仕事で失敗して落ち込んだ時に、あなたは自分をどのように立て直していますか。
失敗から回復する方法も人それぞれあるかと思います。
どんなに仕事ができる人であっても、一度も失敗をせずにやり過ごすことはできないでしょう。
しかし仕事ができる人の場合は、失敗をした後のフォローが上手だったり、失敗を次に活かす行動を取ることができるために、表面的には失敗していないように見えています。
今回は、仕事で失敗し手落ち込んだ時に、どう回復するか、についてお話したいと思います。
真面目すぎる性格ゆえに、仕方のないことかもしれませんが、いつまでも落ち込んだままでいては、次の仕事に影響を及ぼす可能性も出てきます。
失敗を引きずったまま負の連鎖に陥らないためには、どうしたらいいのでしょう。
ひとつのミスが次のミスを生んでしまうのは、最初のミスを気にするあまり、ずっとそれに引きずられてしまうからです。
落ち込むことは「心が折れる」とも言います。
心が折れてしまうのは、ひとつの失敗をずっと考え続けているためなのです。
たとえば、「嫌いな上司に叱責されて心が折れる」という場面を想像してみてください。
イヤな思いをしている時というのは、同時に嫌いなはずのその上司のことを考え続けている時だということです。
できれば、その上司のことは思い出したくないはずなのに、現実は逆のことをしているのです。
嫌いなのに考えてしまうのは、おそらく、失敗したこの状態からどうすれば逃れられるか、と考えているからなのですが、このような状態でははむしろ、どうしたら考えなくて済むのか、と考えるべきなのです。
中には「反省のため」といって、いつまでも失敗のことを引きずって考え続ける人がいますが、イヤなことをが頭の中を占め続けていれば、落ち込んでしまうのは、ある意味、当然だと言えるでしょう。
反省はあくまでも自分のことを責める行為なので、やりすぎはあまり良くないのです。
絶対に失敗しない人間はいませんし、人生では誰もが経験するもので、自ら望んで失敗をする人もいません。
本来、反省をするのは2度と同じ失敗を繰り返さないために原因を振り返ることですが、反省と同時に落ち込んでしまうと、かえって反省をする意味がなくなってしまいます。
実際には、反省するよりも先にやるべきことがあります。
それは、自分の失敗を認めることです。
失敗を受け止め、原因を振り返り、そこからどうすれば同じ失敗を繰り返さなくてすむのか、と考えれば、その時の失敗を次に活かすことができます。
失敗したことを認める必要があるのは、自分の頭を切り替えるためです。
失敗を引きずってしまう多くの人がいることは、人間は簡単に気持ちの切り替えができないということを物語っています。
その切り替えをスムーズにするためには、失敗をふっ切るために、一度終わらせる作業が必要になります。
それが「失敗を認める」ということです。
失敗を学びに変えるプロセスとは、
1.失敗を受け入れて気持ちを切り替る
2.そこから教訓を得る
3.次の行動に教訓を取り入れる
の3ステップになります。
現実的には、1.と2.は、行動に移る前の頭の中の作業ですが、最初のうちは、意識して自分の気持ちを切り替えるようにするといいでしょう。
失敗を教訓に変えるオススメの方法とは、メモをとって文字に書き残すことです。
自分の失敗をメモに残して改善を繰り返すうちに、メモをしなくても自分の頭の中で失敗を教訓に変えることが習慣化してきます。
失敗を教訓に変えるための自分への質問として、「時間を巻き戻せるとしたら、2度目はどう自分が行動するか」を考えるのです。
さらに、教訓をメモする際に、気持ちを巻き返して回復させるために必要なこととしてぜひ意識していただきたいのは、「忘れるためにメモを取る」ということです。
普通は人がメモを取る時には、忘れないために文字に残しておくという考え方が一般的だと思います。
しかし、これからの感覚としては「忘れるために書く」を実践するようにしてください。文言や文章などを暗記する際には、何度も書いて口に出してつぶやきながら覚える方が多いと思います。
そうではなくて、書いたら忘れていいよ、と自分に言い聞かせるのです。
人間の脳は感情に支配されており、出来事全体をイメージで覚えるため、失敗の教訓だけを覚えておいて、嫌いな上司に叱られたことは都合よく忘れてしまうことはできません。
教訓を思い出せば、一緒に嫌いな上司の顔も出てきてしまうのです。
極端な話をすれば、人間は「忘れる」か「覚えておく」のどちらかしか選択できないのです。
失敗しておきながら、それを忘れるなんてけしからん、と思われた方もいるかもしれませんが、大切なのは反省するよりも、その失敗をバネにして、次の仕事をより良いものにすることです。
同じミスを繰り返さないためには、忘れないためにメモした教訓だけを定期的に見返せばいいのです。
仕事で安定した成果を上げるためには、気持ちをコントロールさせることが不可欠です。
そのためには、自分の集中力を高めるために「お決まりの儀式」を持つのもひとつの方法です。
Appleの共同設立者スティーブ・ジョブズ氏は、お決まりの儀式について2005年にスタンフォード大学の卒業式で行なったスピーチでこんなことを言っています。
毎朝必ず鏡を見て、「今日が人生最後の日だとしよう。自分が今日やろうとしていることは、果たして自分のしたいことだろうか?」と自問したとき、答えが”NO”の日が続けば、何かを変える必要があると悟り、計画を見直すようにしていた。
Facebookの共同創業者兼会長兼CEOマーク・ザッカーバーグ氏は、毎日同じ服を身に着けています。
同じシャツを何枚も持っているようです。
アメリカ合衆国第44代大統領バラク・オバマ氏は、朝のウエイトトレー二ングと有酸素運動、その後、娘に学校の準備をさせながら家族と朝食を取るというルーティンを大事にしていました。
メジャーリーガー時代ののイチロー選手が、いつもバッターボックスに入る際に同じ動作を繰り返していたのもそれに当たるでしょう。
「お決まりの儀式」には時間短縮や脳の疲労を回避するという意味でもよい作用があるようです。
日常には毎朝の本日着るもの、など小さな決断がたくさん溢れていて、彼らは本当に重要な局面で正しい決断をするために、重要でない決断は時間をかけずになるべく避け、迷わずにすむようにしているのです。
日常で起きるトラブルや失敗にあっても、いかに仕事に影響が出ないように気持ちをコントロールするのかが、高いパフォーマンスを維持するための鍵となるのです。
まとめ
人が落ち込む理由は、失敗の教訓とともにイヤなイメージを思い出し続けているからです。
メモは覚えるためにではなく、本来「忘れるため」に書くものということを知ってください。
大事なのは失敗を教訓にして、仕事で成果を出すことなのですから。
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