子どもが何度も同じことで叱られるのは、全然反省していないからなのでしょうか。
どうして同じ行動を繰り返すのか?
その本当の理由が分かると、解決の糸口が見えてきます。
今回はそれをストップさせる方法を心理学的に探っていきたいと思います。
また、ゲームを止めなさいと注意してもやり続けるたり、ママに叱られそうないたずらばかりを繰り返したり、などもそうです。
お絵かきやお人形ごっこにはまるのは分かるけど、叱られても繰り返すのはまた話が違うんじゃ?と思われるかもしれません。
しかし、心理学的に見れば、どちらの行為も原理は同じなのです。
子どもがあるひとつの行動を繰り返すのは、自分にとって何かしらのメリットがあるからなのです。
ごっこ遊びにハマり、ママと一緒にやるという気持ちは、広い心で付き合ってあげられるとしても、ここでは知りたいのは、ママが止めてほしいことを何回も繰り返す行動でしょう。 なぜ何度叱られても、また同じことをやってしまうのか?
その原因が分かると、どうすればその繰り返しをストップさせることができるかが見えてきます。
子どもが同じ行為を繰り返す原理は、自分にとって「いい結果」を得られると、その行動を繰り返すようになっているからです。
ある行為によって「悪い結果」がもたらされた場合、人間はそれをすることを避けるようになります。
これは大人にも子どもにも共通しているので、感覚的に理解しやすいと思います。
行動の繰り返しにつながるのは、「いい結果」が得られるパターンです。
繰り返しの行動が増えていく現象を、心理学では『正の強化』と呼んでいます。
前述のお絵かきやお人形ごっこの例にとるなら、「楽しいごっこ遊びだった」「お絵かきが上手に書けた」という「いい結果」が、その行動を繰り返したくなる理由となり、行動を繰り返す次へのモチベーションになるからです。
では、ゲームやいたずらに関してはどうでしょう。
一見すると、ママにガミガミ叱られることがわかっているので、そこには「いい結果」がないように見えます。
ガミガミ怒るママ側からしたら、あの毒を吐き出すようなプロセスが「いい結果」だなんて到底思えませんよね。
しかし、子どもにとっては、それが「いい結果」になりうるのです。
1. 叱っている間が時間の確保になる場合
ゲームやテレビをやり続けたい子どもにとって、「ゲームをやめなさい」「テレビを消しなさい」と言われることは、たしかに気持ちの良いことではありません。
しかし、子どもが一番イヤだと思っているのは、ゲームやテレビを即やめないといけないことです。
ママがガミガミと小言を言っている間は、そのままゲームやテレビをやっていられるのなら、それは子どもにとって悪くはないパターンになってしまうのです。
ママのお小言にさらされながら、テレビを見たりゲームができる、引きのばし作戦というわけです。
ママがガミガミ怒っている間は、時間の確保につながる、と子どもが判断すれば、次回も繰り返そうとしてしまいます。
2. 怒らせてでも注意を自分に向けたい場合
子どもは、自分に注目してもらいたいとき、次から次へとママを怒らせるようなことをわざとすることがあります。
子どもが一番に欲しているのは親の愛情なので、親の目線の在り方で自分への愛情を確認しようとすのです。
もし、親に自分をもっと見て欲しい、と思っていれば、なんとかして親を振り向かせたいという行動に出ます。
泣けば来てくれる、騒げばかまってくれる、いたずらをすれば飛んできてくれる、と分かれば、さらに泣き、さらに騒ぎ、さらにいたずらをするようになり、行動が繰り返されるようになります。
たとえ叱られても、欲しかった愛情確認ができることはその子にとっては「いい結果」なのです。
ママのお小言を聞き流すだけでゲームの時間を長引かせることができたり、ちょっといたずらすればママが飛んでくれば、その行動は強化されていきます。
ママの叱る姿自体が強化要因になってしまっているため、いくら叱っても、その行動が改まることはありません。
やめて欲しいから叱っているのに、逆に駆り立ててしまっているというのは、皮肉なことですね。
しかし、こういった抜け出せないような泥沼状態も、視点を変えることで改善することができます。
1.時間の確保につながっているときの断ち切り方
ゲームやテレビを長引かせているようなケースは、叱るよりも、その行動をすぐにやめさせることが大切です。
長々とお説教したくなる気持ちはわかりますが、それが長引かせにつながりますので、それよりも、すみやかに「終了」を目指しましょう。
子どもに自らスイッチを切るという目的をすぐに達成しない場合は、親が実力行使にでることことを匂わせ、タイムリミットを超えたら強制的に切ってしまう手段をとるのがポイントです。
2.愛情確認につながっているときの断ち切り方
愛情確認のケースは、親に子どもとかかわる時間的な余裕がないことがまともに影響しやすいため、下の子が生まれて世話にかかりきりになっているなどの一時的な事情で起こることも多いようです。
忙しいからという理由で上の子どもに目が届かないと、子どもは何とか親の視線をゲットしようとします。
この場合、いたずらをしなくても自分のことをしっかり見てくれている、と子ども自身が実感できるようになれば行動は改善していきます。
普段の生活の中で、いたずらして注意を向けさせる必要ない、と感じてもらえるようにするのです。
いたずらをされてしまうと、親としてはさらに忙しくなったり、イライラが募って怒鳴ったりひどい場合は手を挙げてしまったり、と何もいいことはありません。
それよりは、普段の子どもの様子にほんのちょっと目をかけてあげるだけで、子どもは正しい形の愛情を受け取ってくれるようになります。
まとめ
子どもでも大人でも同じ行動を繰り返すのは、人間はみな自分にとって何かしらのメリットが、その行為にあると感じているからです。
子どもの場合は、それが時間の確保や親の注意をひくことにつながっているのです。
ある意味、親に甘える行為ですから、自分で責任をもって行動することを教える良いチャンスだとも言えるのではないでしょうか。
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