これは「猫の運動会」とも呼ばれていますが、愛するかわいい猫の行動でも、朝早く大きなドタバタ音で目が覚めてしまったり、ご近所への騒音を気にしたりする飼い主さんもおられることでしょう。
今回は、なぜ猫は運動会を開催してしまうのか、暴れる猫たちにどう対応したらよいのかについてご紹介します。
子猫の時期に多いこの行動は、一般的に「猫の運動会」として知られています。
実は「猫の運動会」の正式名称は「真空行動」と言い、目的を達成するための行動ができないため、その代わりとして生まれる行動のことです。
なぜ「真空」という言葉が使われているのか少し不思議ですが、真空行動は英語の「Vacuum activity」から来ています。
真空と言えば、通常は「空気などの物質がそこに全く無い」ことを想像しますが、Vacuumには「空虚」という意味もあり、何もなくて空っぽというこの意味が示すところは「暇」ということ。
真空行動と聞くと何やら専門用語っぽく難しく考えてしまいますが、要するに「暇ですること無いから、とりあえず走っておこう!」という行動なのです。
猫の運動会は子猫が走り回れるようになる生後2〜3カ月ほどから始まります。
何歳まで続くのかは個体差が激しく一概には言えません。
生後5〜6カ月から2歳くらいまでが特に頻繁に運動会が開催されるようです。
人間の年でいうと10代から20代前半にあたり、精神的に未成熟なのにもかかわらずエネルギーがあり余ってしまっている状態なのです。
猫は身体的には生後1年で成熟しますが、精神的に落ち着いてくるのは2歳頃だと言われています。
もともと夜行性のため早朝や夜間に暴れてしまうのですが、人間と一緒に暮らしているうちに人間の行動パターンにあわせるようになり、夜は一緒に寝てくれるようになります。
ただし、6歳以上のシニアの子でもたまに突然走り回ったりするとことがありますし、10歳以上になっても運動会を開催する子もいるようです。
では、猫はなぜ運動会を開催するのでしょう。
前述した「真空行動」という正式名称が示すとおり、ずばり「暇だから」です。
運動会は特に完全室内飼育の猫によく見られる行動で、家の中と外を行き来する猫はあまり運動会を開催しないと言われています。
現代社会で猫と安全に暮らすためには、完全に室内飼育にしたほうがよいとは思いますが、猫の立場になると外の世界に比べて刺激が少なく暇な生活なのかもしれません。
また、猫はもともと狩りをする生活をしていたため、明け方や夜の時間帯になると、猫の本能である狩りへの欲求が駆り立てられるというのも運動会を始める一因になるのでしょう。
早朝や夜中はテンションが上がって本能にスイッチがはいり、獲物を探す状態になっているので、運動会が開催されるのは自然なことではあります。
全ての猫が運動会を開催するわけではなく、しょっちゅう家の外に出ている猫や完全室内飼いであってものんびりと穏やかな性格の子は運動会をあまりしないともいわれています。
ただ、やんちゃな性格の子に一旦スイッチが入ってしまうと、そのテンションの上がり方は尋常ではなく、興奮度マックスになると、たとえ飼い主であっても敷物の一部か飛び石くらいにしか考えていないのではないかという扱いになってしまいますのでご注意ください。
無理にやめさせようとすれば、ますますストレスが溜まってしまうのでかわいそうです。
とはいうものの「夜中の運動会が毎日続いて寝不足」「ご近所さんへの騒音が心配」という飼い主さんもおられると思います。
運動会を完全にやめさせるのは無理ですが、飼い猫のエネルギーをうまく発散させてあげることで回数や騒音を減らしたりすることができます。
1.たっぷり運動をさせる
猫の運動会が開催される大きな理由の一つは、エネルギーが発散できないまま暇な状態に置かれるから。
特に子猫〜2歳くらいまでの若い猫は元気があり余り、運動や遊びたいという欲求も強く持っているので、そのエネルギーをうまく発散させてあげる必要があります。
まずは飼い主さんが、猫が好きなおもちゃを使って十分遊んであげることです。
飼い主さんと楽しい時間を過ごしながらエネルギーも発散できるので満足感を得ることができます。
若い猫と遊ぶときは、猫が走り回れるような遊びをするのがオススメです。
長めの猫じゃらしを大きく振ったり、猫が好きなおもちゃを投げてあげたりすると喜んで走り回ります。
飼い主んさんも猫が喜んで飛びついてくるような猫じゃらしの操作法を勉強するといいでしょう。
ぶんぶんとただ振ってるだけではすぐに飽きてしまうので、緩急をつけて狩猟本能をくすぐってあげることが大切です。
猫と遊ぶときはだらだらと長時間ではなく、短い時間を数回に分けて行うことが大切です。
そのほうが猫の満足度がぐんと上がります。
遊んだおもちゃは出しっぱなしにせず、1回ずつ片付けて新鮮さを保つようにしましょう。
疲れるほど遊べば猫もぐっすりと寝てくれますが、そこまで付き合う飼い主さんは大変ですよね。
一人でも楽しく遊べるおもちゃを用意して、狩りの欲求や遊びたい気持ちを少しでも満足させてあげるようにしましょう。
最近ではスイッチオンで動いてくれるおもちゃも販売さていますので、それらを活用してもいいでしょう。
2.多頭飼いをする
飼い主さんが留守中や忙しいときでも、一緒に遊んでくれる相手がいれば、追いかけっこをしたりプロレスをしたりしてエネルギーを発散することができます。
だだし、子猫のときは2匹そろって大運動会を開催することも珍しくはありませんので注意が必要です。
3.キャットタワーを複数置く
猫は高い場所が大好き。
猫は平地を走り回るより上下運動の方がストレスが解消されると言われているので、キャットタワーは非常に効果的です。
キャットタワーを複数設置したり、家具や棚、キャットタワーの配置を工夫して、部屋の全体をアスレチック場にしてしまうという方法もあります。
4.気にせず放っておく
猫の運動会は本能によるものなので、無理にやめさせることはできませんし、暴れないようにケージなどに閉じ込めてしまうとますますストレスが溜まり病気の原因にもなりかねません。
運動会は20分〜30分程度暴れまわれば閉会となりますから、その間は猫の好きにさせて放っておくというのも一つの方法です。
夜中に始まる運動会の騒音を減らす対策としては、フローリングの床にマットやカーペットを敷くのがおすすめです。
タイルカーペットだと、汚れたパーツの部分だけを取り外して交換したり洗ったりできるので便利です。
猫が着地するキャットタワーの下に衝撃を吸収しやすいコルクマットなどを置くのも効果的です。
コルクマットは猫が爪とぎをしやすい素材でボロボロになりやすいので、安価なものを頻繁に交換するのがいいでしょう。
猫の運動会は人間が寝ている時間帯に開催されることが多く、睡眠を妨害されてうるさいと感じたりやめてほしいと思ったりすることもあるでしょう。
こればかりは本能によるものなので、完全にやめさせたいと考えるのではなく、人間のほうが歩み寄り、あきらめ半分で仲良く付き合えるように対処していくことが猫と楽しく暮らすコツのような気がします。
まとめ
猫と一緒暮らすには、されて嫌なことを怒ったりやめさせるのではなく、その対処を人間が楽しんで行うことが大切です。
猫を飼う上では、いろいろな工夫を施した上で、何といっても「諦めて許す」気持ちが欠かせません。
飼い主の懐の深さを試されているものとして、是非とも寛大なご処置をお願いしたいです。