立っている」という視点で解説していれば、仕事や職業に対する価値観が自然に養われていきます。
また、一番身近な親がどう社会に貢献し、努力しているのかという背中を見せ続けることも大切なことです。
5.打たれ強い子に育てる
親は子どもが小さいときから、失敗は恐れる必要がないことを教えてください。
失敗しないに越したことはないですが、人間は失敗する動物です。
どんな失敗をしたときもパニックおこさず、くよくよせず、どう粘り強く乗り越えていける人間に成長していけるかが大切なのです。
失敗しても「経験値が増えた」ことととらえ、逆に失敗から学べたことを喜べるくらいの度量が必要です。
先行き不透明な世の中で必要なのは「打たれ強さ」なのです。
1.夫婦仲が悪い
特に、喧嘩のときに感情に任せて相手の悪口を子どもにぶつける親は最悪です。
安定しない家庭に心の安定している子は望めません。
夫婦仲が悪い原因はその家庭によってさまざまですが、夫や親族の愚痴を子どもの前で吐き続ける母の元に育つと、その子は遅かれ早かれ壊れてしまいます。
2.子どもの上限を決める
子どもが「将来こうなりたい」というような希望を口走ったときに「無理」「できるわけがない」「向いていない」などという親は、その瞬間に子どもをつぶしていることに気づきましょう。
子どもは二度と「将来」を口にはしなくなります。
3.ペナルティを科す
よくあるペナルティに「成績が落ちたからお小遣いを減らした」というものがありますが、罰則やペナルティを課すことから生産的なものは何も生まれません。
また反対に、成績が上がったからご褒美をあげるというやり方も正しいわけではありません。
別の欲が満たされるから勉強を頑張る、ということはルールとして続きません。
子どもが勉強する内容そのものに興味や好奇心を持つことが大切なのです。
はたして親にいつもエサで釣られる成績の良い子というのは存在しないのです。
4.環境を見ない
学校、習い事、塾、友人関係など、子どもが接するあらゆる空間である「環境」だけは親の努力が利く範囲と言えます。
自分の存在を認めてもらい、長所を伸ばしてもらえる「環境」に子どもを置くことが思春期の子育てには何より必要なことです。
「この内申点なら自動的にこの学校だな」というように「環境」を見ない親にはならないようにしましょう。
5.時代を見ない
昭和の出世モデルが崩れてしまった今、親は時代をよく見て子育てをすることが求められます。
よく子どもに良い影響はないという理由で、スマホやPC、タブレットなど機器を与えない親がいますが、今の時代、情報を収集するツールが使えないと生きていけません。
もちろんそのなかには有益な情報があれば悪い情報や嘘の情報も溢れています。
それらをすべて蓋するのではなく、まず親が機器を学び、その機器のメリット、デメリットを把握したうえで、子どもに説明し、年齢に適した使い方のルールを親子で話し合うことが重要なのです。
「機械」が悪いのではなく、要はどう使いこなしていくか、なのです。
まとめ
日々の暮らしのなかで、子どもの成長に「手をかけ続ける」「目をかけ続ける」ことは簡単ではありませんが、子どもを伸ばす親とつぶす親の差は、子どもへの働きかけが少しあるかないか、だけなのではないでしょうか。
「めんどくさいから今じゃなくても」という気持ちを越えて、今、その瞬間の子どもに寄り添うことが、大切な第一歩だと言えると思います。
子どもを「伸ばす親」と「ダメにする親」の習慣 (アスカビジネス)