4月から社会人になる学生のみなさんは、この時期をどのように過ごしているでしょうか。
コロナの中での学生生活ですが、残りの時間を納得できる形で有意義に過ごしていただければと思います。
ところで、そんな今年4月から社会人になるという学生の方々は、自分が「社会人になること」をどのように考えているでしょう。
人生が新たなステージに進むことが楽しみだという人もいれば、自分は本当に就職して働けるのかと不安になっている人もいるかもしれませんね。
新人へのアドバイスによくある「社会人になったら理不尽なことにも耐えなければならない」という考え方は、果たしてどのぐらい妥当なのでしょうか?
今回はこのことについて考えてみたいと思います。
自分だけ振り返っているだけなら別に問題はないのですが、こういった言葉には大抵の場合裏に「だから君も最初の数年は頑張って耐えるのだよ」というのが潜んでいます。
ひどい場合は「最近の新人は打たれ弱い」「我慢が足りない」などと個人を無視したあやしげな世代論まで持ち出され、理不尽に説教される羽目になるかもしれません。
しかし冷静に考えれば分かることですが、実際には理不尽なことに耐えることと、成長することに関係性はまったくありません。
実際に仕事ができるようになるには、仕事を通して試行錯誤しながらいろいろやってみる、つまりPDCAサイクルを何度も回すことが重要です。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、継続的な業務の改善を促すセルフマネジメントメソッド法です。
1.Plan(計画)
Plan(計画)では、目標を設定し、その目標を達成するためのアクションプランを作成 します。
プランニングを行う際は、
誰が(Who)
いつ(When)
どこで(Where)
何を(What)
なぜ(Why)
どのように(How)
いくらで(How much)
という5W2Hの要素を意識して検討を重ねます。
PDCAを回す際のスタート地点になるものですので、分かりやすく、具体性のある目標やアクションプランを設定することが重要です。
2.Do(実行)
Do(実行)は、Plan(計画)で立案した目標をもとに実行することを意味しています。
ここでいう「実行」の意味は、計画通りに業務を遂行するだけではなく「試行」という意味も含まれています。
計画を実行に移してみた結果、それが有効だったのかどうか、別の方法が考えられないかどうかなどを検証する段階でもあります。
なので、一度にすべてを行わず、目標の進捗度や結果を記録しながら結果を数値で算出すること。
計画通りに進まない場合にも、その旨を記録しておくということがポイントになります。
3.Check(評価)
Check(評価)は、設定した目標やアクションプランがどの程度達成できているか、計画通りに実行しているかどうかについて評価する段階のことです。
計画通りに進んでいる場合でも進んでいない場合でも、成功失敗要因の分析を行い、Plan(計画)で立てた数値目標をテーブルに載せて検証を行います。
数値を具体的根拠として、具体性を持った検証結果としてまとめあげることが求められます。
4.Action(改善)
Action(改善)では、前段階のCheck(評価)で明らかになった分析結果・検証課題について改善点を考えます。
改善点を再考する際に、
引き続き計画通りに進める
いくつか改善を行いながら計画通り続ける
計画を中止、延期する
など、選択肢を多く持ちながからこの先の課題を検討、決定していきます。
まず、組織というものが「理不尽なことにも黙って耐える人材」を一定数必要としているからという理由があります。
たとえば、花見の席とりや忘年会・歓送迎会の幹事などは日本の多くの会社ではほとんど無条件で新人の仕事になっています。
ほかにもよくわからない仕事を押し付けるときに「今の苦労が成長につながる」というロジックがあると非常に便利なのです。
「昔は苦しかったけど、振り返ってみるとあれは有意義だった」と言う人は、昔の苦しかった体験を無駄なものだったとは考えたくないゆえに、自分の経験を賛美することになるわけですが、こういった人たちの意見はある程度割り引いて聞く必要があります。
さらに、忍耐と努力が混同されている場合もあります。
成長のためにはある程度集中的なエネルギーの投下が必要なので、成長したいのであればやはり努力は重要です。
忍耐も努力もどちらも精神力が必要なので混同されがちなのですがまったくの別物です。
実際にはただ我慢しただけなのに、努力したと勘違いしてしまう人は少なくありません。
日本の会社の構図から、理不尽なことに耐えることは良いことだという考えがいまだにまん延していますが、4月から社会人になるみなさんはそのような意見をいう先輩の言葉を真に受けないでほしいと思います。
たとえば、あなたが入社した会社が体育会系の社風の会社で、その中で早く出世したいという目標を掲げるのであれば、その目標が妥当かはともかくやはり最初の数年はある程度理不尽に耐えることが目標達成のための近道になることもあります。
今の理不尽に耐えた先に何があるのかをしっかりと見通した上で、覚悟を決めてやるのであればそれはよいと思いますが、そういう覚悟があるわけでもなく、自分でもなぜ我慢しているのかわからないというのであれば、それはつらいだけで無駄なことです。
そのような理不尽を受け入れる必要はないので、方向転換し、時間をもっと自分の未来に役立つことに使うべきです。
まとめ
「理不尽なことに耐えれば成長できる」という勘違いをしている先輩の言葉をそのまま信じる必要はまったくありません。
私自身も「理不尽なことに耐えて成長できた」とは一度も思ったことはありません。
昔から一貫して理不尽なことや忍耐が必要なことからは、回れ右を心がけていましたが、それでも就職したばかりのころと比べて今の自分はできる仕事の幅がだいぶ広くなりました。
それはきっと実際にさまざまな仕事をしながらPCDAを繰り返し試したからで、間違っても理不尽なことに耐えたからではありません。
4月から社会人になる学生のみなさんには、ぜひ有効な時間の使い方をしていただきたいと思います。
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