ケガをする、危ない、と考えてしまいがちですが、子どもと一緒にキッチンに立ち、料理をつくる「台所育児」は、子どもの心を育むうえで思わぬ効果があるそうです。
台所育児を提唱し、料理研究家の坂本廣子さんの『台所育児 一歳から包丁を』を参考に、台所育児について考えてみました。
まったくの別物だと捉えてもよいでしょう。
台所育児の一番の目的は、子どもに料理という科学変化の体験をしてもらうことなのです。
できあがりそのものよりも、子どもが大人の手を借りずに自分の力で料理を完成させるまでのプロセスが大切です。
完成させた達成感とともに、家族のために料理をつくっているという社会的自尊感情も養えるため、非認知的能力を育むことにつながります。
非認知的能力とは、社交性や学びに向かう姿勢、意欲などといった個人の資質や特性のことをいいます。
幼児期に学力よりも非認知的能力を伸ばした方が人間として社会的に成功するという意見もあるため注目を集めています。
さらに料理には手順や流れが必要です。
だしをとること一つをあげても、しばらく昆布を水に浸けておく時間が必要になるため、続けているうちに段取り力も身につけていくことができます。
成長に個人差はあるものの、目安として考えられるのは、親が『止まって』と言ったときに止まれるようになったら、だとか。
つまり、親の言うことが理解でき、コミュニケーションがとれるようになったときです。
そのうえで、子どもが『したい』と思ったときにスタートするのがよいようです。
台所育児のポイントは、子どもが料理を楽しいと思える気持ちが続くかどうか。
そのカギとなるのが、子どもに料理の何からやってもらうか。
親がやっている料理の一部をお手伝いするのではなく、主役として参加してもらうため、例えば下ごしらえだけを分担させたりするのは避けた方がいいでしょう。
子どもの立場になると、ずっとタマネギの皮むきだけやっていても、おもしろくはないでしょう。
おすすめなのは、親がひと通り料理の段取りを説明したうえで、最初から一品まるまるまかせてしまうことです。
料理の一品をひとりで完成させることができれば大きな達成感も得られ、子どもの自信にもつながります。
全てを任せない場合でも、料理のいちばんの見せ場を子どもの担当にするといいでしょう。
たとえば、親が肉じゃがをつくったら、お皿への盛り付けとキヌサヤを筋取りして切るなど仕上げ部分をまかせると「私がつくった!」と思えるそうです。
料理の途中で疲れてしまってやる気をなくしたり飽きてしまった場合は、無理やり続けさせる必要はありません。
「続きはママがやってもいいかな?」と聞いて、お子さんのOKがでたらあとはお母さんがしていいのです。
最後までやりなさい、と無理強いをすると、料理に対して嫌な思い出が残ってしまいます。
上手につくるという結果よりも、料理という体験をすることが大切なのです。
お子さんが料理の味付けなどに失敗しても責めるのではなく『これもアリかもね!』とポジティブに接してください。
親が子どもを否定せずにポジティブな声かけを続けていれば、失敗してももう一度トライして、いい思い出に塗り替えられます。
すると、料理以外の体験で落ちこんだときにも自分の力でリカバリーできるようになるそうです。
親としては料理中に「危ない!」「やり方がちがう」と口出ししたくなる時があるかもしれませんが、そこはぐっと我慢しましょう。
子どもの気持ちを尊重し、見守る側に徹してください。
台所育児を続けているうちに、近い将来忙しい夕飯づくりの戦力としてお子さんが活躍するようになってくれるかもしれませんよ。
まとめ
料理は、創造力と体験、達成感など様々な力をはぐくむのにぴったりです。 まだ小さいから、危ないからと遠ざけるのではなく、親がしっかリと見守りながら子どもでも包丁が使える機会を与えてあげてください。
幼児でも使いやすい安全な包丁もたくさん出ていますよ。
正広(マサヒロ) こども包丁 りす(幼児向き)
作った料理を一緒に食べて、感想を言い合い、次は何を作ろうか、と親子のコミュニケーションがきっと弾むことでしょう。