親として、子どもにはバランスの取れた栄養のある食事をとってほしいと思ってはいても子どもは望むようには食べてくれません。
うちの娘は3歳までトマトが嫌いで食べることができなかったのですが、フルーツトマトのサラダを作り、自分でサラダボウルに盛り付けて食卓に上げたら、初めて口にしてくれたのです。
食べ物への関心をはぐくむ方法として、台所育児をする際に親が気をつけることやおすすめレシピなどをご紹介します。
前回、台所育児には子どもの自尊感情を育むメリットがあるとご紹介しましたが、加えてうちの娘のように嫌いな野菜を食べられるきっかけにもなる可能性があります。
台所育児で好き嫌いを克服できれば、親としては願ったりかなったり、です。
親が見守りつつも小さい子どもがひとりで料理をする台所育児では、子どもの安全を守るために、ケガや事故の原因となる芽は事前に摘んでおきたいところ。
子どもが料理をする準備として、包丁を使うときの調理台や机の高さを踏み台などで調整することが大切です。
お子さんが立って台の上に手を置いたときのひじ角度に注目してください。
角度が90度だと、力が入らず切りにくくなってしまうので、ひじの角度が『くの字』くらいになるように。
コンロ調理をする場合は、包丁のときよりも高くする必要があります。
踏み台に乗って気をつけをしたときに、指先がコンロにあたるくらいに踏み台を調節して鍋を見下ろせる高さにすれば、二の腕をやけどする心配もありません。
また、調理器具選びもポイントです。
調理道具は、子ども用のよく切れる基本の包丁、皮むきや野菜の薄切りに使うピーラー、固い骨などを切るのに使うキッチンバサミを用意しましょう。
手を切ると危ないと思って切れない包丁を渡すと、かえってケガの原因になります。
また、果物ナイフやペティナイフは重心が柄の部分にあるため、小さな子どもには切りにくいもの。
力の弱い子どもでも切れるように、よく研いだ子ども用の包丁を用意しましょう。
包丁のサイズは、子どもの握りこぶし2個分の刃渡りの包丁が適しています。
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親の使うキッチンバサミは子どもの手には大きすぎて、はさみを開くのに力がいりますが、子ども用のハサミなら小さな手でも握れて少しの力ですみます。
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そして大切なのは、料理に取り掛かる前に、子どもに包丁についての説明をすること。
最初に、『包丁はどういうお仕事をするんだろう?』と聞いてみます。
『切るお仕事』と子どもが答えたら、『この刃っていうところが切るお仕事をするんだよ。刃に指をあてて引っ張ったらどうなる?』と続けます。
『切れる』といったら、『そうだよね。だから、ここに指を持ってくると指が切れちゃうから気をつけて使おうね』と伝えましょう。
やみくもに「包丁は危ない」と注意するだけでは、子どもは何が危ないのか理解できません。
包丁の機能やなぜ危ないかを理解できたとき初めて、ものを切ることに責任を持つ土台ができます。
この段階にきたら、子どもを信じて包丁を渡してみましょう。
子どもが包丁を持って食材を切り、コンロを使って調理をするために、料理をしやすい環境を親がしっかりと整えることが大切です。
げても、しばらく昆布を水に浸けておく時間が必要になるため、続けているうちに段取り力も身につけていくことができます。
大人の手を借りずに完成させることができれば達成感も得られ、自尊感情も育めます。
子どもが最初につくる一品におすすめレシピをご紹介します。
アスパラガスのおかかあえ
【材料(4人分)】
グリーンアスパラ 1束4〜5本前後(150gくらい)
水 50cc〜100cc
しょうゆ 少々
カツオ節 お好みで
【つくり方】
1.アスパラはひと口で食べられる3cm程度の長さに切る。
2.鍋に水とアスパラガスを入れ、フタをして中火にかける。
3.水分がなくなったら火を止めしょうゆをいれてまぜ、最後にカツオ節をいれて和える。
大人の場合、先にアスパラガスを茹でてから切りますが、子ども用の順番としては生のアスパラガスを切ってから茹でるほうが安全です。
ゆで汁の水分がなくなるまでゆでるのがポイント。
茹でこぼしによるやけどを防ぎます。
アスパラのほかに、スナップエンドウやキヌサヤ、インゲンなど、アクのない野菜ならなんでもOKです。
エノキダケのつくだ煮
【材料】
エノキダケ 1パック(1袋)
A[しょうゆ、みりん、水各小さじ2]
【つくり方】
1.エノキダケは石づきを切り落とし、2cmのぶつ切りにする。
2.鍋にAとエノキダケをいれて、中火で煮つめる。
たとえば、ピーマンが嫌いな子には、ピーマンを丸ごと使った料理をつくってもらう、とか。
洗ったピーマンを丸ごとフライパンに並べて、オイルを少したらしたらフタをして蒸し焼きにします。
全体がやわらかくなったら、塩をかけて完成です。
油をごま油にしたり、塩だけでなく醤油やソースで味付けするなど工夫するといいですよ。
できあがった料理は、子どもが自分で食べられる量を考えてお皿に盛りつけてもらいます。
実はここに、嫌いな食材を食べられるようになるヒントが。
キュウリを食べられない子どもに、小さいキュウリを1枚だけお皿に乗せ『この料理は、ワカメとチリメンジャコが入らないとお料理が完成しないの』と伝えたら、自分でお皿に入れて食べていたのだとか。
親が強制するよりも、子ども自身に選んでもらうと、自分が決めたことだという責任感が生まれて頑張って食べてくれるようです。
どうしても嫌な場合は、ひと口だけ食べるよう伝えましょう。
食べてみて、やっぱり好きじゃないと納得したうえで残すことが大切です。
盛り付けた量が多すぎて残してしまっても叱らずに、残したあとどうすればいいかを伝えます。
「このご飯はどうすればいいかな?冷蔵庫に入れておく?それともママが食べる?」と子どもに決めてもらいます。
自分が食べるつもりでいたものが食べきれなかったわけですから、子どもも十分に胸を痛めています。
叱らずに、自分で考えて決めれば、次からは食べきれる量を慎重に考えて盛り付けるようになります。
まとめ
台所育児は、親がやらないこと、がポイントです。
子どもが料理できる環境はしっかりと準備して、料理が始まれば親の意見を押しつけずに、選択肢を与えて子ども自身に選んでもらうこと。
不用意に口出ししたり、手助けしたくなる気持ちをグッと我慢して、お子さんを信じて長い目で成長を見守ってあげてくださいね。