今回は、脳科学者の柿木隆介先生によるネガティブな感情を抑えて悩みやストレスから解放される具体的な方法をご紹介します。
日々の習慣づけで、心をタフにしていきましょう。
日常の小さな出来事が呼び起こす瞬間的な怒りに、すぐに脳は対応ができません。
怒りを抑える役割を果たしている前頭葉が働き始めるまでには時間がかかるのです。
●怒りが込み上げたら深呼吸を3回
言い争いになった時、脳が怒りを抑えるのにかかる時間は3〜5秒といわれています。
この時間を稼ぐために、ゆっくり深呼吸を3回しましょう。
深呼吸をすると横隔膜が刺激されて、自律神経のバランスが整うというメリットもあり、そのうちに前頭葉が働いてきて、怒りを抑え込むことができるようになります。
●紙に書き出して心のなかを整理する
怒りが収まらずネガティブな気持ちがしつこく続いてしまう場合は、紙に現在の状況や自分の気持ちや想像できる相手の気持ちを客観的に書き出し、怒りの原因と向き合ってみましょう。
書くことで頭と心が整理され、怒りが自然と抑制されます。
●言い争いになったら意識的に相づちを打つ
言い争いになったら、形だけでも相づちを打ちます。
相手の言い分に納得していなくても、とりあえず相づちだけ打ちます。
相づちは相手に伝わっている合図になるため、それが引き金になって、お互いの脳が解決に向けて協調し始めます。
人の脳には伝わっていることを感じると、前頭葉に備わっている「協調する」メカニズムを無意識に働かせる性質があるからです。
【嫉妬】:人にほめられたことを思い出す、諦めるクセをつける
他人と自分を比べて、他人の方が恵まれていると感じる場合に生まれるのが「嫉妬」。
しかし他人の成功や経済状態は実際以上によく見えてしまうもの。
つまり、嫉妬は錯覚や思い込みが引き起こしていることが多いのです。
●ほめられたことを思い出す
ほめられると脳の中に幸せホルモンであるドーパミンが放出され、強い快感を覚えます。
過去にほめられたことを思い出すだけでも、ドーパミンが分泌されるので、嫉妬から意識をそらすことにつながります。
●断捨離で諦めるクセをつける
嫉妬はそもそも解決できない問題であることが多いので、「諦める」「気にしない」という考え方を身につけることが大切。
部屋がすっきり片づいていると、脳が快感を覚えてドーパミンがたくさん出るので、嫉妬する気持ちが和らぐ効果があります。
断捨離で不用品を処分することは、諦める練習になります。
【失望】:口に出す、プチぜいたくで発散する
なにかを行うときの意欲は報酬予測と言われ、見返りが大きそうな時には上がり、小さそうな時には下がります。
この脳の働きがあるため、過剰な期待が生まれてしまい、達成されなければ大きな失望になってしまうのです。
●口に出してストレス発散
日々の生活のなかで、ストレスホルモンであるコルチゾールが身体にたまってくると胃潰瘍などを引き起こしかねません。
失望したことに対するグチを、人に聞かれないところで声に出してストレスを体外に発散させましょう。
●たまのプチぜいたくで記憶を紛らわす
がっかりした経験を引きずらないようにするには、楽しい思い出を増やして、意識を違うところに向けることが大切。
普段は行かない高級なレストランで食事をしたり、好きなブランド品を衝動買いしたり、といった自分にとってのプチぜいたくをすると、ドーパミンがたくさん出て快感を得られます。
すると脳にはいい思い出が記憶に残るので、がっかりした記憶を紛らわせるには効果的なのです。
【悲しみ】:思いきり泣く、笑う
悲しい思いをしたときに働く脳の部位と、体が実際に痛みを与えられたときに働く脳の部位は同じなのです。
つまり、ショックな出来事は物理的に痛みを与えられていなくても、体と同じように心が痛むと言えるのです。
●思いきり泣いてすっきり
涙を流すと、涙と一緒に脳内から分泌されるプロラクチン、ステロイドホルモンといったストレス物質をはじめとする有害物質も体外に排出されることが、最近の研究でわかってきました。
涙を流すと気持ちがすっきりする、というのは脳科学的にも根拠があることなのです。
●無理にでも笑う
笑うときには顔の筋肉を動かします。
無理にでも笑顔を作ることで筋肉が動き、脳は「楽しくて笑っている」と勘違いするので、気持ちも明るくなります。
●楽しかったときの写真やビデオを見て気持ちを切り替える
悲しい出来事は、強い印象をともなった記憶です。
ほぼ間違いなく長期記憶として保存されるので、なかなか忘れられなくなるです。
気を紛らわすためには、視覚的に訴えるのがいちばん効果的なので、楽しかったときの写真やビデオを見て気持ちを切り替えることが大切です。
【不安】:単純作業に没頭する
最近の研究で、日本人は遺伝子的に不安を感じやすい人が多いことがわかっています。
ストレスにさらされると、不安になり、眠れない、汗が出る、緊張する、集中できないなどの身体症状が現れます。
●単純作業に没頭する
不安感から逃れるには、野菜をひたすら切る、編み物をする、パズルを解く、掃除をするといった単純作業に没頭すると効果的です。
ひとつの作業に長時間集中することで前頭葉が活発になり、不安を忘れるための条件になります。
●お気に入りの服を着る
自信がわかないときには、お気に入りの服に着替えて出かけるのがおすすめです。
好きな服を着ていると自分に自信がもてるようになるだけでなく、服に合わせてメイクをし、靴やバッグを選んでいるうちに、気持ちが明るくなり不安感から意識をそらすことができます。
●週末にしたいことを考える
気持ちを前向きにするうえで大切なのは、現状にとらわれず、先のことを考えるようにすること。
週末の楽しい予定思いをはせることで、思考を前向きにし、不安に立ち向かう勇気がわいてきます。
幸福感を高める生活習慣を6つご紹介します。
朝日を浴びる
朝早く起きると自律神経の働きがよくなり、ホルモンの分泌を促します。
太陽の光を浴びることはうつ病にも効果的とされています。
朝夕30分ずつ歩く
朝にウォーキングなどを組み込めば、朝日を浴びることにもなります。
夕方も歩くと運動量が増えて、さらに効果的。
家族や友人とのコミュニケーション
良好な人間関係は幸福感をもたらします。
コミュニケーションをとりながら体に触れると、痛みや不安をやわらげる効果もあります。
腹式呼吸をする
腹式呼吸をすると横隔膜が刺激され、自律神経が働き始めるので幸福ホルモンの分泌がアップします。
脳の疲れにも効くいので1日に何回か腹式呼吸をするといいでしょう。
ペットを飼う
ペットと触れ合うことは幸福感を大きく高めます。
触ったり、エサをやることで、幸福ホルモンが分泌され、体も健康にしてくれます。
花を飾る
家に花を飾ると、視覚、嗅覚ともによい刺激を受けます。
気持ちがリラックスすると、自然に脳内に幸福ホルモンが放出されます。
まとめ
心が大きく揺さぶられるような強烈な負の感情は、脳の長期的に記憶を保存する場所に保管されてしまい、折にふれて呼び出されてしまうことがわかっていただけたでしょうか。。
脳の仕組みから見れば、ネガティブな感情を抱くのは、人間なら当たり前の現象です。
ご紹介したアクションを習慣化することで、くよくよ考えないクセをつけていつも脳内を幸せに保ちましょう。
どうでもいいことで悩まない技術