日本でここ数年にわたるビジネス環境は、イノベーション=技術革新やチャレンジ=挑戦を軸にして具体的な課題に取り組む企業が増えたように感じます。
革新や挑戦を掲げて、まったく失敗を恐れない人はいません。
ましてそれがビジネスにかかわることだと、自分のキャリアアップへの影響が頭をかすめ、新しい一歩を踏み出しきれない人も多いでしょう。
今回はそうした「おそれ」を越えてチャレンジする心の在り方について考えてみました。
しかし自分の子どもの頃を振り返ったり娘のちいさい頃を思い出すと、失敗することを考えずとりあえずやってみる、ことが多かったように感じます。
成長していく中でアクションを起こす前に失敗を恐れるようになる回数が増えていったのではないかと。
それはどうしてなのか。
赤ちゃんは何事にも恐れずに、例えばたばこであっても躊躇せず口に含んで確かめようとします。
目の前になるものが自分にとってプラスになるのかマイナスになるのか、自我や知識がないからなのですが、この「自我」の確立がおそれに大きく関係しているのではないでしょうか。
人間は成長するにともなってどういう自分でありたいかと、考えるようになります。
「自己」と「他者」を分けて考えるようになり、「自分が他人からどう見られるか」という視点が生まれるのです。
そうすると、自らが思い描くイメージと、他から見られている姿との“ズレ”が気になり、自分のありたい姿から外れていくことへの恐ろしさやもどかしさに囚われてしまう。
ただこの自分のありたい姿や他人からの視線のイメージというのも、所詮は自分が作り出したものに過ぎず、映画やドラマのように誰かの身体と入れ替わる、なんていうことがおきない限り他人の目になって自分を見ることはできないのです。
何かにアクションを起こそうとするときに襲ってくる「おそれ」について考えるときは。それが“ひとり相撲”になっていないかを見直すといいと思います。
以前の私が働いている立場でよく考えたのが、「会社になにも貢献できてないのではないか」「このまま働いていてよいのか」「自分の価値を認知してもらえてるのか」ということです。
会社の役に立てている実感がないと不安になるのです。
しかしそれは自分の中にある労働市場の評価基準が、強くすり込まれてしまっているからとも言えるでしょう。
就職活動をしているときは、その企業で求められている人材や価値が何なのかを把握して、そのために必要なスキルを磨いてアピールすることで認められ内定を得るわけです。
自分で把握したその企業で求められている価値をしょって入社したので、入った会社では何らかの価値を提供できないと、自分はいらない人材だと思ってしまいます。
また、小さいころ大人からよく言われた「少年よ大志を抱け」的な言葉も、夢をもってやりたいことを見つけがんばらなければならない、という刷り込みになっているのかもしれません。
自分のやりたいことや夢を、まだ達成していないものとしてとらえると、今の自分にはまだ足りないものがある、という感覚が生み出されます。
また、特にやりたいことがない自分はダメだと思ったり、夢が実現できていないことを失敗した自分と捉えてしまい、それが不安やおそれにつながってしまう。
さらに仮に目標を達成できたとしても、その状態を維持できなくなることに不安を感じることもあるのではないでしょうか。
しかしそもそも、やりたいことや夢・目標は、絶対に実現しなければいけないものですか?
それらが実現できなくても失敗ではないです。
なぜ失敗ではないのかと言うと、例えば5年後にこうなりたい、と今の自分が理想を描いたとします。
でも実際に5年後の自分が、今の自分と同じ理想を描いていると思いますか?
5年のあいだに、自分の理想に対する考え方や求めるものはまったく変化しないのでしょうか。
新しく視野が開けたり、全然別のことが目標になっていたりするかもしれないですよね。
今掲げている理想は、現時点で自分が描いたものに過ぎないわけです。
もちろん夢や目標をモチベーションのひとつにすることはあっていい。
それらを実現しようとする行為自体にやりがいを感じることも間違いではありません。
ただ、自分が抱いた夢や目標を必ず実現しなければいけないと考えることがおそれを生む場合があります。
実現した時の幸せがあるように、実現しなかった時の別の幸せもまたあると考える、「実現しなければならない」と、とらわれ過ぎないようにすることが大切です。
ズバリ、その不安な気持ちを実際に口に出して言うことです。
自分の中だけで悶々と不安を抱えていると、過去の失敗したパターンをあてはめて、どんどん不安を肥大化させてしまいます。
まずは話しやすい人に共有するところからはじめるといいでしょう。
不安を言葉として出すことで、肥大化する不安のイメージを「現実にきちんとつないでいく」ことができます。
不安な気持ちを自分の外に共有することで不安の肥大化をさけることが大切なのです。
自分の思い込みや固定観念と言うのは非常におそろしいものです。
自分の思っていることを他人が同じように思っているとは限らないし、自分には当たり前のことが他人にはそうじゃないこともたくさんある。
だからこそ誰もが抱くそれぞれの不安を共有して、個人の認識をチームでとらえなおしていけると考えます。
意識して自分を新しい人間関係のなかに置くのもいい方法です。
そうすると違う価値観に出会ったり、自分のなかにある思い込みに気づくきっかけになります。
社内でも普段あまり交流のない他部署の人とお互いの仕事について情報交換してみたり、社外の人が現在のチームに出入りしたりすることで関係性が変わる場合もあるかと思います。
どんなにいい人間関係であったとしても、長く固定化されると「しがらみ」に変わってしまう場合があります。
自分の状態を安定させるには、常に動き続けた方がいい。
自分自身を外に開いて変わっていく、その揺らぎが既存の関係のなかでも変化を生んでいくのではないでしょうか。
特にチームのリーダーが率先して「弱さ」を共有することが重要です。
リーダーが自分の不安や苦手をさらけ出すことで、メンバーも「誰しも完璧じゃないんだ」と思えるようになり、不安を共有してみようという連鎖が生まれてくるのです。
立場の上下関係や仕事の成果・評価から離れて“ただ一緒にいる”だけの環境をつくることも大切です。
その人が抱えている不安やおそれは、まず本人が気づいて自分自身で行動を起こしていくしかありません。
誰かが決して代わってあげることはできない。
それがしやすい環境として最適なのが「掃除」です。
掃除をは上下のヒエラルキーが発生しづらく、人よりうまく掃除できてるだろうかなどと考えることもありません。
自分の出せる価値とか、アウトプットをあまり気にしなくて済む作業です。
まとめ
コロナ禍の終息が見えないなかで、テレワークが進んでいくとリアルオフィスでの「ただ一緒にいることができる」環境が作りにくくなるかもしれません。
テレワークが進むほど成果物以外のものが見えづらくなるので、より生産性の物差しに縛られることになり、おそれが生まれやすい状況になっていく可能性があります。
だからこそより不安を口に出して共有してみることが大切になってくる。
時間はかかるかもしれませんが、少しづつでも焦らず、おそれや不安と向き合っていくことを大切にしてほしいと思います。
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