トイレが気に入らないと使ってくれなかったり、使いながらも実はストレスを感じているのかもしれません。
多頭飼いの場合、猫のトイレ問題は深刻で、粗相を繰り返すと飼えなくなり外に逃してしまったり、飼育放棄の原因になることもあります。
また猫がトイレを嫌って我慢してしまい膀胱炎になることもあるので、健康のためにも環境の良いトイレを用意してあげましょう。
今回は猫のトイレについてのお話です。
なかでもどんな猫でも好むトイレの条件として、
・ウンチをするときは砂が深い方がいい
・粒が小さい砂がいい
・大きなトイレがいい
・屋根がついているかどうかは好みに影響しない
ということがわかっています。
今回は、1匹ではなく多頭飼いの場合に、同居猫が使った後のトイレを使うのかどうか、について調べました。
猫は自分が使ったトイレでも使用済みトイレを嫌いますが、自分が使った後のトイレよりも、他の猫が使った後のトイレの方がより嫌うはず、という仮説が前提になっています。
猫のトイレ行為は、単純な排泄以外にも、マーキングの意味もあるため、一見、自分が使った後のトイレより同期猫が使った後の方が猫は嫌がりそうですが…。
【 実験の概要 】
A.綺麗なトイレ
B.自分の排泄物が入ったトイレ
C.同居猫の排泄物が入ったトイレ
D.ダミーの排泄物が入ったトイレ
この4パターンのトイレを用意し、2つずつチョイスして猫がどちらのトイレを使用するのか観察しました。
A.綺麗なトイレ VS B.自分の排泄物
A.綺麗なトイレ VS C.同居猫の排泄物
A.綺麗なトイレ VS D.ダミーの排泄物
B.自分の排泄物 VS C.同居猫の排泄物
C.同居猫の排泄物 VS D.ダミーの排泄物
【 実験結果 】
綺麗なトイレを選ぶのは当然のように感じますが、同居猫の排泄物入りトイレと自分の排泄物入りトイレを比べるとどちらも同じくらいの使用率なのは面白いですね。
同居猫の排泄物入りのトイレとダミーの排泄物入りを比べても差がありませんでした。
このことから、猫は臭いが原因でトイレを嫌がるのではなく、ダミーでも砂の上に何かがあると嫌がるということがわかりました。
そしてダミーの数を増やすとより使わなくなること、また便のダミーよりも尿のダミーのほうがより嫌がることもわかりました。
猫は意外と他の猫が使ったトイレを気にしていなかったのですね。
こまめにお掃除する、砂を変える、トイレの数を増やすなどやれることは沢山ありますが、今回は8個のポイントに分けてまとめました。
1.掃除
掃除はトイレ環境改善の最初の一歩です。
人間も綺麗に掃除されたトイレは気持ちが良いものです。
こまめに掃除してあげましょう。
多頭飼いの場合、日中お仕事等で長時間家を空ける方は複数個のトイレを設置するとよいでしょう。
トイレの数を増やすことで、いつもきれいなトイレを使うことができます。
また今のトイレを全自動やシステムトイレに変えるのもよいかもしれません。
トイレを掃除する際に、汚れた猫砂を取り除き新しい猫砂を補充しますが、1ヶ月に1度ぐらいのペースで砂の全交換とトイレボックスの洗浄をするとよいでしょう。
2.トイレの場所
猫が家の中で一番長く過ごすスペースをコアエリアと呼びますが、トイレが自分のコアエリアから遠くにあると、気軽にトイレに行かなくなり我慢してしまいます。
家猫は一日の半分以上をコアエリアで過ごすので、トイレに行くのに手間がかかる場所は避けて、コアエリアの近くに必ず1つはトイレを用意しましょう。
また、距離は近くてもベビーフェンスや通路間の扉など、行動を制限する障害物があるとトイレに行けないことがあります。
いつでもさっと行けるルート上にトイレを設置しましょう。
犬を一緒に飼っていたり、多頭飼育をしている場合、ボス的な動物がトイレへのルート上にいると精神的なプレッシャーから我慢してしまうこともあります。
支配的な動物のコアエリアからはトイレを離して、トイレへのルートを2つ以上確保するようにしましょう。
また人間でもそうですが、ご飯を食べる横にトイレがあるのは嫌ですよね。
ケージ内などスペースが限られる場合は仕方がありませんが、可能な限り食事場所とは離してあげましょう。
3.トイレの数
猫はきれい好きなので、他の猫と同じトイレを使うことを嫌がる猫もいます。
日中トイレ掃除が長時間できない時でも綺麗なトイレを猫が選んで使える「猫の数+1個」がトイレの数として理想的です。
また、10匹以上のいわゆる超多頭飼いをされている場合は、猫のグループの数以上はトイレを置きましょう。
3匹×3匹×4匹のグループなら3つ以上のトイレが必要となります。
お住まいが複数階の場合は最低1フロアに1つトイレを設置することが望ましいです。
4.トイレのサイズ
基本的に大きい方が良いです。 トイレのサイズは猫の全長の1.5倍以上が望ましいとされています。
残念ながら市販のトイレの殆どがこの基準を満たしておらず、大柄な猫では市販のトイレだと狭いようです。
トイレの縁に乗っかりながら用を足している場合、トイレが小さくて窮屈に感じている可能性があるので、大きなプラスチックトレイを代用するといいかもしれません。
トイレの砂の深さについては猫の好みが分かれますが、最低3cmはキープしましょう。
深すぎると入り辛いですし、低すぎると砂のかけにくくなります。
5.トイレのタイプ
野生のネコ科動物は洞窟や茂みで用を足す習慣がないため屋根付きのトイレは臭いがこもり嫌がることが多いです。
掃除が十分に行き届いていれば、屋根付きでも屋根なしでも猫の好みに大きな差はないようですが、国際猫医学会(ISFM)のガイドラインでは、トイレへ容易にアクセスするためには、屋根なしの方が良いと考えられています。
また、トイレの縁が高すぎると乗り越えにくくなります。
若くて元気なうちは大丈夫ですが、年をとると運動能力が下がりますし、関節炎にもなりかねません。
スっとまたいで気軽に入れるような低い縁のトイレがいいでしょう。
6.猫砂
猫砂には沢山の種類があり、猫の好みが最もでやすいところでもあります。
一般的に猫に好まれるのは、粒子が細かく、臭いがしない、固まりが良い砂のようです。
しかし猫によって好みがまったく異なるので、条件を比較しながら数種類を試して、好みの砂を選んでもらうと良いでしょう。
猫砂を買うのは飼い主さんなので、メーカーは飼い主さんの利便性を優先してPRしがちですが、実際にトイレを使うのは猫ですから、まずは愛猫の好みを第一に考え、その中で飼い主にとっても利便性が高いものを選ぶと良いでしょう。
7.臭い
糞尿の臭いが染み込んだトイレは猫も嫌がります。
人間では気にならない臭いでも猫の嗅覚は人間に比べ約数万倍〜数十万倍鋭いと言われています。
トイレ掃除をさぼって染み込んだ尿の臭いは、嗅覚が鋭い猫は気づきますので、こまめに掃除するようにしましょう。
また、きちんと掃除していても、長期間使っているプラスチック製のトイレは尿とプラスチックが反応を起こして独特の臭いが発生します。
ここまでくると丸洗いしてもなかなか落ちないので、新しいものと交換するのが良いでしょう。
掃除する際に気を付けたいのは、猫は柑橘系の臭いが嫌いだということ。
柑橘系の洗剤でトイレを丸洗いすると、臭いがうつってしまうので避けて下さい。
柑橘系以外でも香りの強い洗剤を使った丸洗いは要注意です。
8.トイレでのトラウマ
猫は、便秘や尿路結石など、病気による痛みがトイレで出た場合や、トイレの近くで捕まえられ薬を飲まされたり、そのまま病院に連れていかれたことがある、トイレ中に落雷のような突発的で大きな音や地震を体験したなど、トイレで嫌な思いをすると、そのトイレを避けることようになることがあります。
そうした場合はトイレ本体を替えたり、設置場所を変えるなどして嫌な思い出をリセットするとまた使うようになってくれるかもしれません。
まとめ
猫のトイレは奥が深く、常にトイレを綺麗にしておくのは基本ですが、猫それぞれの個性や好みの違いがあり、細かいチェックポイントはいくらあげても切りがありません。
猫がトイレをする様子を観察していると、入念にポジションを決めて排泄物が手足につくのを非常に嫌がっているのがわかります。
飼い猫にとってトイレは大事なものであることを理解し、できるだけストレスなくトイレができるような環境を作ってあげてください。
アイリスオーヤマ 猫用トイレ本体 クリア消臭 猫用システムトイレ スターターセット