しかしながら今やビールもどき?的な発泡酒や第3のビールなるものが売り場にはあふれていて、お値段的には割安なものの、イマイチビールと何が違うの?かがわからない。
去年10月に酒税が上がった「第3のビール」。 そのため発泡酒と第3のビールのお値段の差はほとんどなくなりましたが、やはりビールに比べればまだまだお手頃。
今回はそんな庶民の味方「第3のビール」ってそもそも何?というところをお話したいと思います。
<ビールの定義>
ビールとは「麦芽」「ホップ」「水」及び「麦その他政令で定める物品」を原料として発酵させて作られたアルコール分が20度未満のものです。
上記の「ビールの定義」で定められた条件から外れたものは、酒税法上の「ビール」とは認められません。
<発泡酒の定義>
発泡酒とは、ビールと同じように造られますが、麦芽の比率が50%未満又は政令でビールに使用できない原料を一部でも使用したアルコール分が20度未満の発泡性があり、ビールのような味わいのお酒のことです。
「発泡酒」は「ビール」とは違って副原料の種類や量などに制限がなく、味や香りにさまざまなバリエーションがあるのが特徴ですが、「第3のビール」ほど自由度は高くありません。
麦芽を使用しなければならないなど、一定の条件に従って造る必要があります。
<第3のビールの定義>
第3のビールとは、「ビール」にも「発泡酒」にも分類されない、一般的には「第3のビール」や「新ジャンル」と呼ばれるビールテイストな酒類のことで、法律上は「その他の発泡性酒類」となります。
発泡酒は麦芽の比率が少ないものですが、第3のビールの場合麦芽は使用されていないので、実はビールとは全く別の飲みものなのです。
では、麦芽を使用していないのなら、一体何を使用して作られている物なのかが気になるりますよね。
実は、トウモロコシ、えんどう豆タンパク、大豆タンパク、大豆ペプチドなどが麦芽の代わりに原料として使われています。
例外としては、サントリースーパーブルーなどは、発泡酒にスピリッツを加えて作られており、こちらは麦芽が原料として使われているので、ひとくちに「第3のビール」といっても、このように原料も様々、味も様々なのです。
アルコール分に関しては、ビール、発泡酒、第3のビール共に5%〜5.5%程度(一部ダイエット系を除く)になっていますので、第3のビールだからと言ってアルコールが薄いということはありません。
「ドラフトワン」ははホップこそ使用していますが、主原料は糖類やエンドウタンパクなので、2003年時点の酒税法では「その他の雑酒」に分類され、「ビール」や「発泡酒」よりもずっと税額が安く抑えられたのです。
つまり、酒税が大幅に安いぶんだけ、ビールテイストのお酒を消費者が低価格で楽しむことができるようになります。
それを目的に、サッポロビールあえて麦や麦芽を使わずに造ったのです。
翌年に「ドラフトワン」が全国展開されると、メーカーの期待どおり、その年の大ヒット商品となりました。
これを見ていた他のメーカーも追従し、次々と「第3のビール」の新製品をリリースし始めます。
これが現在も続く開発競争につながるわけです。
では「第3のビール」の味わいに対する主な大手メーカーのこだわりを、銘柄とともに紹介しましょう。
【本麒麟(キリン)】
ビール類の売上が伸び悩むなか、ヒットを飛ばしている銘柄です。
ドイツ産の「ヘルスブルッカーホップ」を一部使用することで、上質な苦味のある味わいに仕上げられています。
仕込過程でも新技術を採用し、深いコクを実現。
「ビール」と比べても遜色のない味わいをたのしめます。
私も第3のビールはこちらをよくたしなみます。
【ザ・リッチ(アサヒ)】
プレミアビールを目指して造られた「第3のビール」。
麦汁の濃度を高め、「ビール」に限りなく近いコク深さを実現しています。
チェコ産のファインアロマホップ「ザーツ」を用いることでさわやかな香りを付加。
アルコール度数も6%と高めで、「リッチ」な気分を味わえます。
【「金麦」(サントリー)】
四季に合わせて味わいを変える商品を展開しているシリーズ。
旨味成分を多く含む麦芽と国産麦芽をブレンドした「贅沢麦芽」を原料とし、サントリー独自の「本格二段仕込製法」によって、「飲みごたえと心地良い後味」を実現しています。
2021年2月には新ラインナップの「金麦 ザ・ラガー」が登場しました。
【麦とホップ(サッポロ)】
麦のうまみがたっぷりつまった、ビール好きのための確かなうまさを目指し、うまみが凝縮された麦汁を作り出す「うまみ麦汁製法」を採用。
本物の「ビール」に近い味わいを実現しています。
【ゴールドスター(サッポロ)】
サッポロが「麦とホップ」に続けて、「麦とホップとGOLD STARのツートップ戦略」として2020年4月に発売した「第3のビール」です。
「サッポロ生ビール 黒ラベル」に使われている旨さ長持ち麦芽と、「ヱビスビール」に使われているドイツ産アロマホップを一部使用し、「力強く飲み飽きないうまさ」を実現しています。
しかし酒税は数年ごとに見直しが行われるため、酒税法改正による税額の変遷とともに「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の価格も変化します。
酒税の見地から「第3のビール」の将来について考えてみましょう。
この先も、2020年、2023年、2026年と段階的にビール類の税額が変わることが決定しています。
2020年10月以前は「第3のビール」の税額は350ミリリットルあたり28円でしたが、2020年10月に10円引き上げられ約38円になりました。
2023年10月にはさらに引き上げられて約47円に税額がアップします。
しかも、「第3のビール」「新ジャンル」と呼ばれているものは、「発泡酒」に統合されます。
価格の安さを特長として新しく生み出された「第3のビール」ですが、「第3のビール」という呼称は消え去り「発泡酒」の一部となるわけです。
さらに、2026年10月には、「ビール」と「発泡酒」の税額が一本化され、350ミリリットルあたり約54円に統一されます。
「第3のビール」「ビール」「発泡酒」の、現時点(2021年6月時点)の税額以下のようになっています。
◇第3のビール:約38円
◇ビール:70円
◇発泡酒(麦芽比率50%以上):70円
◇発泡酒(麦芽比率25%以上50%未満):約58円
◇発泡酒(麦芽比率25%未満):約47円
まとめ
ビール類の価格は税額だけで決まるものではないですが、酒税額が価格に反映されることは間違いありません。
現段階では「低価格」という「第3のビール」の魅力は失われていませんが、この先「発泡酒」の一部になり、酒税額がビールと並んだ時、私たちが価格を基準にして「第3のビール」を選ぶことはできなくなるかもしれません。
しかし個性豊かで品質のよい「第3のビール」は、健康を気遣った糖質ゼロやプリン体ゼロシリーズなどにもメーカー各社が注力していて、今後も発展が予想されるため、まだまだ新しいテイストの「第3のビール」が開発されていくことでしょう。
もうすぐ夏本番。
自分の好みに合った銘柄を飲み比べてみるのもたのしそうですね。
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