「ヤングケアラー」という言葉をご存じですか。
「ヤングケアラー」とは、様々な理由から、若い世代で介護を担わなければならない状況に置かれている人たちのことです。
小学生から大学生までのケアラーや孫が祖父母を介護するケースもあります。
なぜ学生が?と思うかもしれませんが、大人の世代は仕事をして稼がないといけないため、介護の時間を学生である子や孫に担ってもらわないといけないのです。
ほかにもシングルマザーで育てられた人、両親に事情があって祖父母に育てられたような人なら、なおさら「自分が介護をしなければ」という思いが強くあるようです。
今回は見逃されがちな現代の若者たちによる介護の実態をご紹介します。




「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたち


家庭内で、両親や祖父母、兄弟姉妹の世話や介護などをしている子どもを「ヤングケアラー」と呼びます。
この「ヤングケアラー」の実態について、2020年12月〜2021年1月にかけて厚生労働省と文部科学省が初めての調査を行いました。
調査内容は、公立の中学校1000校と全日制の高校350校を抽出し、2年生にインターネットでアンケートを行い、合わせておよそ1万3000人から回答を得たものです。

公表された内容によると、家族の世話や介護などに追われるその割合として「世話をしている家族がいる」という生徒の割合は、中学生が5.7%でおよそ17人に1人、全日制の高校の生徒が4.1%でおよそ24人に1人でした。
具体的な介護項目は、食事の準備や洗濯などの家事が多く、ほかにも兄弟姉妹を保育園に送迎したり、祖父母の日常生活の手助けや見守りと多岐にわたっています。 介護にかける時間は、平日1日の平均で、中学生が4時間、高校生は3.8時間でした。
驚くことに、1日に7時間以上介護や世話に費やしている生徒が、1割を超えていたということです。

介護や世話によって「やりたくてもできないこと」を複数回答で尋ねたところ、中学生では、「特にない」という回答が58%だった一方、「自分の時間が取れない」が20.1%、「宿題や勉強の時間が取れない」が16%、「睡眠が十分に取れない」と「友人と遊べない」がいずれも8.5%でした。
また、「進路の変更を考えざるをえないか、進路を変更した」という生徒が4.1%、「学校に行きたくても行けない」と答えた生徒が1.6%でした。

一方で「相談した経験がない」という生徒が、中高生ともに6割を超えました。
「誰かに相談するほどの悩みではないから」という理由が最も多く「相談しても状況が変わるとは思わないから」という回答が続いています。
誰にも相談しないというのは、同年齢の知り合いは介護の話など想像もつかないだろうし、「重い話」ととらえられてしまうのがいやで、口に出せない人が多いからだと思います。
もっとざっくばらんに話せる環境があるといいのですが、まだまだ気軽に話ができる環境にはないようです。

私も、母の介護の最中は、周囲に同じ境遇の人がいないことで、悩みを話せずストレスを溜め込んだので、ヤングケアラーたちの集まりなどを開催し、気軽に足を運べるような環境づくりが必要だと思います。
同じ世代の同じ悩みをもった人たちと話すだけでも、少しラクになれるのではないでしょうか。



定時制や通信制の高校で高い割合が

厚生労働省や文部科学省は、今回、定時制や通信制の高校についても、規模を縮小したうえで調査を行っています。

調査内容は各都道府県から1校ずつ抽出してインターネットでアンケートを行い、およそ800人から回答を得ました。
その結果「世話をしている家族がいる」という生徒の割合は、定時制高校が8.5%、通信制高校が11%で、いずれも全日制の4.1%を上回りました。
このうち通信制高校の生徒では、1日に7時間以上世話に費やしているという回答が24.5%を占めたということです。
ほぼ4人にひとりが、1日7時間以上の時間を介護にあてているのです。

家族の世話をしている通信制の高校の生徒に「やりたくてもできないこと」を複数回答で尋ねたところ「自分の時間が取れない」が40.8%に上ったほか「友人と遊ぶことができない」が30.6%と、いずれも全日制の高校を大幅に上回りました。
また「当初通っていた学校を辞めた」という生徒が12.2%「アルバイトや仕事ができない」と答えた生徒が8.2%で、生活や学業に深刻な影響が出ていることがわかります。

山本厚生労働副大臣は、会合で「調査結果に衝撃を受けた。子どもらしい生活を送れず、誰にも相談できずに1人で耐えていることを想像すると、胸が締めつけられる思いになる。これまでヤングケアラーに着目した対策を打たなかったことが悔やまれるが、即効性のある対策を急ピッチで検討したい」と述べました。

加藤官房長官も、「ヤングケアラーは、表面化しにくい構造になっていて、支援を検討するにあたっても、その実態を把握することがまず重要。今後、プロジェクトチームにおいて、調査結果も踏まえ、今後の支援に向けた論点や課題などを検討していくことにしている。
政府として、実態も踏まえ、ヤングケアラーの支援について検討していく」と述べました。

前途がある若い世代がさまざまなことを諦め、犠牲にして介護をしているのはつらいです。
女性の場合は、介護を優先するために結婚や出産をあきらめる人もいるようです。
介護でいっぱいいっぱいで、自分のキャパシティを超え、パートナーや子どもが欲しいと思ってもどうやって介護と両立するのか、その解決策を持てないのです。
保育園や幼稚園にも「働いている親」でなく「介護をしている人」を優先的に入れる、という介護優先枠なども今はまだまったくありません。




介護する側にも保険を

介護保険サービスは、介護される人のためのサービスであって、介護する側のサポートはほとんどない思います。
しかし介護する側がつぶれてしまったら、介護される側も共倒れです。

政府は「在宅介護」をすすめていますが、在宅でどれほど介護をしても、何の資格にもなりません。
在宅介護の年数によってそれが資格になり、介護現場で働けるようになるなど、ケアラーのモチベーションが上がるような仕組みや、現在、個人単位で行われている介護保険のサービスを家族に要介護者が複数人いても1つの介護サービスにまとめて効率よくうけられるようにすれば、コストダウンにもなり、介護する側もされる側も助かるのではないでしょうか。
介護がストレスにならず、明るく乗り切っていける新しい仕組みに変革しなければいけないと思います。

今回の調査結果は、一定の割合でケアをしている子どもが全国にいると分かったことの意義は非常に大きなものがあると思います。
まだヤングケアラーという言葉すら浸透していない中では、自分がヤングケアラーに該当すると理解していない子どもも多く、表面化していないヤングケアラーがもっといるのではないかと考える必要があり、見えているのは氷山の一角ではないか、と予想できます。

ヤングケアラー問題の背景には、子どもだけでなく、家庭が抱えるの大変さがあるため、教育と福祉を連携させることが必須ですが、まずはこれまでの縦割りの制度では対応できない部分を包括的にできるようにする法制度を検討する必要があるのではないでしょうか。
そのうえで、学校や福祉の専門職の人たちがヤングケアラーの理解者となり、活動の場などで、ケアの負担などについてヤングケアラーの視点を持って話を聞くことで、子どもたちの不安や負担も少しずつ軽減されていくのだと思います。




まとめ

今回の記事はお役に立ちましたでしょうか。

耳慣れない言葉ですが、核家族化が進む日本の家族の中では、ヤングケアラーと呼ばれる幼き介護者は確実に増えています。
本来なら年齢相応の生活を謳歌できる年月を、家族の介護や世話のために多くの時間を割くことにあてるよう強いられています。
もっと彼らのサポートに焦点を当てて、介護が負担にならない生活ができるように教育制度や介護制度を見直していかなければならないと思います。

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。