顔を合わせ名刺交換のあと、いきなり商談に入ることはできませんよね。
クライエントからの信頼を得るためにはコミュニケーションを円滑にしたいのややまやまですが、何を話したらいいのか分からない。
そんな経験はありませんか?
商談前に何気ないしかしウィットに富んだ「雑談」をしたいと思いながらもイマイチだと、商談そのものも盛り上がりません。
ビジネススキルのなかで、実は一番大切なのは「雑談力」かもしれません。
成功のカギを握るかもしれない雑談力ですが、雑談力を鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか。
今回は雑談力が上がるコツについてについて探っていこうと思います。
雑談と聞くと「自分の知識の中で、気の利いた何か面白いことを話さないといけない」と構えてしまいがちですが、それは大きな間違い。
実は、自分が話したいことを一方的に話すのではなく、相手が何に興味を持っているのか、どんな話を聞きたいのか、それを絞っていくためのプロセスとして「雑談」はあるのです。
この雑談によってその後の商談やミーティング、打ち合わせなどがスムーズに進むのなら、すぐにでも身につけたいですね。
会話の始まりで大事なのは「つかみ」。
ここでよい印象を相手に与えることができれば、その後の会話、場の空気がとても良いものになります。
意外とできていないのが開口一番の爽やかなあいさつ。
初対面の相手には、『初めまして。○○社の××です。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします』
と爽やかにハキハキと言いましょう。
『よろしくお願いします』と伝えることで、相手と話すことを許される状態をつくります。
2.声の高さを意識して調節!
声のトーンは高めを意識しましょう。
高い声は、話し手を社交的に感じさせる効果があります。
小さく「ドレミファソラシド♪」と口ずさんで、「ファ」か「ソ」の音の高さで話すのがちょうどいい高さだそう。
低い声は落ち着いて信頼感のある人間という印象を与えるメリットがある一方、高圧的で暗い、とっつきにくいと思われてしまうデメリットもあります。
地声が低めの方は、普段より少し高めの発声を意識してみると効果的かもしれません。
3.話題は「当たり障りなく」が正解
最初のきっかけとなる話題は、天候、ファッション、健康、趣味、最近のニュース、出身地など、当たり障りのないものから選ぶとよいそうです。
奇をてらったトリッキーな話題をふるのが一流の雑談ではありません。
天気などのありふれたところから徐々に話を膨らませていき、相手と自分との共通点などを見つけながら相手の懐に入りこんでいく。
そのプロセスが自然にできてこそ、一流の雑談の出来る人なのです。
例えば、A=あなた、B=相手としましょう。
A「しかし、最近はゲリラ豪雨が当たり前になって困ってしまいますね。今も駅についた瞬間に降られてしまいました」
B「突然降ってきますからね」
A「そうなんです。天気予報が信じられなくて、週末キャンプに行く予定なのですが、どうしようか迷っているんですよ」
B「ありますよねぇ、私も先週雨で予定がつぶれてしまいました」
A「それは災難でしたね! どこに行かれるつもりだったんですか?」
と、このように自然な流れで「天気」から「週末の予定」にテーマを移動させていきます。
基本的には一つの話題をきっかけにして、相手の反応を見ながら何か引っかかる話題があったらその話題を深堀りしていく、というのが基本的な流れですが、注意したいのは、政治や宗教の話題。
個人の思想や信条が深く関わってくるため、雑談ではなくなってしまう可能性があり、話題にしない方が賢明でしょう。
何よりも人は、自分の話を聞いてもらえると安心する、うれしくなる生き物です。
質問のしかた一つでその後の会話の広がりが変わりますし、目安として「自分2:相手8」の会話量を目指すとよいでしょう。
大切なのはリアクションです。
良いリアクションは、相手の話を自分はどう感じたのか相手にきちんと伝わる言葉を選ぶこと。
あいづちは次の「さしすせそ」を心がけるとよいそうです。
さ=「さすがです」
し=「知らなかったです」
す=「すてきですね」
せ=「センスがいいですね」
そ=「それはすごいですね」
これらに共通するのは『相手の話に価値がある』というリアクションだということ。
しっかりと相手の話を聞いて言葉や動きに情感を込めることがポイントです。
ちなみに、よく使ってしまいがちな「そうですね」というあいづちは、自分の話を真剣に聞いているのかな? という不信感を抱かせてしまい、会話のキャッチボールを止めてしまうためNGだそう。
雑談をうまく広げていくコツは、会話を連想ゲームのようにつないでいくことのようです。
相手「消費税の増税が先送りになりましたね」
自分「そうですね」
これでは、せっかく相手が話題をふってくれたのに話が止まってしまいます。
相手「消費税の増税が先送りになりましたね」
自分「遅かれ早かれ増税はあるでしょうから、備えをしておかないとなりませんよね」
などと返せば、相手も「御社は何か対策を考えておられますか?」と返しやすく、会話が続いていくことが想定されます。
では、自分の知らないキーワードや詳しくない分野の話題を相手からふられた場合はどうすればいいのでしょうか。
このような場合に話をつなげるテクニックとして、相手の言葉と同じことを伝える『オウム返し』があります。
ただ返すだけでなく『質問で返す』ことで、話を広げていきましょう。
相手「この前、マラソンの大会に出たんですよ」
自分「え、大会に出られたんですか、それはフルマラソンの大会ですか?」
あなたがマラソンに詳しくなくてもオウム返しをしている間に何か会話が広がる質問を考えてお尻に足すことで、相手がより詳しく話をしてくれ、会話のキャッチボールが続きます。
このような雑談力を身につけるには、日常の中で雑談の練習をすることが大切です。
特に効果的な方法は、知らない人に声をかけることだそう。
具体的な実践例としては、
1.明るく元気に、社内はもちろん、清掃業者の方などにもあいさつをする習慣をつける。
2.エレベーターに一緒に乗り込んだ人に「何階ですか?」と聞く。
知らない方だと声が小さく低くなりがちなので、高めのトーンと気持ち大きめの声を心がける。
3.外食のお会計時に店員さんと話す癖をつける。
「ごちそうさま」「おいしかったです」だけで済ませるのではなく「お財布のひもが許せば、毎日食べに来たいですよ」「おもてなしを感じる接客で、ファンになってしまいました」など続きの一言を心がける。
SNSの普及やコロナの影響など、昨今の時代背景もあって、知らない人に直接声をかけることがなかなか難しくなってきています。
上記に挙げた3点は『人見知り』の壁を突破する良い方法でもあるので、人と話すことが苦手な方も、ぜひトライしてみてください。
まとめ
雑談とは、意味のないムダ話をすることではありません。
人間関係や仕事の質を根本から変えてくれる魔法のようなメソッドなのです。
どんな仕事、どんな人間関係でも、まずは『こんにちは』というやりとりから最初の接点が生まれます。
このちょっとしたやりとりの中で、お互いに共感が生まれ、理解が深まり、それがのちの信頼関係につながっていくのです。
まずは今日から、爽やかで気持ちの良いあいさつを心がけるようにしましょう。
さらに、自分が話したいことではなく、相手が聞きたいことを話すマインドを持つだけで劇的にコミュニケーションが変わってきます。
毎日意識して続けることで、一カ月、そして一年後に、あなたの雑談力はグッと磨きがかかってくるはずです。