多頭数を飼いながらカフェを運営するのは難しいけれど楽しいだろうな、という単純な動機なのですが、猫カフェの営業は単なる飼育ではなく動物の展示に当るため、飲食店を開業する許可とは別に動物取扱業の登録をしなくてはいけないらしく、調べてみると簡単なことではないようです。
今回は猫カフェのお話をしたいと思います。
できれば毎日ずっと猫に囲まれていたい。
それならいっそそれを仕事にすればいいんじゃないの。
なんて考えてしまう人も多いのではないでしょうか。
コロナ禍でペットを飼う人が急増中というのも、旅行や外出がままならないご時世で心を慰めてくれる動物の存在がクローズアップされている理由なのかもしれません。
さらに昨今の猫ブーム。
私自身はブームになるずっと以前、20代から猫を飼っていましたが、大好きな猫と一緒に仕事ができたら、ということは何度も考えました。
好きなことを仕事にできたらどれほど幸せなことでしょう。
どんな内装がいいかしら、お店の名前は何にしよう、ロゴも考えないと…と、夢は膨らみますが、じゃあ具体的に猫カフェをやるとしたら?
誰にでもできるものなのか?
普通のカフェや喫茶店とは何が違うのか?
資格や免許などは必要なのか?
手続きはどうすればいいの?
と、いろいろな疑問が湧いてきたので一通り調べることにしました。
猫カフェを経営するためには、一定の条件を満たさなければならないからです。
ひとことで猫カフェと言っても色々と営業形態があります。
営利を目的として動物を扱うため、第一種動物取扱業になります。
第一種動物取扱業の登録申請には動物責任者が必要で、常勤の職員から専属選任し、事業所ごとに配置するように定められています。
しかし猫と遊んだり、一緒に時間を過ごせるスペースを解放しているだけで、飲み物はなどはペットボトルのものを販売するだけ、という形態であれば飲食店には当たらないため「動物取扱責任者」の取得と「動物取扱業」の届出をすれば大丈夫。
カフェとして飲食物の提供をする場合は「食品衛生責任者」の資格や「飲食店営業許可」の取得が必要になります。
【動物取扱責任者と動物取扱業】 動物取扱責任者とは簡単にいえばペットショップを開店するなどの際に自治体に責任者として登録をする制度ということです。
この動物取扱責任者の登録がなぜ必要かと言うと動物も生き物で、責任の所在を明確にしておかないと管理が不十分になったり、粗雑に扱うなどの業者、個人が出てきかねないとの主旨で義務付けられています。
動物取扱責任者は特別な国家資格ではないため、下記の3つの条件のうち1つでも当てはまれば取得できます。
1.営業しようとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年以上の実務経験があること。
これは猫カフェやペットショップなどで半年アルバイトすれば大丈夫。
2.営業しようとする第一種動物取扱業の種別に係わる知識及び技術について一年間以上教育する学校法人、その他の教育機関を卒業していること。
これはペット関連の専門学校や動物関連の大学に通う必要があります。
3.公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって営業しようとする第一種動物取扱業の種別に係わる知識及び技術を習得し証明を得ていること。
これは通信教育や民間の機関で資格を取ることができます。
【食品衛生責任者と飲食店営業許可】 「食品衛生責任者」は、食品衛生協会が行っている講習を受けるだけでなれます。
講習も一日で終わりハードルは低いです。
また、調理師や栄養士といった資格を持っていれば問題なくなれます。
猫カフェを営業する店舗を決めたあとで保健所の衛生状況の検査を受け、消防署に届け出て「飲食店営業許可」を取得します。
この2つは特別な勉強もいらず講習を受け、届け出をするだけなので、比較的簡単に資格が取れます。
しかし開業する場所の保健所によって衛生管理の決まりが異なるため、厳しく審査される場合もあります。
以上が猫カフェ開業に当たって必要な資格になります。
違反をすれば営業禁止などの厳しい罰則もあるので、猫カフェの運営をはじめるならぜひ押さえておきたいところです。
各市町村に相談窓口がありますから、分からないことがあれば尋ねてみることををおすすめします。
家賃、光熱費、設備など、運営を維持するだけでも費用はかかります。
どこで開業するかで保証金や家賃は大きく変わってきますが、水道光熱費や自分1人で運営するのが難しいならアルバイトや社員への人件費、また、猫へのエサ代や病気やけがをして時に備えての保険料や医療費などなど、開業するための資金は十分すぎるほど余裕を持たせておいたほうが安心できるでしょう。
しっかり準備して経営に乗り出す必要があるのです。
猫好きの人なら猫カフェは魅力的な事業かもしれませんが、資金に余裕がない状まま経営計画も練らず、なんとなくはじめてしまうと失敗リスクは高まり、結果的に猫の不幸にもつながります。
資金難となり衛生環境が悪くなれば、ストレスや病気になっても猫を病院へ連れて行けません。
猫カフェをしたいなら、ぜひ十分な資金と共に、猫への愛を持って取り組んでください。
まとめ
猫カフェ開業には、資格と資金が必要です。
また、モノを仕入れて売る商売ではないので、猫という生き物を扱うことの重大さを考えることが何より大切なことです。
事業がうまくいかないからといって「やめた!閉店!」で終われることではないのです。
店にいるすべての猫ちゃんのその後のことを考え、自分で大事に飼育していけるなら問題ありませんが、それが難しい場合は、どうするのかその先のことも考えておかなければなりません。
最初から失敗するつもりで開業する人はいないでしょうが、先は何があるか分かりません。
そのような意味で、猫カフェ事業は他の事業よりも慎重に考え、準備する必要があると思います。
猫が好きだから、かわいいからだけではなく、生き物を扱う責任と重みをしっかりと胸に刻み、猫と人が楽しく幸せに触れ合える空間にしてくださいね。