おせち料理は漢字で書くと『御節料理』という字になります。
もともとは五節句の料理の一つです。
桃の節句や端午の節句など様々な節句の中でお正月が一番重要な節句に当たることから、「おせち料理」は正月に食べる料理の事を指すようになったと言われています。
おせち料理の具材には様々なものがあり、一つひとつに大きな意味合いが込められています。
現在では日本古来の言い伝えに従ったスタンダードなメニューだけではなく、中華や洋風邪のものなど様々なおせち料理が販売されていますね。
2021年最初のブログは、おせちについて書いていきたいと思います。
時代が経つにつれ、いつしか節句の中で最も大切なお正月の料理のことだけを指すようになりました。
おせち料理に使われる具材には海の幸や山の幸が色々と盛り込まれており、一つひとつにおめでたい意味があり、縁起の良い願いが込められています。
お正月にお節料理を食するときに、そういった食材ごとに込められた意味を思いをはせてみるのも楽しいのではないでしょうか。
では、お節料理に定番の料理をご紹介したいと思います。
1.黒豆
黒豆には「まめに働く、まめに生きられる」から長寿と無病息災の願いを込められており、おせち料理の中では欠かせない存在となっています。
私は毎年丹波産の大ぶりサイズの黒豆を購入して、自分でたいてお重に詰めます。
お節料理のお重は別に購入するのですが、父が京都の丹波出身だったこともあり昔から黒豆が大好きで、父も母も亡くなった今でもこの習慣だけは嫁いだ先で続けています。
また黒は邪をよける色ともされています。
2.数の子
数の子は、数の子はニシンの卵巣にある卵の塊です。
アイヌ語でニシンの別名のことを「カドイワシ」といい、かどの卵=子(こ)であることから「かどのこ」と発音していたのが、時とともに卵の数の多さの影響もあり「数の子」に転じたといわれています。
数の子は卵の粒を穀物に見立てた「五穀豊穣」の願いや、ニシン=二親という漢字をあてて卵の多さにかけた「子孫繁栄」の願いが込められています。
お節料理として出されるようになったのは室町時代後期からだと考えられています。
3.田作り
田作りは片口イワシの稚魚を干したものを醤油風味の飴炊きにしたものですが、小さい頃から甘く味つけされていても、食べると苦みが口に広がるのが嫌であまり好きではありませんでした。
別名ごまめ=五万米と呼ばれ、田畑の高級肥料として片口イワシが使われていた事から五穀豊穣を祈って食べられます。
縁起物だから食べておきなさい、と言われ渋々1本2本だけ食べていましたね。
4.栗きんとん
栗きんとん=栗金団を黄金色に輝く財宝にみたて、財産を成し、富を得る縁起物とされています。
栗は勝ち栗と言って縁起がよいものとして昔から尊ばれてきました。
今年も豊かな1年でありますようにという願いがこめられています。
5.昆布巻き
昆布巻きは「昆布(こぶ)」と「喜ぶ」の語呂合わせを掛け、お正月などの祝い事の食材として欠かせないものです。
身欠きニシンを芯として昆布で巻き、甘辛い調味料でゆっくり炊きこんだ料理です。
健康で長生きして一家が発展するようにといった願いが込められています。
6.海老
海老は腰が曲がるまで健康で長生きできますようにという長寿の願いが込められています。
また、赤は魔よけの色とも言われるのと同時に朱色の晴れやかさから祝い事の膳使われるという説もあります。
7.伊達巻
甘い味付けで柔らかく食べやすいことから、子どもやお年寄りに人気のあるおせち料理の一つです。
伊達巻と呼ばれるようになったのには、派手好きの将軍である伊達正宗が好物としていた、一般的な卵焼きよりも見栄えが良く凝った作りのため、しゃれていて凝っている装いを意味する「伊達者」という意味合いが込められた、和装に使われる「伊達締め」をくるくると巻いた形に似ていることから、など所説色々です。
書簡としての巻きものに似ているので、文化や学問、教養を持つことを願う縁起物とされています。
8.蓮根
穴が空いていることから遠くが見通せる=先見性のある一年になりますようにという願いが込められています。
他にもれんこんには種が多いことから「多産」という意味もあり、縁起がよいとされています。
9.くわい
大きな芽が出ることから「めでたい」、芽が出る=出世を祈願する縁起食材としてお正月に食されます。
他にも里芋やこんにゃくかまぼこなど、お節に欠かせない食材はたくさんあります。
彩りよく盛り付けられたお節料理は、見ているだけでおめでたい気持ちになりますね。
おせちの重箱にも様々な役割があることをご存知でしょうか。
お重は上から順番に一の重、二の重、三の重、与の重、と呼びます。
一の重には、黒豆や数の子、田作りなどの祝い肴をを入れます。
二の重は、「酢のもの」や「口どり」と呼ばれるきんとんや伊達巻、紅白なますなどを詰めていきます。
三の重には、鯛や海老といった海の幸の焼き物を。
四段目を四の重と言わないのは、日本語では数字の「四」が「死」を連想させる不吉で縁起の悪い言葉とされ「四(し)」を使わずに「与(よ)」と言い換えているのです。
与の重には、野菜類の煮物などの山の幸を詰め、華やぎを作りだしていくために人参を花型に飾り切りをしたり、結びこんにゃくなどで彩ります。
お正月にお節料理の重箱が定着したのは第二次世界大戦後で、デパートが見た目を豪華にして販売したのが最初だといわれています。
おせちの食べ方には特に決まり事はなく、家族と一緒に4つの重を並べてのんびりと楽しみながら時間を過ごすことが、最高の贅沢であり幸せな時間ですね。
かつては旧暦1月の別名を正月としていました。
日本の文化としては旧年が無事に終わったこと、新年を迎えることを祝う行事です。
かつては「数え年」と言って1月1日に年齢を一つ重ねていた風習があり、無事にお正月に年齢を重ねられたお祝いの行事だとも言われています。
お正月は三が日を「お正月」ととらえている方が少なくないように思いますが、実際には新暦を採用している現代においても1月中は「正月」とされています。
今年は新生コロナウイルスの影響で、初詣も密にならないようにと、1月の1か月中に分散して参拝を推奨している神社が多いようです。
日本においてはお正月は1月1日を皮切りに祝いますが、中国では太陰暦の1月を指します。
アメリカではクリスマスを盛大に祝い、1月1日に新年が明けた時は特にお祝いをしません。
これはクリスマス様式の暦が元となっており、12月25日を正月としていたための名残とも言われています。
かつてのフランスでは、イースター(復活祭)を正月とする暦を使っていました。
一言にお正月といっても一年のはじまりは世界各国いろいろあるようです。
詳しく調べてみるのも面白いかもしれませんね。
まとめ
日本人は一つひとつの食材にまで縁起を担いで、日々の生活の繁栄や家族の健康、さらには一家の子孫繁栄を祈っているのです。
子どもの頃、大晦日に紅白歌合戦を見ながら年越しそばを食べて除夜の鐘の音を聞きながら布団に入り、翌朝、睡眠不足で眠い目をこすりながら食卓に着き、一年のはじまりの心得を父からされるのがお決まりでした。
「もっと寝ていたい…」というのが正直な気持ちでしたね。
今はお正月も多様化し、それぞれのおうちでそれぞれのお正月の過ごし方があると思います。
どうぞ健やかで平和な一年をお過ごしください。