その気持ちが強い親ほど、子どもに自分の弱みや短所は見せないようにします。
子どもの前で泣いたりするなんて論外だと思っておられる方もいるのではないでしょうか。
はたしてく子どもの前で泣く親はダメな親なのか。
いえいえ、そんなことはないでしょう。
親も一人の人間です。
楽しくて笑い転げることがあれば、悲しくて、また悔しくて泣くことだってあります。
実はそんな親の姿を見て、子どもに培われる力もあるのです。
今回は「親が子どもの前で泣く」ことについて考えてみましょう。
泣きたいときも我慢して、やせ我慢の笑顔を見せることはないでしょうか。
それは、いい親であり続けるために、子どもに自分の弱みや短所は見せてはならないと思っているからです。
「子どもの前で泣くのはダメな親」と考える人もいるかもしれません。
しかし実は子どもに親の弱い所を見せることで、自分のネガティブな感情の発散方法や処理する方法を見つけ出すこともあるのです。
家庭や学校では弟や妹、友達が泣いているときに、思いやりの言葉をかけたり、なぜ涙を流しているのか、相手の気持ちを考えることを教わります。
ですが自分が泣きたいと感じているときはどうでしょう。
ネガティブな感情が自分に湧き起こったとき、その感情に対してどう処理をすればよいのかを学ぶ機会は少ないのです。
自分の親が涙を流している姿を見ることで、子どもは泣いている親の気持ちを理解しようとし、思いやりや優しさが育まれていきます。
誕生したてでまだ話すことのできない赤ちゃんは、お腹がすいたとき、オムツが濡れて気持ち悪いとき、空腹感や不快な気持ちなど、自分の意思を泣くことで親に知らせようとします。
いわば泣くという行為は、生きていくうえで必要なものであり、心の生理現象のひとつとして、教わるでもなく自然に表現されるものなのです。
さらに成長していく過程で、自然な感情の表現の仕方は人それぞれ変わってきますが、とりわけ泣くことに関しては、周囲の大人の言動や、子どもたちを取り巻く環境によって表現方法が大きく変わってくるでしょう。
空腹、眠気、排泄という生理現象を我慢すると、体の発達に支障が出てくるのは言うまでもありませんが、湧き出る感情を抑え続けていても心の健やかな発育の妨げになり、問題が生じてきます。
泣きたい感情をうまく表現できない子は、偽りの感情を表すことになります。
悲しくて泣きたいのに、笑っていたり、
怖くて泣きたいのに、平気な素振りをしたり、
悔しくて泣きたいのに、素直に真実を言えず親に八つ当たりをしたり。
長い間それが続くと子どもはどんどんストレスを溜め込むことになります。
それが原因となり心の病を患ったり、他者への暴言や暴力、いじめやいやがらせ、又は自傷行為につながることもあります。
大切なことは、心の中に湧き起こった悲しみや悔しさ、不安などの気持ちのエネルギーをどう自然に発散させるかです。
子どもは本来、ネガティブな感情をうまく処理する能力を持っています。
友達と遊んでいて、おもちゃを貸してもらえないと大泣きしたかと思うと、後はケロッとして他のおもちゃで遊び始めることがありますね。
子どもは泣くことで感情をコントロールしながら、自分ネガティブな感情を発散させ、処理する能力を持っているのです。
親は見守りながらできるだけ妨げないようにしましょう。
親も時には子どもの前で、泣きたい感情を抑えられず泣くことがあってもよいのです。
そして「泣きたいときは泣いていいんだ」と子どもが感じることが大切です。
「大声で泣いても大丈夫よ」「泣いているあなたも好き」という気持ちが伝わるようにしっかり抱きしめてください。
子どもはどんな自分でも認めてもらえる、泣いている自分でもありのままを受け入れてもらえると感じ、心の中に湧き起こった感情を素直に出していけるようになるでしょう。
本当の気持ちと、表現する感情の祖語が小さければ、ストレスも少なく、素直な心が育まれていきます。
2.苦手や失敗に理解の言葉をかけることで、信頼関係が築かれる
「お母さんも算数は苦手だったな」「お母さんも子どもの頃は、ピーマン苦くて食べられなかった」と言うことで子どもはホッとする安堵感を覚え、「お母さんは、私の気持ちを分かってくれる」と感じます。
苦手なものの前で涙を浮かべて泣いている子どもに、「お母さんもあなたと同じで、よく間違えるのよ」という言葉で、子どもは精神的に救われることもあります。
もし親が間違ったら「ごめんなさい」と言って謝る姿を見せれば、子どもは謝ることの大切さを学ぶ機会にもなります。
子どもの前で完璧な親でいなければならないと考えるよりも、悲しいときや悔しいときは、子どもの前で泣いている姿を見せることや、泣いている子どもの気持ちに理解を受け入れることで、親子の信頼関係も築かれていくのです。
3.ありがとうを伝えることで、自分の存在に自信を持つ
子どもの前で泣くことは、弱い親、ダメな親ではなく、子どもに自然な感情を表わしてもいいことを教えていると思ってください。
しかし「自分のせいでお母さんが泣いているのかも」と、子どもが感じるかもしれません。
そのため、泣いている姿を傍で見守っている子どもに、きちんと「ありがとう」という言葉ををかけましょう。
それは、「あなたがいてくれてありがとう」と、子どもの存在自身に感謝している気持ちの言葉です。
無条件で存在を認められる子どもは、自分の存在に自信を持ち、心が強くなり、意欲や思いやりの気持ちが育まれていくでしょう。
まとめ
泣きたい気持ちをうまく発散させることができる子どもは、弱い他者の気持ちにも寄り添うことができ、優しさと強さの両方を育むことに繋がります。
泣いているお母さんの姿を見ることで、そっと背中をさすりながらそばに寄り添ってくれる、素直な優しさと強さの芽が育まれます。
さらに傍で見守ってくれてありがとう、という気持ちを伝えることで、子どもは自分の存在そのものに自信をもつでしょう。
涙とともに悲しみやくやしさ、苦しみを流してしまったら、ポジティブに、前向きに、と気持ちも切り替えやすくなります。
親もたまには肩の力を抜いて、子どもに弱いところを見せてもよいのではないでしょうか。
おかあさんはね