成功者だからこそ分かる苦労、事業の視点、社会の見方、仕事への考え方があります。
今回は、人間としての成長のヒントになるような、ビジネスの成功者たちが残した言葉をご紹介します。
香酢やにんにく卵黄で有名な「やずや」の先代社長である矢頭宣男氏が大切にしていた言葉です。
自分の得意分野をどんどん掘り下げていけば、その周辺分野も自然と深くなっていくという意味があります。
先代の矢頭社長は「やずや」を立ち上げる前には、様々な事業に手を伸ばしてはうまく行かない、の繰り返だったそう。
そんな時にこの「深く穴を掘れ、穴の直径は自然と広がる」という言葉を先輩から頂いたのだとか。
その後、栄養補助食品の販売に集中して、今の「やずや」の基礎を築き上げたのです。
現在「やずや」の年間売上は400億円以上。
企業規模は社員80人ぐらいなので社員ひとりが5億円売り上げていることになり、「やずや」は非常に利益率の良い会社なのです。
その先代社長である矢頭社長が、「浮気心で色々なものに手を出すことなくひとつの事を深く掘り下げろ!そうすれば自然と色々なことが解ってくる」と社員に言っていたのです。
登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる(孫正義)
世界を代表するソフトバンクグループを率いる孫正義さんが大切にしている言葉です。
座右の銘は「志高く」だそうで、孫さん曰く、夢と志は違うのだとか。
夢は、漠然とした個人の願望。
志は、個々人の願望を超えて多くの人々の夢を叶えようとする気概。
15歳の時に読んだ「竜馬がゆく(司馬 遼太郎著)」に刺激を受け、世の中に対して何か大きな影響を与えたい、と思ったそうです。
そこから単身渡米し、寝る間を惜しんで勉強をし、実績を残して帰国。
帰国後に、今後の自分の人生をどうしていくのか?について悩んだ末、行き着いた結論が「デジタル情報革命」でした。
約30年前に掲げた高い志を追求し続け、今のソフトバンクグループがあります。
孫さんがもうひとつ大切だと語るものに「志を共有する仲間」があります。
「一人で登る山も素晴らしいが、一緒に登る山はさらに大きくて楽しい。」
捨てるのが先、空いたスペースに入ってくるものがある(松井道夫)
第4代松井証券社長であり、現顧問の松井道夫氏が大切にしている言葉です。
1918年創業の老舗でありながら中小地場証券に過ぎなかった松井証券で、外交営業の廃止など、業界の慣習や旧来の常識を覆す改革を次々に断行し、「証券業界の革命児」とも「異端児」とも称されました。
98年に日本初の本格的インターネットによる株取引を開始。
99年の手数料自由化で斬新な新手数料体系を打ち出し、個人投資家から圧倒的な支持を獲得、同社の業容を大きく拡大しました。
禅の言葉で「坐忘」という言葉があります。
「坐して忘れる」で、意味は新しいものを取り入れるためには、まず捨てなければならない、その空いたところに新しいものが入ってくるという教えです。
ビジネスでも同じことが言えるのではないか。
イノベーションの本質とは、はじめから儲けようと思って考え出したものではなく、例えば女の子にもてたいからといった儲けとは関係のない極めて人間的な動機によって生みだされたものでも、無関係のところでイノベーションとなり、万両の価値となる場合もあります。
初めから百両程度の儲けを追うのではなく、無欲、無心から生まれたものをビジネスに結び付けること、それこそがイノベーションの本質ではなのでしょうか。
どんな人生にするのかを決めるのは自分(スティーブン・R・コヴィー)
いわずと知れた世界的な名著であり、自己啓発に関連する書籍として、日本でも最も有名といっていい本の1つ『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィー氏の言葉。
コヴィー氏によると、最近の50年間に出版された「成功に関する文献」は、社交的なイメージのつくり方やその場しのぎのテクニックばかりを取り上げており、どれも表面的だということに気付き、そうした考え方を「個性主義」と呼ぶことにしました。
一方で、アメリカ建国から約150年の間で書かれた「成功に関する文献」は、誠意・謙虚・誠実・勇気・忍耐・勤勉・質素・節制・黄金律など、人間の内面にある人格的なことを成功の条件に掲げていました。
これを「人格主義」と著者は名づけています。
個性主義のアプローチは、あくまでも二次的なものであり、まず行うべきことは、一次的な土台として人格を磨くことです。
そうしなければ、長期的な成功は果しえないからです。
著書「7つの習慣」は、人格を磨くための基本的な原則を具体的なかたちにしたものです。
その原則を守ることで、自らが変わり結果を引き寄せていく、という新しいパラダイム(物事の見方)を手に入れることができるのです。
完訳 7つの習慣 人格主義の回復: Powerful Lessons in Personal Change
捨てる勇気が価値観を研ぎ澄まし、本当に大切なものを導き出す(佐藤可士和)
佐藤可士和氏は、東京都出身のクリエイティブ&アートディレクター、グラフィックデザイナーです。
ご紹介した名言の前に「整理とは快適に生きるための本質的な方法論」という言葉が入ります。
整理とは快適に生きるための本質的な方法論。
捨てる勇気が価値観を研ぎ澄まし、本当に大切なものを導き出す。
心が焦ったり、余裕がなかったりするときは、気持ちを反映して、部屋や身の回りまで、物があふれて乱れてしまっていませんか?
効率良く、やる気を出して動き出すためには、整理してみることで、心の中をきれいにしてみる必要があるのかもしれませんね。
まとめ
今回はビジネスで大きな成功をおさめた人物が大切にしている言葉を紐解き、その考え方から成功へのヒントを考察してきました。
どの人物の言葉にも共通して感じるのは、自分自身が向かうべき道に強い意志を持っていることではないでしょうか。
周りが何を言おうとも、確固たる自分の信念を持ち、自分の未来を決してあきらめないこと、そして自分の進む道に本気になること。
自分の心を信じて従う力を持つことで、様々なイノベーションが生まれていくのかもしれません。