しかし、「自分に向いている仕事」とは一体どんなものなのでしょう。
好きなこと?得意なこと?夢中になれること?
今回は、向いている仕事の見つけ方や定義づけについて考えてみました
今までは仕事に求められる能力に自分の能力が見合っているか、業種や職種の特性が自分のやりたいことと一致しているか、仕事でパフォーマンスを十分に発揮するためにはその比重が多いことがずっと語られてきました。
しかし近年になると「一緒に働く人との相性」が仕事のパフォーマンスに大きく影響していることが注目されるようになりました。
人事関係に携わる者は、その人の仕事に対するパフォーマンス能力と同等に、一緒に働く人との相性によって、企業の従業員全体の能力が発揮されるかどうかが大きく関係していると認識し始めています。
以上のことを踏まえると、向いている仕事を決める要因は
・能力
・志向
・一緒に働く人との相性
の3つだと設定することができます。
この3つの要素が、すべてフィットしていれば、自分にとっての「向いている仕事」と捉えることができるのです。
一部の高度で専門的なキャリア性を求められる職種以外は、一般に人事関係者の中では性格や特性の影響が企業全体の士気に大きく関係していると認識され始めているため、転職においてのカルチャーフィット(その人が社風、企業文化に合うかどうか)を採用側が重視する傾向が強くなってきています。
・「能力」から向いている仕事を見つける
能力は、「ナレッジ(知識)」「スキル(技能)」「コンピテンシー(高い成果を出す行動特性)」があるかないかで決まってきます。
ナレッジは、その仕事の現場で求められる専門的な知識のことです。
例えば、人事であれば、採用・育成・評価・労務管理・人事制度など人事に関わる業務知識が必要とされます。
これらを習得していれば、ナレッジの面で、人事の仕事に向いていると捉えられます。
要約すると今までその業種や職種の経験があり、転職先で必要とされる知識や技能を既に身に付けているかどうかです。
スキルは、その仕事の現場で成果を出すための行動ができるかどうかです。
同じく人事で見てみると、採用成果につながる新卒に関する計画を立てることができるなら「スキル」の面での能力があり、人事に向いていると捉えられます。
その仕事が自分に向いているか考える場合、自分が希望職種のナレッジ・スキルを身につけているかどうかを客観的に整理してみることが必要です。
コンピテンシーに関しては、RIASECというキャリア理論に基づくホランドの六角形モデルやSPIなどの適性検査で自分に合う職務を見極めていく方法があります。
・「志向」から向いている仕事を見つける
志向は、その業種・職種が好きか否か、志したいか否かです。
現状スキルや能力が足りなかったとしても、先々身に付けようと努力するモチベーションやエネルギーがあるどうかを考えてみましょう。
自分の志向を深堀りするための方法として「なぜその仕事を希望しているのか?」「それはどうしてなのか?」「その仕事の何に惹かれているのか?」を繰り返していきます。
5回「なぜ?」を繰り返してみてください。
その結果、その志向の理由が単なる憧れや机上の空論ではなく、自分の経験とスキルに紐づいているのであれば、その仕事に向いていると決定づけることができます。
例えば、あなたがWebエンジニアになりたいと考えているとします。
その理由が、「これからはデザインが重要視される時代が来る。ITでそれを実践することが社会で求められているのでやってみたい」というのであればやめたほうがよいでしょう。
この理由には、一般論として社会から重宝されそうな仕事であるというだけで、あなた自身の経験が全くないため、何か壁にぶつかったときに、乗り越えられるほどのエネルギーが沸かずに諦めてしまうことになりかねないのです。
もし、「学生時代にWebデザインのアルバイトをしていたが、その時、衝撃的なWebデザインに出会った。今の自分はまだまだだけれども、ぜひWebデザインの仕事に挑戦していきたい」
というような、過去の経験とつながった考えが出てくる場合は、あなたの中に志が根付いている証拠です。
・「一緒に働く人との相性」から向いている仕事を見つける
転職の場合、求人ポジションが明確なので、上司になる人も予め決まっている場合がほとんどです。
一緒に働く人の中でも特に重要な「上司との相性」に焦点を当てて、相性の合う仕事の見つけ方を考えてみましょう。
あなたが興味のある求人を見つけた場合、その職場で一緒に働く人はどんな人なのかという視点で、事前に情報収集をします。
応募する前に企業のホームページなどでは、トップの経営理念、上司になる人のインタビューや社員紹介が載っていることがあるので、ぜひ参考にしてください。
さらに「自分は過去どのようなタイプの上司と一緒に働いたときに活躍できたか」ということも振り返っておきましょう。
面接は、転職希望先の企業の人と、自分との相性を判断する絶好のチャンスです。
面接官との対話がうまくいくかどうかは採用の大きなポイントですし、面接官を通してその企業全体の社風が見えてきます。
また、面接の間に相手からも相性を判断してもらえるよう、過去の仕事の成果を聞かれた際などに、自分で工夫した成果を話した上で、自分が力を発揮することができた上司との相性を伝えます。
さらに、自分自身の今後の成長の意欲についても伝えられるとよりよいでしょう。
さて、向いている仕事を判断する要素として「能力」「志向」「一緒に働く人の相性」についてお話ししてきましたが、現在従事している仕事に対して何か違うと感じていることがあり、転職を考えているのであれば、ぜひ3つの要素を掘り下げてみることをお勧めします。
社会人経験が少ない10代20代の人は、一緒に働く人との相性について、学校の先生や部活の先輩、アルバイト先の上司など、自分が力を発揮できた時に一緒にいた相手を分析してみてください。
向いている仕事は、自分の過去を振り返り、分析することから始まります。
まとめ
自分の得意なことと苦手なことを知るために、自分自身の過去を振り返って考えてみましょう。
仕事は人生の多くの時間を費やすものです。
仕事にやりがいを感じて楽しく取り組みながら、自分自身が成長し、社会や人の役にたつことが理想ですよね。
必ず向いている職業はどんな人にも必ずあるはずなので、焦らずに探してみてくださいね。